実は近年、デリーやムンバイなどの都会では、私たちとあまり変わらない感覚でバーやクラブへ飲みに行く若者も増え、国全体のアルコール消費量も右肩上がりの状況です。
ですが、地方や農村地域では事情が大きく変わってくるので、今回はその辺りも含めお話ししていきたいと思います。

インドで人気のお酒

インド産ビールと言えば、「キングフィッシャー」!日本のインド料理屋にも大体このビールが置いてあります。

※キングフィッシャー
また、ラム酒の製造も盛んで、一番有名なのはこの「オールド・モンク」。直訳すると「年老いた僧侶」ですね。

※オールドモンク

93%はウイスキーなどのスピリッツ系

インド人が実際どんなお酒を飲んでいるのかと言うと、2014年に行われたWHOの調査では、インドで消費されているアルコールの種類は93%がウイスキーなどのスピリッツ系、7%がビール、ワインは1%未満と圧倒的にスピリッツ系が多いと報告されています。
お値段はビール大瓶が200円前後、ウィスキーは安いもので650ml約500円、ワインだとボトルで1000円位です。(州によって酒税が異なるのであくまでも目安)

インドの酒屋の様子

酒屋の様子は州や地域によってもかなり違いがあるのですが、例えばヒンドゥー教の聖地バラナシではかなり分かりづらい場所にあり、鉄柵で囲われた店内に夜になると男性が酒を買いに押し寄せます。もちろん女性の姿は見かけず。インド人の友人と一緒でないと怖くていけない雰囲気です。

インドの禁酒令による影響

今年4月からビハール州でも禁酒令が施行

州によっては禁酒令を出している地域もあり、酒の販売、飲酒、他州からの持ち込みをすると罰せられます。私が活動しているビハール州でも今年の4月より禁酒令が施行されました。

これは村で造られる密造酒の取り締まりの為というのが大きな理由と聞きましたが、農村に住むアウトカースト(カースト制度に属せないほど身分が低いと言われている)の人びと中にはインド特有の分業制度の中で代々酒造を生業にしてきた家系の方がおり、その人たちは完全に職を失ってしまいました。

そういった人びとによる「それなら別の仕事をくれ!」という政府への訴えはもちろん多く、また海外からの旅行者が多い観光地ブッダガヤでも思った以上に観光客が減ってしまったという状況もあるようで、今後ビハール州としてどうしていくのか注目しています。

一定の成果を上げるも、職や観光客を失うという弊害も

私が活動するハティヤール村でも以前は酒造が盛んに行われていて、マフアーという花を発酵させて作った酒や、ヤシの実の汁から作られた酒が1リットル約30円という安価で村人たちに提供されていました。安定した職に就く事ができないアウトカーストの人々が昼間から酒を飲み、道端に倒れている光景をしょっちゅう目にしていましたが、現地スタッフによると禁酒令施行により一旦は村から酒が消えたとの事です。

※泥酔して倒れる村人
以前村でインタビューをしていて、女性にどんなときが一番幸せですか?と聞くと、「夫が酒を飲んでいないとき。」という答えが返ってきたこともありました。

※「旦那が飲んでいないときが一番幸せ」と語る女性
Aozora Schoolで育てている孤児の中には、父親がアル中で焼身自殺してしまった子もいます。仕事を失くした方もいますし一概に禁酒令施行が「良かった」とは言えませんが、飲酒過多によるトラブルや早死、自殺等の悲しい出来事は減るのかなと思っています。

以上、都会と村ではかなり事情が違うインドのアルコール事情をお伝えしました。

次回は連載最終回となりますので、現在私がNPOとして行っている「クッキープロジェクト」等の活動についても少しお話ししたいと思います。