1.咳の副作用がでる高血圧の薬

高血圧で、治療効果が高く、治療の中心となるお薬として『ACE阻害薬(エースソガイヤク)』というお薬があります。お薬を飲んでいる全員に起こるわけではありませんが、稀にこちらのお薬の副作用により咳が出る場合があります。

※ここでは商品名を「新薬(先発医薬品)」の名称で記述していますが、昨今、多くのジェネリック医薬品が出ているため、名称が様々あります。この一覧に該当医薬品がない場合や、ご不明な場合は、薬剤師に相談してみましょう。

一般名(成分名)        商品名
エナラプリルマレイン酸塩    レニベース®
アラセプリルセタプリル®    カプトプリルカプトリル®
イミダプリル塩酸塩       タナトリル®
シラザプリル水和物       インヒベース®
デラプリル塩酸塩        アデカット®
リシノプリル水和物       ロンゲス®
キナプリル塩酸塩        コナン®

※ACE阻害薬の作用により、気管支を収縮する物質であるブラジキニンが増えることで「空咳(からせき)」が現れると考えられています。

咳の副作用がある高血圧の薬、ACE阻害薬とは?

ACE阻害薬は、正式には、「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」と言います。体の中には「アンジオテンシンⅡ」とよばれる血液の循環のバランスを良く保つ物質があり、血管を収縮し、血圧を上げる作用や、循環する血液量を増やし、血圧を上げる作用を持ちます。
ACE阻害薬は、このアンジオテンシンⅡが作り出されるのを抑えることによって、血圧を下げる効果を持ちます。

他の高血圧のお薬と併用して飲むこともあります。又、高血圧の治療だけでなく、心臓や腎臓の負担を和らげる効果もあるので、心不全などの心臓病や、糖尿病性腎症などの腎臓病に対しても使用されます。

2.高血圧の薬の副作用である咳の特徴

薬の副作用の特徴として「空咳(からせき)」と呼ばれる、たんが絡まない咳がでます。

風邪の症状と混同してしまって、気づきにくいかもしれませんが、コンコンとした乾いた咳が特徴になります。お薬の服用を開始したときだけではなく、ずっと服用を続けていて今まで平気だったとしても、急に咳が出始めることもありますのでご注意ください。
原因となるお薬の服用を止めると、咳がおさまることが一般的です。

それ以外の咳の場合は、お薬の影響ではなく、他の病気が疑われるため、医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。

3.咳が続いていると感じたら

風邪が治ったのに、又、理由もわからず「少し咳が長引いているな」と感じた場合は、呼吸器科に受診する前に、ご自分の服用している血圧の薬を確認し、該当する薬があるかみてみましょう。

ただ、該当する薬があったとしても服用を自己判断で止めないようにして下さい。急に服用を止めてしまうと、症状を悪化させてしまうこともありますので、ご自分の判断で服用を中止せずに、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。また相談される際には、お薬手帳や、今服用中のお薬が分かるものを持参しましょう。

「空咳」の副作用がないタイプの高血圧のお薬もありますので、医師に相談しながら、変更してもらいましょう。

4.咳以外の注意すべき副作用は?

ACE阻害薬には、咳以外にも、注意すべき副作用があります。一例ですので、何か気になる症状がでた場合は、必ず主治医、又は薬剤師に相談するようにしましょう。

めまいや立ちくらみ

薬の効果により、血圧が一時的に下がることによって起こるめまいや立ちくらみなどがあります。転倒などの危険もあるため、ご高齢の方は、特に注意が必要です。

血管浮腫

稀な副作用ですが、血管浮腫とよばれる副作用があります。

血管浮腫という名前からだと、血管が腫れるような想像をしますが、血管浮腫は、急に皮膚がはれる症状になります。多くの場合、くちびる、喉、口の中、舌、顔などが腫れます。のどがはれ、息がしづらくなることもあり、その場合は救急車ですぐに医療機関を受診します。

5.おわりに

ACE阻害薬は、高血圧の治療によく利用され、降圧効果が期待できるお薬ですが、一方で、人によっては「咳」の副作用がでる可能性があります。

高血圧のお薬には、他にも色んな効果の高い種類がありますので、まずは、かかりつけの医師に相談し、別のお薬に変更してもらうことをおすすめします。

お薬が原因で咳が続いていた場合は、お薬の変更により咳を止めることができます。