登場人物

★ゆきさん
雪原 匠(ゆきはら たくみ) 49歳 男性
ゆきさん薬局の管理薬剤師&オーナー
顔の見える薬剤師を目指し、日々奮闘中

★白井 浅子
白井 浅子(しらい あさこ) 62歳
緑内障
風邪をひくと喘息っぽくなる

点眼薬は色々試したが、眼圧は下がらない

見慣れない患者さん白井さんが、初めてゆきさん薬局を訪れました。
白井さんキョロキョロしながら、ゆきさんに「ここでも眼科のお薬もらえますか?」と話しかけました。

ゆきさん
「もちろん!どこの処方箋でも受付けています」

白井さん
「こちらの薬局が親切だからと友達に聞いて、こちらに来たんですけど」

ゆきさん
「わざわざありがとうございます。それでは処方箋をお預かりしますね」と言って、処方箋を受け取り、目を通し始めました。

白井さん
「実は、目薬を利用してもなかなか眼圧が下がらなくて、色々と目薬を試しているんです」

ゆきさん
「そうなんですか。毎日、きちんと利用されているのですよね」

白井さん、笑いながら「真面目な方なので、きちんと毎日点眼しています!」と答えました。

ゆきさん、さらに続けて質問しました。「点眼後、目頭を押さえていますか?」

白井さん
「え、そんな必要あるんですか?」

ゆきさん
「目頭を数分間、押さえることによって、目薬が目にとどまって、より治療効果を高めます。意外と単純なことですが、これで、きちんと眼圧が下がることって多いんですよ」

白井さん
「そうなんですか。今まで眼圧がなかなか下がらなかったから、先生と相談して薬の変更ばかりしていました。ぜひ試してみます」

咳が出るようになった

薬が終わるであろう4週間後に、白井さんが再びゆきさん薬局を訪れました。
白井さん、嬉しそうにゆきさんに話しかけました。
「先生、おかげさまで眼圧下がりました」

ゆきさん
「本当ですか!それは、良かった。目頭を押さえるという単純なことだけど、意味あったでしょ」

白井さん
「えー、とても助かりました。先生もほっとしていました。『薬剤師さんに目頭を押さえることを教えてもらった』と話したら、『良い薬局に巡り合えて良かったですね』と言われました。本当にありがとうございました」

ゆきさん
「緑内障は失明に至る怖い病気だから、本当に良かったです」

白井さん
「ところで、最近咳がよく出るんですが、風邪が流行っていますか?」

ゆきさん
「暖かくなってきたし、そんなに風邪の人は多くないですよ」

白井さん
「私、喘息傾向があると言われたことがあるので、風邪をひかないようになるべく気を付けているんです」
ゆきさん
「あれ、白井さん、初回質問票に喘息なんて書いていませんでしたが、そうだったんですか?」

白井さん
「もらうのは目薬だけだから、気にせず既往歴に『特になし』と書いてしまいました」

ゆきさん
「白井さんが利用している目薬ザラカムは、ラタノプロストとチモロールマレイン酸塩の2種類の薬が配合されています」

白井さん
「ええ、『眼圧が下がらないから、配合剤にしましょう』とは聞いています」

ゆきさん
「この中のチモロールマレイン酸塩は、喘息の患者さんには使用禁止です。うちの初回質問表に、喘息の項目があるのはそのためなんです」

白井さん
「私の場合は、喘息と言っても風邪をこじらせたときに、お医者さんから『アレルギーの傾向があるようだから、気をつけてください』と言われた程度なので、気にしていませんでした」

ゆきさん
「とにかく、点眼をしてから咳が出るようになっているみたいなので、薬を変えてもらいましょう。特に、目頭を押さえるようになって、眼圧が下がっているようなので、ラタノプロストだけでも眼圧が下がるような気がします」

白井さん
「あら、そう。ここでそんなことが出来るの?」

ゆきさん「私から先生に直接電話して相談するので、お待ちください」と言って、早速医師に疑義紹介をしました。

※疑義照会とは
薬剤師が処方箋を元に調剤を行う際、処方箋の記載に疑問点や不明点を感じた場合に処方箋の作成者に対して内容の確認を行うこと。

電話を終え、薬の準備をして白井さんに話し始めました。
「先生と相談をして、ルミガンにすることにしました。ラタノプロストと同じ系統の目薬ですが、先生は『ルミガンの方が効果が高い』と判断されたようです。こちらを1日1回で試して様子を見てください」

白井さん
「ご丁寧にありがとうございます。私には何もわからないので助かりました」

ゆきさん
「いえいえ、これで眼圧が安定すると良いですね」

充血するようになった

ルミガンを利用し始めて4週間後、白井さんがゆきさん薬局を訪れました。

白井さん
「先生、すごいですね。眼圧低く安定しました。本当にありがとうございます」

ゆきさん
「そうですか!良かったです」

白井さん
「でもね、目が充血するようになったんです」

ゆきさん
「充血の副作用が出てしまいましたか。前回は咳の対応に気をとられていて、副作用のお話まで出来ませんでした。ごめんなさいね」

白井さん
「そんな先生、謝らないでください。でも、充血の副作用があるんですね」

ゆきさん
「そうなんです。それで、目の充血はずっとしていますか?」

白井さん
「先生に言われたとおり、寝る前に点眼しているのですが、午前中はずっと充血しています。でも、午後には薄れていくので、あまり気になりません」

ゆきさん
「いつも寝られるのは、何時頃ですか?」

白井さん
「11時頃です」

ゆきさん
「充血が薄れてくるのが、12時過ぎくらいですよね。という事は、点眼後13時間くらいで充血が薄れるということになります。そうであれば、お仕事が終わって自宅に帰られた直後に点眼するのが良いですよ。例えば、お買い物が終わって夕方5時頃点眼すれば、朝6時頃には充血が取れることになります。充血症状がひどい場合にはまたご相談下さいね。」

白井さん
「そうか、充血が取れる時間を逆算すれば良いのね。本当に助かるわ。お友達に紹介してもらって良かった。私もお友達に紹介するわね」

うれしそうに「よろしくお願いします」と答えるゆきさんでした。

※ゆきさん薬局の物語に登場する人物は、フィクションです
9 件