目次:レンドルミンとマイスリーの違い

・レンドルミンとマイスリーの名前の由来
・レンドルミン、マイスリーの成分と作用の違い
・向精神薬の処方日数の制限について
・レンドルミンとマイスリーの価格の違い(2016.12時点)
・レンドルミンとマイスリーの副作用の違い

レンドルミンとマイスリーの名前の由来

余談ですが、レンドルミンとマイスリーという名前には、面白い由来があります。

マイスリーは、「MY SLEEP(私の睡眠)」のPをとって、マイスリーと命名。
レンドルミンは、フランス語で眠りにつくことを意味する「l’endormir」に由来します。

不眠症について

ひとくちに、眠れないと言っても、不眠症はいくつかのタイプに分かれます。
入眠障害・・・寝つきが悪く、眠るまでに時間がかかる
中途覚醒・・・途中で目が覚めてしまい、眠れなくなる
早朝覚醒・・・朝早くに目が覚めてしまう
熟眠障害・・・眠りが浅く、熟睡した感じが得られない

環境、心理的、身体的、生活習慣など不眠症の原因は様々です。まずは、お薬に頼るのではなく、不眠症の原因を取り除くことによって、改善させることが大切になります。

どのタイプの不眠症であるかによって、治療法やお薬は変わってきます。

今回は、レンドルミンとマイスリーの特徴について解説していきます。

レンドルミン、マイスリーの成分と作用の違い

睡眠剤のタイプについて

多くの睡眠剤が販売されていますが、代表的な睡眠剤として、「ベンゾジアゼピン系薬」と「非ベンゾジアゼピン系薬」とよばれるタイプの睡眠剤があります。

脳の活動を抑える体内物質として「GABA(γ-アミノ酪酸)」とよばれる脳内神経伝達物質があります。これらのお薬は、脳内の「ベンゾジアゼピン受容体」とよばれる部位に作用し、GABAの作用を強めることによって、脳の活動を抑え、強制的に眠気を催す作用をもたらします。
ベンゾジアゼピン系薬と、非ベンゾジアゼピン系薬では化学構造が違いますが、似た作用機序によって効果を示します。

参考

■代表的なベンゾジアゼピン系薬
・超短時間型・・・ハルシオン
・短時間型・・・レンドルミン、リスミーなど
・中時間型・・・ロヒプノール、サイレース、ベンザリン、ユーロジンなど
・長時間型・・・ドラール、ダルメートなど
■代表的な非ベンゾジアゼピン系薬
・超短時間型・・・マイスリー、アモバン、ルネスタなど

レンドルミンの成分と作用

レンドルミンの成分は、「ブロチゾラム」です。
レンドルミンは、ベンゾジアゼピン系薬の短時間型タイプに分類される睡眠剤です。
健康な成人の場合、催眠作用は15〜30分で発現し、約1〜1.5時間で最高血中濃度に達し、7〜8時間(半減期)で効果が消失していきます。一般的に作用時間が長いと、翌朝起きたときに、ぼーっとしたり、眠気や不快感を感じることがあります。

レンドルミンは、短時間型タイプで、寝つきが悪くて眠れない入眠障害の方に用いられます。又、持続時間が若干長いことから、夜中に目が覚めてしまうような中途覚醒の方や眠りが浅い熟眠障害の方などにも用いられることがあります。

一般的には、1回0.25mgを就寝前に服用します。
年齢や症状に応じて適宜増減されます。

マイスリーの成分と作用

マイスリーの成分は、「ゾルピデム酒石酸塩」です。

マイスリーは、非ベンゾジアゼピン系薬の超短時間型タイプに分類される睡眠剤です。
健康な成人の場合、催眠作用は15〜30分で発現し、約0.7〜0.9時間で最高血中濃度に達し、1.78〜2.3時間(半減期)で効果が消失していきます。

マイスリーは、レンドルミンと比較すると、より短時間で作用します。一般的には、寝つきが悪くて眠れない入眠障害の方に用いられます。お薬の効果の消失が早いため、翌朝にボーとするなど眠気を持ちこすことが少ないお薬です。

また、一般的にベンゾジアゼピン系薬は、催眠作用の他に、抗不安作用や筋弛緩作用、抗けいれん作用なども持ち合わせています。しかし、マイスリーなどの非ベンゾジアゼピン系薬は、ベンゾジアゼピン受容体のより眠りに関連が強い部位に選択的に作用するため、催眠作用が最も強く、その他の作用は弱くなっています。転倒などのリスクがあるご高齢の方に対して処方されることが多いです。

一般的には、1回5〜10mgを就寝直前に服用します。高齢者の場合は、1回5mgから投与を開始します。上限は、1日10mgで、年齢や症状に応じて適宜増減されます。

レンドルミン、マイスリーの成分と作用の違いまとめ

■レンドルミンは、ベンゾジアゼピン系薬の短時間型タイプに分類され、寝つきが悪くて眠れない入眠障害の方に用いられます。又、中途覚醒の方や熟眠障害の方などにも用いられることがあります。

■マイスリーは、非ベンゾジアゼピン系薬の超短時間型タイプに分類され、入眠障害の方に用いられます。お薬の効果の消失が早いため、翌朝に眠気を持ちこすことが少ないです。また、催眠作用が強く、抗不安作用や筋弛緩作用、抗けいれん作用は弱くなっているため、高齢者の処方されることが多いです。

向精神薬の処方日数の制限について

レンドルミン、マイスリーは向精神薬に分類されるお薬になります。お薬の乱用や依存を招きやすく、服用や管理に慎重にならなければなりません。そのため、医師が処方できる日数に制限があります。

マイスリー(ゾルピデム)・・・30日
レンドルミン(ブロチゾラム)・・・30日

レンドルミンとマイスリーの副作用の違い

レンドルミン、マイスリーに多少の副作用の違いはありますが、基本的に注意すべき点は同じになりますので、合わせて説明していきます。

共通して起こりうる主な副作用としては、ふらつき、めまい、眠気、頭痛、だるさ、気持ち悪さなどがあります。高齢の方の場合は、転倒などの危険があるため、特に服用に注意が必要です。服用した後に、何か活動をすることは避け、必ず寝る直前に服用するようにしましょう。すぐに起きて何かをやらなければいけない時には、服用しないようにしましょう。

また、稀ですが、重大な副作用として、一過性前向性健忘といって、服用してからの出来事を覚えていない、途中で起きた時の出来事を覚えていないなどの症状が出る可能性があります。服用したらすぐに寝ることや、睡眠中は起こさないように注意するようにしましょう。重大な副作用としては、他に肝機能障害や、呼吸が苦しくなるなどの症状があります。

また、服用を続けることによって、人によっては、薬物依存がみられることがあります。急に服用をやめたりすると、イライラしたり、不安になってしまうなどの症状がでます。このような症状がみられることがあるため、服用は急に中止せずに、徐々に減量していくのが基本になります。

睡眠剤は自己判断で飲む量、頻度を増やすと大変危険です。必ず指示された用法用量を守り、医師と相談の上、服用するようにしましょう。

ここで挙げているものは一例ですので、いつもと違うような気になる症状が出た場合は、医師や薬剤師に早めに相談するようにしましょう。

おわりに

レンドルミンとマイスリーの作用や副作用の違いなどについて参考になりましたでしょうか?

前述のとおり、不眠症でも様々なタイプがあります。まずは、自身で原因を取り除く努力を行うことが大切です。睡眠は、健康に生活を送る上でとても大切なものですので、お薬による治療が必要となることもあります。その場合は、指示を守り、適切に服用するようにしましょう。