気管支喘息治療の代表的な薬は「吸入ステロイド」と「β刺激薬」

そもそも、気管支喘息 (以下、喘息とします) とは、空気の通り道である気道で継続的な炎症が生じる病気です (1)。炎症が起こると組織が腫れるので、気道でこれが生じると、それだけで空気の通りが悪くなります。

これに加えて、炎症が長期間続くことで、気道が正常な状態から形を変える (リモデリングと言います) ことが知られています。こうなると、気道が狭まった状態で固定されてしまい、例え炎症が治まっても空気が通りにくいままになります。

吸入ステロイド

こうしたことから、喘息の治療では気道の炎症を鎮めることが重要なポイントになります。この目的で使用するのが、吸入ステロイドです。

この薬は、長期間にわたって気道の炎症を抑え続ける必要があることから、例え症状が治まっても続けて使用する必要があります。

β刺激薬

一方で、気道の筋肉を緩めることで、狭くなった気道を広げて呼吸を楽にする薬も使用されます。これがβ刺激薬です。先ほど紹介した、吸入ステロイドとセットで喘息治療に使用します。

ここでは、吸入ステロイドとβ刺激薬が喘息治療の中心的な薬であることを押さえてください。

フルタイドは吸入ステロイドのみを、アドエアは吸入ステロイド+β刺激薬を含む

吸入ステロイドの代表的な成分として、フルチカゾンプロピオン酸エステルというものがあります。同様に、β刺激薬の代表例として、サルメテロールが知られています。

今回解説する、フルタイドとアドエアは、それぞれ次の成分を含んでいます (2, 3)。

● フルタイド:フルチカゾンプロピオン酸エステル
● アドエア:フルチカゾンプロピオン酸エステル+サルメテロール

つまり、フルタイドは吸入ステロイドだけを、アドエアは吸入ステロイドとβ刺激薬を両方含んでいるということです。

吸入器の違い

フルタイドとアドエアをはじめとした吸入薬は、成分を上手く吸い込めるように、専用の吸入器に充填された形で販売されています。吸入器の種類もたくさんあるのですが、今回関係するのは、次の3つの吸入器です。

● ディスカス
● ロタディスク
● エアー

フルタイドには上の3つ全てが、アドエアにはディスカスとエアーがあります (2, 3)。それぞれの特徴に簡単に触れておきましょう。

ディスカス

円盤のような器械に、粉上の薬が充填されているタイプです。準備操作をした後、吸い口から粉を吸い込みます。自力で吸い込む力を利用して粉薬を患部に届けるタイプですので、吸い込む力が弱い人には不向きです。反面、自分の好きなタイミングで吸えるのが利点です。

ロタディスク

薬が入ったディスクを器械にセットして、吸い込むタイプです。これも自力で粉を吸い込むタイプなので、ディスカスのメリット・デメリットがそのまま当てはまります。

ディスカスとの比較では、操作のステップが多くて覚えにくいのが欠点です。何度もシートを取り換えないといけないので、面倒と感じる人も多いようです。反面、自分で薬のディスクをセットするので、後どれだけ薬が残っているか、直観的に理解しやすいのが利点です。

エアー

ボンベを押し込むと、ガスの力で霧状の薬が排出されるタイプです。ガスの力で吸入を補助してくれるので、吸い込む力が弱い人には嬉しいと言えるでしょう。反面、ボンベを押し込むタイミングに併せて息を吸う必要があるので、吸入自体がやや難しいのがネックです。また、吸入に失敗すると、口の中に薬剤がくっついてしまい十分な効果が得られないこともあります。


このように、粉上の薬を自力で吸い込むディスカス・ロタディスク、霧状の薬を上手くタイミングを併せて吸い込むエアー、という具合に大きく特徴が分かれます。薬局や病院で説明を聞いて、自分が使いやすそうなタイプを選択すればよいでしょう。

フルタイドとアドエアの使い分け

フルタイドは吸入ステロイドのみ、アドエアはこれに刺激薬が加えられています。したがって、アドエアの方が中等症~重症例向きと言えます 。実際に、中等度以上の喘息に対する治療効果は刺激薬を含む薬の方が高いようです (4, 5)。

基本的に、どちらも喘息の治療に使用する薬ですが、アドエアの方は慢性閉塞性肺疾患 (COPD) という病気に対しても使用する場合があります (3)。

フルタイドとアドエア 使用上の注意点

副作用として比較的多いのは、頭痛やのどの炎症などですが、起きやすさはβ刺激薬のあるなしでそれほど変わらないようです (4)。実際、吸入後にのどにヒリヒリとした感覚を覚える人も少なくありません。

両者に共通する注意点として、吸入操作をした後に、必ずうがいをして口の中をすすぐ必要がります。これは、口の中にステロイド成分が残ると、カンジダ症などの感染症や、声がかれるなどの副作用を起こしやすくなるためです (2, 3)。

しかし、外出時などでうがいをすることが事実上不可能な状況もあると思います。そのような場合には、水やお茶などを飲むことで、うがいの代用にすることもできます。上記の副作用は、口の中にステロイド成分が残るから起こるので、飲み込んでしまえばリスクを回避できるからです。

「そんなことをしたら、薬の成分が吸収されて危険では?」と思うかもしれません。しかし、吸入薬に含まれる有効成分の量は極微量であり、仮に吸収されたところで、身体に作用を及ぼすには到底足りませんので、心配は無用です。

まとめ

● フルタイドとアドエアは、いずれも喘息の治療のために定期的に使用する吸入薬である
● フルタイドは吸入ステロイドのみを、アドエアは吸入ステロイドとβ刺激薬を含む
● フルタイドは軽症向け、アドエアは中等症以上の喘息向けの薬である
● どちらの薬も、吸入後は必ずうがいをする。できない場合、水を飲んで代替する

参考文献

1. National Heart, Lung, and Blood Institute Expert Panel Report 3: Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma
2. フルタイド50ディスカス/フルタイド100ディスカス/フルタイド200ディスカス 添付文書 グラクソ・スミスクライン株式会社
3. アドエア 添付文書 グラクソ・スミスクライン株式会社
4. Bateman ED, et al. Once-daily fluticasone furoate (FF)/vilanterol reduces risk of severe exacerbations in asthma versus FF alone. Thorax. 2014 Apr;69(4):312-9. PMID: 24253831
5. Boonsawat W, et al. Combined salmeterol/fluticasone propionate versus fluticasone propionate alone in mild asthma : a placebo-controlled comparison. Clin Drug Investig. 2008;28(2):101-11. PMID: 18211118