薬を勝手に割ってはいけない2つの理由

薬を自己判断で割ったらいけない理由には大きく分けて2つあります。

1、使用する薬の量が変わることで効果が落ちてしまう
2、特殊な構造をしている薬は割ることでその性質が変わってしまう

1について。半分しか飲まないと薬の効果は下がります。指示がある場合を除いて、自身の判断で薬の量を減らすと、せっかく改善しかけた症状がぶり返してしまったり、治療に時間がかかったり、抗生物質などでは耐性菌を作ってしまい悪化を招いてしまう可能性もあります。自身で効果を実感できない薬であっても、継続して一定の量を服用することで病気の悪化を防ぐものもあります。

2について。薬の中には表面に特殊なコーティングをしていたり、特殊な構造を持たせることで、薬が期待通りの効果を発揮できるように工夫しているものがあります。割ったり砕いてしまうことでその性質が失われてしまいます。そうすると、薬が効果を発揮できなくなったり、場合によっては、予想以上の効果を発揮していまい、副作用を引き起こしてしまう可能性もあるんです。

今回のコラムでは2の理由をメインに、「なぜ割ったり砕くことで薬の性質が変わってしまうのか?」についてまとめます。

錠剤表面のコーティング

錠剤の表面にコーティングなどが何も行われていないものを「素錠」と言います。
それに対して、コーティングの種類によって、「フィルムコーティング錠」、「糖衣錠」、「腸溶錠」と呼ばれるものがあります。

味や臭いを防ぐフィルムコーティング錠と糖衣錠

薬の有効成分は強い苦味があったり、不快な臭いを持つものが多く存在します。水で溶けるコーティングを施すことで、その苦味や臭いを感じにくくしている薬は少なくありません。そのフィルムコーテングの上からさらに砂糖や甘味料をコートしたのが糖衣錠です。糖衣錠は表面がツルッとしていて、ほんのり甘いコーティングになので判りやすいと思います。これを甘いからと言って舐め続けていると、中から苦い成分が出てきて酷い目を見ることがあります。

せっかくフィルムコーティングや糖衣によって、苦味や臭いをマスクしているものを割ったり砕いたりしてしまうと非常に飲みにくくなってしまうこともあります。薬の中には信じられないほど苦いものもあるので、安易に割ってしまうと後悔することになるかもしれません。

胃酸に負けない腸溶錠

薬の成分によっては胃酸のような強力な酸に触れると効果を無くしてしまうものがあります。そのために成分を胃酸から守るように胃の中では溶けず、腸に入ったら溶けるように作られたのが腸溶錠と呼ばれるものです。フィルムコーティング錠と同じように、錠剤の表面をコーティングしているのですが、フィルムコーティング錠が水に溶けやすい物質で作られているのに対して、腸溶錠は酸性条件では溶けないような物質でコーティングされています。これにより、胃の中ではコーティングが胃酸から有効成分を守り、胃を抜けて小腸に達した時に、コーティングが溶け、効果を発揮するようになっています。

せっかくの腸溶錠を砕いしてしまったら胃を通る時に、薬の効果はなくなってしまい、薬が吸収される小腸まで無事に残っている薬はほとんどなくなってしまいます。錠剤が大きくて飲みにくいからなどの理由で安易に割って飲んでいると、飲んでいる意味がないなんてことになってしまいます。

薬の効果を持続させる徐放錠

体の中で薬が効果を発揮する時間というのは、薬の成分によって異なります。薬の効果を切らさないためには、薬の効果が切れる前に、追加で薬を飲めばいいんですが、それだと手間がかかったり、安定した効果を持続させるのが難しいことがあります。そのために、お腹の中で徐々に有効成分が放出されるように工夫しているのが徐放錠です。
薬の名前に、R錠とかL錠、CR錠、復効錠、LA錠、SR錠、TR錠、グラデュメット錠などの名称が付いているものは徐放錠です。ただ、薬の名前だけを見ても区別がつかない徐放錠も多く存在します。

徐放錠の種類

一口に徐放錠と言っても様々な種類のものがあります。その一部を紹介します。

拡散徐放型

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