目次:薬剤師が解説!ジェネリック医薬品とは?

■ジェネリック医薬品って何?
・薬の特許って?
・ジェネリック医薬品の定義
■先発医薬品より安いジェネリック医薬品
・ジェネリック医薬品が推進されている理由
・何でジェネリック医薬品は安いの?
■添加物や製造方法が違うのに同じ効果なの?
・生物学的同等性試験
・添加物の組み合わせが違うだけ
■ジェネリック医薬品と先発医薬品は全く同じなの?
・「同じでないということ」=「効かないとうこと」ではない
■ジェネリック医薬品と先発医薬品の違い
・効能・効果の違い
・各メーカーの工夫や技術が現れる部分
■ジェリックの選び方についての私見
・注意してほしいジェネリック医薬品
・先発医薬品と同じ!?オーソライズドジェネリック
■まとめ

ジェネリック医薬品って何?

新薬の特許が切れた後に発売されるのがジェネリック医薬品です。
新薬の後から発売されるということで、日本語で後発医薬品とも呼ばれています。ちなみに、後発医薬品に対して、新薬のことを先発医薬品と言います。

薬の特許って?

一般に特許の期間は20年なのですが、医薬品の特許の場合、治験と審査に要した期間は特許期間の延長の対象とされており、最大で5年間の延長が認められています。なので、医薬品の特許の期間は20〜25年ということになります。 医薬品の特許と言っても様々なものが存在します。
物質特許:有効成分自体の特許
用途特許:有効成分をどの疾患に対して使用するかという特許
用法・用量特許:有効成分を特殊な用法や用量で使用する場合の特許
製法特許:その薬の製造方法に関する特許

ですから、新規に見つかった有効成分の特許が切れたからといって、すぐにそのジェネリック医薬品が作れるというわけではありません。その他の特許が切れてからか、それらを侵害しないような方法でジェネリック医薬品は作られる必要があります。

ジェネリック医薬品の定義

ジェネリック医薬品とは具体的にどういうものなのか?
先発医薬品と同じ成分を含む薬とはよく説明されますが、単にそれだけではありません。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と
・含有する有効成分とその量
・認められている効能・効果
・使い方(投与経路)
・用法・用量
が同じで、その効果が同等であると認められたものと決められています。

また、新医薬品は承認を取得した後も4〜10年の間、有効性や安全性に関する再審査が行われるようになっています。もし、特許の問題が解消されていても、再審査期間中にジェネリック医薬品を販売するのは難しくなっています。

先発医薬品より安いジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品のことは詳しくわからないけど、値段が安いということはご存知の方が多いと思います。

医療用の医薬品の値段である薬価は国が一定の基準に基づいて決定します。その中で、新しく登場するジェネリック医薬品の薬価については明確なルールが決められています。
2016年のルールでは、新規に発売されるジェネリック医薬品の薬価は先発医薬品の薬価の5割となっています。一度に10社以上からのジェネリック医薬品が薬価収載される場合はさらに安くなり、先発医薬品の薬価の4割と決められています。先発医薬品によってはさらに安くなる場合もあります。

ジェネリック医薬品が推進されている理由

日本ではここ数年間でジェネリック医薬品が急激に普及しました。その理由として一番大きいのは、医療費高騰を防ぐために国が診療報酬(医療保険に関する制度)の中でジェネリック医薬品を推進するようにしているためです。

国民皆保険制度があるため、病院や薬局でもらう薬に対して支払うのは一部で済んでいますが、残りの部分は保険料や税金で賄われています。日本の医療費は40兆円と言われていますが、そのうち5分の1の8兆円が薬剤費と言われています。ジェネリック医薬品の使用が進むことでその部分を大きく削減することが可能です。
国民皆保険制度を維持するためにも、ジェネリック医薬品の推進は必要というわけです。

何でジェネリック医薬品は安いの?

ジェネリック医薬品と聞いて一番に思いつくのは先発医薬品に比べて値段が安いという点だと思います。この点について、「安いってことはコストを削るために品質が落ちているんじゃないか?」と考えてしまう方が多いように思えます。ジェネリック医薬品は何も品質を落として安くしているわけではありません。

ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分を同量含む医薬品です。すでに新薬を開発する段階で実施されている以下の研究や試験を省略することが可能です。

・基礎研究:2〜3年
・非臨床試験:3〜5年
・臨床試験(治験):3〜7年
前回の記事でまとめたように 、新薬が承認されるまでの期間は10数年、かかる費用は500億円と言われていますが、ジェネリック医薬品の開発は先発医薬品の開発に比べて大きく時間と費用を削減することができます。そのため、先発医薬品よりも安い薬価になっても開発費用が回収できるというわけです。

添加物や製造方法が違うのに同じ効果なの?

ジェネリック医薬品に対して不安を感じる方の意見として、添加物や製造方法が同じでないことがよく挙げられます。確かに、含まれる有効成分やその量が同じでも、添加物や製造方法が異なれば、溶け方や吸収が変わってしまう可能性があります。

生物学的同等性試験

添加物や製造方法の違いにより、ジェネリック医薬品の効果が先発医薬品と異なるものになっていないかを確認するために、ジェネリック医薬品の承認には、先発医薬品にはない「生物学的同等性試験」という項目が設けられています

これは、ジェネリック医薬品を人に投与した際の血液の中の有効成分の濃度(血中濃度)を測定する試験です。血中濃度の推移(どれくらいで上昇して下降していくか、最大になった時の濃度等)が先発医薬品と同じかどうかを調べる試験です。ここでほぼ同等であることが認められないとジェネリック医薬品は承認されません。

他にも保管中に品質が維持されるかどうかを調べる安定性試験や、溶けやすさを調べる溶出試験等、製剤の違いに関する部分については先発医薬品と同様の試験が行われます。

添加物の組み合わせが違うだけ

先発医薬品と添加物が異なると聞いた時に、粗悪な添加物が使われると誤解してしまう方もいるようです。

結論から言うと、日本で医薬品に使用できる添加物は決められています。なので、先発医薬品と違う添加物が含まれていると言っても、その添加物は別の先発医薬品に使用されている添加物です。ですから、「ジェネリック医薬品は先発医薬品とは使用している添加物の組み合わせが違う」というのが正確な表現かもしれません。

先発医薬品でも同じ成分を持つ錠剤、カプセル、口腔内崩壊錠、粉薬があれば、それぞれ使用している添加物の組み合わせは異なります。先発医薬品から先発医薬品への変更に抵抗がないのであれば、添加物の違いというのは気にしなくても大丈夫かもしれません。

※もちろん、特定の添加物に対するアレルギーを持っている方は注意が必要です。

ジェネリック医薬品と先発医薬品は全く同じなの?

ジェネリック医薬品と先発医薬品が全く同じかと言われると、「全く同じ」とは言えません。薬として異なる以上、言えるのはほぼ同等であるということまでになります。

ここで、生物学的同等性試験についてもう少し詳しくまとめます。
生物学的同等性試験では血中濃度の比の平均値だけでなく、そのばらつきまで見ています。それが許容範囲内に収まれば「生物学的に同等である」と認められるわけです。このばらつきが問題だという方もいるようなのですが、先発医薬品であっても血中濃度のばらつきというものは生じます。

その理由として、
・薬一つ一つの有効成分の含量の差
・血中濃度を測定するときの誤差
・各個人の吸収しやすさ等の差
・その時の個人の体調等による差
などがあります。

生物学的同等性試験では、これらのばらつきを考慮した上で、先発医薬品とジェネリック医薬品に差がないかを確認する試験です。もともと、ばらつきがあるものを比較するわけですから、正確に同じという証明はできず、同等(に近い)という証明になります。

「同じでないということ」=「効かないとうこと」ではない

先発医薬品とジェネリック医薬品はあくまでも同等であるものに過ぎません。

じゃあ、完全に同じじゃないということは効かない可能性があるってこと?と言われれば、人によってはその可能性は0ではありません。でも、逆に人によっては効きすぎてしまう可能性も0ではありません。

薬というのは効かなくてもダメですし、効きすぎてもダメなので、どちらにしても問題です。ですが、それを実感できるほどの差があるかというとその可能性は低い(はず)です。ちなみに、「ジェネリックは効かない気がする」という話は聞いても「ジェネリックは効きすぎる気がする」という話はあまり聞いたことがないですね。

効能・効果の違い

効能・効果の違い

前述したように、医薬品に関する特許には「効能・効果」に関する「用途特許」が存在します。つまり、「用途特許」が有効な場合、先発医薬品と後発医薬品で使える疾患が異なるという状態になってしまいます。
その場合、今飲んでいる薬にジェネリック医薬品が存在しているとしても、その薬を使っている原因(病気等)によっては、ジェネリック医薬品を選ぶことができないという可能性があります。同じ成分なんだから同じ効果があるだろうと思うかもしれませんが、医療保険では使った薬の情報だけでなく、どんな病気にそれを使っているかという情報も保険請求の際に提出するようになっているため、認められていない「効能・効果」に薬は使うことができないのです。
このように、「自分が使っている薬にジェネリック医薬品が存在しても、使えないこともある」ということを知っておいてください。

各メーカーの工夫や技術が現れる部分

有効成分に関係ない包装のデザインや、薬の形、粉薬などの味付けは各社で工夫を行うことが可能です。可能なかぎり先発医薬品に似せているメーカーもあれば、患者さんが飲みやすいように、医療従事者が扱いやすいように工夫を重ねているメーカーもあります。このあたりについては、薬にもよりますが、工夫をしているメーカーの商品とそうでないメーカーの商品との差が出ていることがあります。

デザイン

ジェネリック医薬品やその包装は各メーカー独自のデザインにすることが可能です。飲み間違いを防いだり、医療関係者が薬の鑑別を容易にするために錠剤に薬品名をプリントするような工夫をしているものもあります。他にも、薬が入った包装に見やすい文字で何の薬かわかるようにプリントしているものもあります。

剤形

先発医薬品ではカプセルしかなかったものがジェネリック医薬品では錠剤として販売される場合もあります。同じ錠剤でも飲みやすいように先発医薬品より小さくしていたり、喉を通りやすい形にしているものもありますし、水に溶けやすく工夫しているものもあります。舌にのせるとすぐに溶けるフィルムタイプの薬を開発して販売しているメーカーもあります。

粉薬や口の中で溶ける錠剤の場合、飲みやすさを考えると味が大事になってきます。より苦味を感じにくい味にしたりと、工夫していて評価されているメーカーもあります。また、味だけでなく、口どけの部分で工夫しているメーカーもあります。

外用薬の使用感

外用薬については先発医薬品とジェネリック医薬品との差が出やすいと思います。塗り薬や湿布薬など、体に塗ったり貼ったりするものについては使用感が非常に大切です。そのため、自分も外用薬についてはどのメーカーの商品を採用するかは特に慎重になります。
昔から外用薬を作り慣れているメーカーはそう言った技術に優れているため、使用感で差が出てしまうことがあります。逆に、そう言ったメーカーが作った外用薬はジェネリック医薬品であっても使用感がいいものが少なくありません。点鼻薬や目薬のように手技が必要なものについても、細い工夫で使いやすさに差が出ていることがあります。

ジェリックの選び方についての私見

自分自身の考えるジェネリック医薬品の選び方についてまとめてみようと思います。

医療費問題を考えればジェネリック医薬品の推進は歓迎されるべきことだと個人的には思っています。ですが、効果に差を感じる人に対して無理に勧めるべきではないと思いますし、そういう方が実際にいらっしゃるのも事実です。

ただ、イメージや噂でジェネリック医薬品を避けるという状態は無くなるべきだと思います。特に慢性疾患で使用される方にとっては長年飲み続けなければいけない薬の費用が安くなることで、国にとって本人にとっても経済的なメリットが大きいと思います。

注意してほしいジェネリック医薬品

多くの場合、ジェネリック医薬品に変更してもそこまで大きな影響はないとは思います。けれど、いくつかの薬については念のために注意点を把握して、医師や薬剤師と相談しながら決めていくのがよいでしょう。

外用薬

まずは、外用薬。塗り薬や湿布、貼り薬、目薬や点鼻薬等です。こういった薬については、いくら有効成分が同じでも使用感や操作方法で差が出ることがあります。 多くの薬局ではそういう部分も考慮して、どのメーカーのジェネリック医薬品を採用するか決めていると思います。先発医薬品とジェネリック医薬品で使用感に差があるかどうか聞いてみてください。使用感に差があるから悪いというわけではありません。使用感が異なるというだけで、どちらが合うかはその人次第かと思います。

睡眠薬や頓服の薬

睡眠薬や便秘、痛み止めのような頓服の薬で効果の差を感じる方も多いようです。繰り返しますが効果は同等と証明されているので全く同じとは言いませんが、そんなに効果に差が出るとは思えません。ですが、長年使っている薬であったり、自分が信頼している薬が別のものに変更になるとその不安感などから効果が少なくなったと感じてしまうことがあります。こういった薬に関しては、無理にジェネリック医薬品に変えるのでなく、医師や薬剤師に相談してみてください。

発作を鎮める薬

例えば血圧の薬が効かなかった場合、血圧の数値が少し上がるということで薬が効かなかったことに気づけるかもしれません。ですが、てんかんの薬や喘息の薬などでは、少し効果がなかっただけでも、体調が安定していない場合、発作という形に表れてしまう可能性があります。これは先発医薬品→後発医薬品に限った話ではなく、先発医薬品→先発医薬品でも同じなのですが、状態によっては注意が必要ということを知っておいてください。

先発医薬品と同じ!?オーソライズドジェネリック

最近では、オーソライズドジェネリックというものが登場しています。このオーソライズドジェネリックはほぼ完全に先発医薬品と同じと言えるジェネリック医薬品なんです。

オーソライズドジェネリックのAuthorizeは「許可する」という意味です。「先発薬品メーカーが特許の使用等を認可する契約をジェネリックメーカーと結んで開発されるジェネリック医薬品」がオーソライズドジェネリック(AG)です。

有効成分だけでなく、添加物やその割合、製造方法まで全く同じジェネリック医薬品になります。AGについては生物学的同等性試験も免除されていることから、その信頼の高さがわかりますね。
また、用途特許の問題もクリアできているので、他のジェネリック医薬品では制限される効能・効果でも、AGでは一足先に(特許が切れる前に)使用可能となっていることがあります。
もし、ジェネリック医薬品の使用に不安がある方はAGから使用してみるのもいいかもしれませんね。

まとめ

長くなりましたが、ジェネリック医薬品がどんなものなのか理解していただけたでしょうか?

ジェネリック医薬品と言ってもすでに販売から時間が経過して長年のデータが蓄積されているものも多く存在しています。また、近年は大手メーカーが参入することでジェネリック医薬品の品質や技術の向上もめざましいです。AGの登場も大きいですね。

また、ジェネリック医薬品を使用する機会が増えた結果、医師や薬剤師の中にも、薬によっては先発医薬品よりもジェネリック医薬品の方が使い慣れているというケースもあります。
今後、ジェネリック医薬品の普及はまだまだ進んで行くと思います。今回の記事を読まれて、「やっぱり先発医薬品がいい」、「ジェネリック医薬品を使ってみようかな」と様々な意見があると思います。今の制度では、処方箋によっては患者さん自身が先発医薬品かジェネリック医薬品かを選ぶことが可能になっています。その時に、ご自身の意見も持った上で選んでいただければと思います。

ジェネリック医薬品について気になる方がいれば、ぜひ、時間があるときに、薬剤師にじっくり聞いてみてください。使う、使わないは別にして、先入観で決めるのではなく、よく知ってから選んでいただければと思っています。