1.二次感染はどのようにして起こるのか?

「二次感染」とは、ウイルスや細菌の感染者から周囲の人に感染が広がっていくことです。

「感染症」と名の付く病気は全て二次感染を引き起こす可能性があります。なぜなら、ウイルスや細菌はヒトの身体の中で増殖し、鼻水や痰、唾液、便などと共に体外は排出されるようになるから。こうして排出されたウイルスや細菌を他の人が体内に取り込んでしまうことで二次感染が生じるのです。

 

では、具体的にはどのような経路で二次感染が生じるのか詳しく見てみましょう。ここでは、毎年秋から春にかけて全国的に大流行するインフルエンザを例に詳しく解説します。

 

1-1. ウイルスはどのような経路で感染するのか?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症の一種。ウイルスは変異を重ねるため、流行するタイプは毎年異なります。大抵は4~5日ほど高熱・関節痛・倦怠感・のどの痛みなどに襲われるものの、一週間も経てばすっかりよくなります。しかし、免疫力や体力の弱き子どもや高齢者はインフルエンザにかかると肺炎や脳症など重篤な合併症を引き起こすことも…。なかには死に至る方もいます。

そんな恐ろしいインフルエンザウイルスの感染経路は2つ。「飛沫感染」と「接触感染」です。

 

①飛沫感染とは?

飛沫感染とは、ウイルスが含まれる感染者の咳やくしゃみの「しぶき(飛沫)」を周囲の人が吸い込んでしまうことで感染が拡がる経路のことです。

とくにインフルエンザはのどや鼻に感染して増殖を繰り返すため、鼻水や唾液、痰などには多くのウイルスが含まれています。これらは咳やくしゃみをすると細かいしぶきとなって周囲に飛び散ります。様々な研究によれば、しぶきが広がる範囲は半径2mにも及ぶとのこと。感染者からある程度離れた場所にいても感染してしまう危険があるのです。

 

②接触感染とは?

接触感染とは、感染者から排出されたウイルスが付着したものに触れ、別の人が口や鼻から体内に取り入れてしまうことで感染が拡がる経路のことです。

ウイルスは体外に排出されるといずれは死滅しますが、一定時間は生存してヒトに感染する力を持ちます。ウイルスの種類によって死滅するまでの時間は異なりますが、インフルエンザウイルスは2~8時間ほどとのこと。あまり長い時間ではないように感じるかもしれませんが、流行時期はドアノブや電気スイッチ、手すり、つり革、トイレの水洗レバー…様々な場所にウイルスが付着している可能性があります。また、気温や湿度、付着した部位などの条件が揃えば、1~2日ほどは生き続けるとの報告も…。家に一人で閉じこもっていない限り、いつどこでウイルスが付着したものに触れてしまうかわからないのです。

 

1-2. なぜ二次感染が起こるのか?

インフルエンザウイルスの感染力は非常に高いとされています。上でも述べた通り、流行時期は学校や職場、公共交通機関、お店など様々な場所で知らず知らずの内にウイルスが含まれたしぶきを吸い込んでしまったり、ウイルスが付着したものを触ってしまったりする可能性があります。

また、インフルエンザの潜伏期間(感染してから症状が現れるまでの時間)は1~2日。症状が現れる前から体外にウイルスを排出しているとされています。このため、感染に気付かず普段通り学校や仕事に行く方から感染してしまうことも少なくないのです。

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新型コロナウイルスの感染経路について分かっていること

現在、世界を震撼させている新型コロナウイルス。2019年年末から中国武漢市を中心に患者が増え続け、瞬く間に世界中に感染拡大を引き起こしました。すでに、2003年に同じく中国から発生したSARSの感染者・死者を大きく超え、現在のところ終息する気配はありません。どのような経緯で新たなウイルスがヒトに感染するようになったのか、元々の出どころはどこなのか、など具体的なことは何も分かっていないのが現状です。

そんな新型コロナウイルスの感染経路は、今のところ上述した飛沫感染と接触感染が濃厚と考えられています。ウイルスによっては、感染者から排出されたウイルスが空気中を漂い、それを同じ空間にいる方が吸い込むことで感染する「空気感染」を引き起こすものもあります。空気感染は手洗いやマスクなど一般的な感染対策で予防することはできないため、非常に恐ろしい感染経路ですが、今のところ新型コロナウイルスが空気感染を起こす可能性は低いとのことです。

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2.二次感染を防ぐ方法

インフルエンザであれ、新型コロナウイルスであれ、感染症の多くは二次感染を引き起こす可能性があります。日常生活を送る上で、完全にウイルスや細菌をシャットアウトするのは困難。そこで大切なのは、いかに二次感染を予防するかです。

では、一般的な感染症の二次感染を防ぐにはどのような対策を講じればよいのか見てみましょう。

 

2-1. 手洗い

感染症対策の基本は手洗いです。接触感染は、ウイルスや細菌が付着した手で口や鼻を無意識に触ってしまうことによって病原体が体内に取り込まれます。

感染症の流行期は知らない内に病原体が手に付着していてもおかしくはありません。むしろ完全に避けることは困難でしょう。そこで大切なのが、手に付着した病原体を「取り込まない」ようにすること。帰宅時だけでなく、外出先でもこまめに手洗いをして病原体が体内に取り込まれる前に洗い流すようにしましょう。

 

2-2. 消毒

ウイルスや細菌は正しい消毒をすれば死滅したり、感染力がなくなるものです。インフルエンザなど一般的なウイルスはアルコール消毒で死滅しますので、手洗い後はアルコールで手指を消毒すると予防効果がアップします。

ただし、冬場に流行しやすいノロウイルスなど、病原体のタイプによってはアルコールでは消毒できず、次亜塩素酸(ハイターなど)での消毒が必要になるものもありますので注意しましょう。

 

2-3. マスク

マスクの着用も接触感染や飛沫感染を予防する効果があります。また、自身が感染者である場合は、マスクを着用することで周囲への感染拡大を予防することができます。

その一方で、新型コロナウイルスの影響で世界的にマスクが品薄状態となっていることに対し、WHOはマスク着用による感染予防効果はそこまで高くないとの声明を発表しました。もちろん、感染症を予防するためにマスクが一役買っていることは否定できませんが、買い占めなどの行動に走らないようにしましょう。

 

2-4. その他にできることは…?

二次感染は感染症が流行している時期に不特定多数のヒトの中にいると、誰にでも起こり得るものです。二次感染を予防するには上記のような対策のほか、「不要な外出を控える」ことも方法の一つです。

また、インフルエンザなどワクチンがある感染症は流行が始まる前に接種を終えておきましょう。

2.感染症に注意!重篤になるリスクが高い方

ご紹介したような予防対策を徹底しても、二次感染を100%防ぐのは困難です。

しかし、次のような方は感染症にかかると症状が悪化しやすいため、特に注意が必要。当てはまる方はより一層の感染対策強化を心がけましょう。

・高齢者
・小児
・妊婦
・糖尿病の既往がある方
・ステロイドを服用中の方
・生活リズムが乱れ、疲れやストレスの多い方

3.二次感染が怖いから病院には行かない方が良い?

感染症が流行している時期、病院は感染症患者が多く受診します。このため、生活習慣病などで定期的に受診している方、ちょっとした体調不良のある方は病院に行くことで感染症がうつってしまうのでは…?と不安になる方も多いでしょう。

しかし、基本的には今回ご紹介した予防対策をしっかり行えば、感染のリスクを大幅に低減することが可能です。定期的な受診が必要な方は、感染症が怖いから…と自己判断で通院をやめてしまうと必要な投薬治療などが続けられず、かえって健康を害する恐れがあります。

もちろん不要不急の受診は控えた方がよいですが、感染症にとらわれ過ぎて通院を中断したり、治療が遅れたりすることがないようにしましょう。

4.まとめ

知らぬ間に生じる可能性がある二次感染…。社会生活を送っていれば、二次感染を完全に予防することは困難です。しかし、今回ご紹介した対策を徹底することで二次感染のリスクは大きく減少します。

感染症の時期は病院受診に抵抗のある方が多いのも事実ですが、治療を受ける必要がある場合は恐れずに感染対策を徹底して受診するようにしましょう。