受精卵の凍結保存が完了し、いよいよ、次なる乳がん治療へと進みます。
手術によって、私の体の中の癌細胞は、画像上確認できるものはなくなりましたが、画像には写らない微細な癌細胞が、“あるかもしれない”と仮定して、予防的に行われるのが、術後の治療になります。
中でも、不安要素の多い治療が、抗がん剤治療でした。
抗がん剤治療をすこやかに乗り越えるためには、精神的な面を整えることも大切ですが、様々な準備品も必要になります。
今回は、「抗がん剤治療で最も悩ましい脱毛対策」について私の経験をご紹介します。

1. 抗がん剤治療で最も悩ましい脱毛対策

抗がん剤治療の副作用の中で、最も悩ましいのが脱毛です。

抗がん剤は、癌細胞のみならず、細胞分裂が活発で健康な組織もろとも攻撃します。日々代謝を繰り返し、生まれ変わっている髪の毛は、確実にダメージを受けてしまうのです。
「容姿を大きく変える、たいへんな副作用になりますが、自分の身に起こることひとつひとつ、丁寧に向き合って対処していくことで、治療中も自分らしく過ごしていきましょう!」

(1) ウィッグ選びは妥協せず

私の場合は、抗がん剤治療を行うことが決定した時点で、それまで勤めていた職場を退職することにしました。

家で過ごす時間が多くなるので、ウィッグを毎日使うことはなく、病院で取り扱っているような、十数万円もするオーダー製のウィッグは使いませんでした。

ひとつは、セミロングのファッションウィッグで、2万円ほど。もうひとつは、医療用だけども3万円台のショートボブのものです。

抗がん剤治療をスタートし、髪の毛が伸びてウィッグを卒業するまでの約1年間、この二つのウィッグで間に合いました。
【乳がん先輩からのアドバイス】
高価なウィッグでなくとも、プライベートで使う分には、ウィッグの上から帽子をかぶることもできますし、違和感やストレスを感じることなく外出することができました。

風が強い日でもずれたり、飛んだりする不安もなく、ウィッグだと見破られてしまうのではないかという心配もありませんでしたよ。

ただ、お仕事で毎日使用するという場合は、自分の納得いくものを、妥協せずに準備された方がいいと思います。やはり、高価なものは、分け目やつむじも、より精巧に造られています。

「ウィッグだとばれるんじゃないか…」と心配していては、仕事にも差しさわりがありますし、抗がん剤治療は長丁場です。日々、少しずつのストレスの積み重ねが、後々、体や心の負担となることも少なくありません。

自分自身が少しでもストレスなく過ごせるよう、自信を持って、外に出られるウィッグを準備することをオススメします。

(2) ロングヘアをベリーショートに

私は、抗がん剤治療が始まる前に、脱毛に備えて、肩より長かったロングヘアをベリーショートにしました。

長い髪の毛がすべて抜け落ちるなんて、想像しただけでも、掃除が大変そうですし、一回の抗がん剤で、キレイさっぱりツルリと脱毛するわけではないので、脱毛し始めたときにウィッグをかぶるとしたら、ウィッグより長い髪の毛は邪魔になります。

また、ショートヘアに馴染みのない場合でも、あらかじめ思い切ったショートを経験しておくと、抗がん剤治療が終わって、髪の毛が生え始めたときに、まだ短い状態でウィッグを外すことへの抵抗感が少なくなり、ウィッグの卒業が早くなるかもしれませんね。
【乳がん先輩からのアドバイス】

私は仕事を退職してしまったので、地毛をベリーショートにしてからセミロングのウィッグをかぶったり、気分によってボブのウィッグに変えたり、周りの目を気にせず、自由な髪型で過ごすことができました。

抗がん剤治療中もお仕事を続ける、あるいは、ママ友やご近所の付き合いが多く、治療のことを公にしたくないという場合は、事前に地毛をウィッグと同じヘアスタイルに整えておくと良いかもしれませんね。

また、私は、長年お世話になっていた美容師さんが男性だったのですが、ベリーショートにしたときも本当の理由を言い出せず、以来、フェイドアウトしてしまいました。

治療が終わって、ウィッグ卒業の際には、ヘアサロン探しに悩み、しばらくの間、1000円カットのお店を利用していましたが、しっくり来ないカットになることもありました。
できることなら、いつもカットしてもらっている美容師さんに治療のことをお話して、ウィッグを卒業するときにも相談に乗ってもらえるのが理想的かなと思います。

(3) 意外と大切、眉毛とまつ毛

抗がん剤治療の脱毛は、頭髪だけではなく、体中の毛が抜けます。まつ毛や眉毛も例外ではありません。

私個人の感想としては、頭髪がないことよりも、まつ毛や眉毛がないことの方が、顔の印象への違和感が強かったです。
【乳がん先輩からのアドバイス】

私は、2種類の抗がん剤を半年間にわたって投与する治療でしたが、眉毛やまつ毛が薄くなり始めたのは、終盤になってからでした。

慣れない“つけまつげ”を数回使用したところで治療が終わり、それから数週間ほどで、マスカラが使用できるほどにまつ毛が伸びてきました。

眉毛に関しては、病院で紹介されたエステ(オーナーさんが癌経験者)にて、アートメイクを入れてもらいました。眉毛にほどこすタトゥーのようなもので、2度の施術が必要でしたし、痛みも多少ありました。

当初は、そこまで準備する必要なかったかなと思いましたが、実際眉毛が抜けてみると、アートメイクがあったおかげで、寝起きでノーメイクの顔をみても、凹んだり落ち込んだりすることなく過ごすことができたと思います。

メイクをする際には、自分の眉毛の位置や形が下書きしてある状態なので、眉毛が抜けた後も、速やかに仕上げることができましたよ。

また、抗がん剤治療を終えて2年経った現在、実は、眉毛は以前より薄くなったままなんです。それでも、まだうっすらとアートメイクが残っているので、重宝しています。

(4) デリケートな頭皮を守るワッチキャップ

私は、抗がん剤治療期間が冬だったので、家の中でも帽子がないと、髪の毛がない頭では、寒くて風邪を引きそうなほどでした。

頭髪って、本当にいろんな役割をしてくれるんだなぁとあらためて感じます。

頭をどんなに丹念に洗っていても、頭髪がないと、頭皮の脂が、直接枕についてしまい、匂いが気になったり。

そこで、活躍してくれたのが、コットン素材の“ワッチキャップ”です。

やさしい肌触りのものは、寝るときにかぶったままでも快適ですし、頭が冷えるのを防いでくれて、枕も清潔に保てます。

髪の毛が抜け始めのときは、毛髪が床に散らばるのを防ぐ役割もしてくれましたよ。
【乳がん先輩からのアドバイス】

私はもともと、ワッチキャップあるいはビーニーと呼ばれるコットン素材のニットキャップを、ランニングの際に愛用し、いくつか所有していたので、それも使うことができました。

髪の毛が完全に抜けると、地肌に直接触れるものなので、こまめに洗濯できるよう、何枚かあると安心です。

本来あるはずの髪の毛がなくなり、家の中にいたとしても、頭皮には乾燥や紫外線等のストレスがかかります。

治療が終わった後、元気な髪の毛が生えてくるよう、治療中から頭皮をいたわってあげたいですよね。

ちなみに、脱毛中のシャンプーや、ボディソープは、赤ちゃん用の石鹸を使用していました。本来なら、うぶ毛に守られているはずの地肌や毛穴は、無防備な状態になります。低刺激なもので、やさしくケアしましょう。
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