1. 今さら聞けない、ジェネリック医薬品って何??

新薬を開発した医薬品メーカーには、独占的に販売できる特許期間(20~25年)が与えられています。ジェネリック医薬品とは、他の医薬品メーカーが、その特許期間が終了した後に、国(厚生労働大臣)の承認を得て、新薬と同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が原則同じものとして販売したお薬になります。ジェネリック医薬品によっては、先発医薬品と効能、用法が異なる場合もあります。

2. ジェネリック医薬品はなぜ安い?

新薬の開発には、約9~17年ほどかかり、約300億円以上もの莫大なコストがかかります。ジェネリック医薬品は、すでに有効性や安全性が確立されている有効成分を使用するため、研究開発費用を約1億円に抑えられ、約3~5年という短い期間で開発が可能となります。そのため、ジェネリック医薬品は、開発コストが抑えられている分、お薬の値段を新薬より安く設定することができます。

3. 教えて!ジェネリック医薬品って本当に同じなの?

(1)お薬の効果、有効性、安全性は同じ

新薬と、有効成分が同じで、効果、有効性や安全性について違いはありません。又、国(厚生労働省)の厳しい審査を経て、新薬と同じ効き目・安全性、品質であることが証明されてから初めて、販売することが認められています。

ただ、お薬によっては、先発医薬品の効能・効果の一部がないものがあります。理由としては、「先発医薬品に新しい効能・効果が追加され、再審査期間が設けられている」または「用途に対して特許がある」などが考えられます。
※特許出願後、およそ20年の特許期間があります。

(2)お薬の添加物が違う?!

お薬の色、味、形状、添加物、などにおいて新薬と違う場合があります。理由としては、別の医薬品メーカーが特許をもっており、同じものが利用できなかったり、飲みやすくするための工夫をしている場合や、安定性を良くするために変更していること等が挙げられます。
※お薬は、基本的に長期で保管するため、温度や湿度などの環境の影響の中で、お薬の品質を保つことができるかどうかの安定性が重要になります。

お子さんが飲まれる粉薬などは、より飲みやすいように味を変え、甘味が調整している場合もあります。

しかし、この場合も、国(厚生労働省)によって、安全性が確認された添加剤が使用され、新薬(先発医薬品)と同じ効き目・安全性、品質であることが、証明されてから販売が認められています。

4. 調剤薬局でジェネリック医薬品に変更できる?

突然処方せんに記載されているお薬の名前が、いつもと違うお薬の名前になっていることに気づき、戸惑ったことがある方がいるかもしれません。

これはお薬の名前の表記が商品名ではなく、「成分の名前=一般名」に変更されている可能性があります。この場合は、患者さんとの相談の上、調剤薬局の薬剤師の判断で、その成分に相当するジェネリック医薬品を選び、お渡しできるようになっています。又、ジェネリック医薬品の名称の記載で、「変更不可」となっていない場合も同様に、調剤薬局で変更することができます。

5.ジェネリック医薬品に変更するとどれぐらいの費用の差がでる?

高血圧のお薬(1日1回1錠、30日間服用)での1年間

お薬の価格は、種類によって全く違ってきます。1錠、数円のものから千円以上するものなどがあります。又、医療保険のご自分が負担する金額の割合によっても、安くなるという実感が変わってきます。一概にはどれぐらいの費用の差が出るかは言えないのですが、長期で服用しているお薬は、1年のスパンで考えるとだいぶ金額に差がでてきます。
2つのお薬を参考に記載しておきます。
先発品 1錠 54.50円 30日間で1,635円
後発品 1錠 12.80円 30日間で384円
30日間で1251円の差、1年間で15,012円の差
(1割負担) 1,502円の差
(2割負担) 3,003円の差
(3割負担) 4,504円の差

前立腺のお薬(1日1回1錠、30日間服用)での1年間

先発品 1錠 910.4円 30日間で27,312円
後発品 1錠 398.10円 30日間で11,943円
30日間で15369円の差、1年間で184,428円の差
(1割負担) 18,443円の差
(2割負担) 36,886円の差
(3割負担) 55,329円の差

金額の差は、先発医薬品の価格、ジェネリック医薬品の価格、保険の負担割合、処方期間などによっても大きく変わってきます。

また、ジェネリック医薬品の中でも価格が違うものがあります。そのため、実際にご自分が飲まれているお薬が変更でどれぐらい安くなるかは、薬局に相談するようにしましょう。

6. 希望のジェネリック医薬品があるのだけれど・・

たまに、ジェネリック医薬品の中でも、「指定のメーカーが良い」、又、「より安いものが良い」とご希望される患者さんもいらっしゃいます。

ただ、必ずしも薬局にご希望のジェネリック医薬品があるとは限らないので注意が必要です。薬局の取引先の状況や流通状況、薬局が品質の良いジェネリック医薬品を選出して置いてあるなどの様々な理由で、在庫を置いてない場合が多くあります。そのため、希望のジェネリック医薬品がある場合は、事前に薬局に相談するようにしましょう。

7. ジェネリック医薬品に変更後の注意事項

患者さんの体質によっては、添加剤の違いにより、アレルギー反応などの副作用を引き起こすことがまれにあります。これは、ジェネリック医薬品に限らず、新薬であっても同様に起こりうることです。もし、体調に変化がみられた場合は、直ぐにかかりつけの病院を受診しましょう。

また、変更したところ、今まで得られていたお薬の効果が得られなくなったという場合、ジェネリック医薬品への不安感による心理的要因も考えられます。又、お薬そのものに問題がある可能性も完全に否定はできません。そのような場合は、かかりつけの医師、薬剤師に相談してみましょう。

8. おわりに

今まで飲まれているお薬で症状が安定している場合、ジェネリック医薬品が同じお薬の成分で同じ効果だからと言っても、変更することに難色を示されるのは当然のことだと思います。

まずは、医師や薬剤師に相談した上で、ジェネリック医薬品に変更し、様子をみながら服用を続けることをおすすめします。もし納得がいかない場合は、元に戻してもらうよう医師、薬剤師に再度、相談しましょう。昨今、ジェネリック医薬品は医療費削減の効果があると期待されており、国も使用を推進しているお薬になります。患者さんのお薬代の負担も軽減されるため、正しく理解した上で、ジェネリック医薬品に変更してみましょう。