抗がん剤治療と、妊娠出産の可能性

術後の病理結果により、抗がん剤治療を受けることが決定しました。
退院して、おだやかな時間を過ごしつつも、頭の中は、抗がん剤治療への不安やとまどいがモヤモヤとくすぶっている日々。

そして迎えた、退院後はじめての通院日。ドクターから意外な提案が飛び出したのです。

「今後、妊娠出産を望むのであれば、抗がん剤治療の前に、受精卵を凍結したらどうですか?」とのこと。

“受精卵凍結”?!
そんな現代医学の最先端ともいえる治療が、まさか、自分の人生の選択肢の中に登場するとは、想定外のことでした。

妊娠が不可能になる乳がん治療

私の術後の治療方針は、抗がん剤を半年、その後約1ヶ月の放射線治療、そして5年間のホルモン療法です。

抗がん剤治療では、卵巣機能もダメージを受けるので、生理が止まります。治療が終われば生理も再開すると言われていますが、そのまま閉経してしまう場合もあるそうです。
また、ホルモン療法は、女性ホルモンを餌として成長する癌細胞を退治するために、女性ホルモンの分泌を抑える薬を服用する治療法です。女性ホルモンを抑えるので、生理が止まったり、あるいは生理はあっても排卵していない状態になります。これを最低5年間、必要に応じて10年間行うことで、乳がんを予防し、完治を目指すのです。

私が乳がんの手術を受けたのは36歳のとき。半年の抗がん剤治療の後、5年間のホルモン療法が終わる頃には42歳です。抗がん剤とホルモン療法によってダメージを受けた卵巣機能が復活する保証もないですし、復活したとしても、統計的には自然妊娠が難しい年齢になります。

乳がんに気付かされた自分の本心

私が結婚したのは31歳のとき。数年経っても妊娠しなかったので、夫婦で検査を受けたことがあります。結果は、とくに異常なし。明らかな不妊の原因は見当たらなかったのです。その時は、不妊治療専門クリニックではなく、一般的な婦人科だったので、「漢方薬でも出しましょうか?」という程度の診察でした。

私はこれまで病気をしたことがなく、病院や薬にネガティブなイメージを持っていました。どこも悪いところがないのに、わざわざ病院に行って、薬を投与し、時間もお金も使って妊娠を試みることに強い違和感を持っていたのです。
私たち夫婦間では、「自然に妊娠しないのであれば、子どもはいなくてもいい。」という結論に至っていました。

ところが、乳がん治療によって、“絶対に妊娠できなくなる”という状況になったとき、私の中に押し寄せたのは、大きな後悔でした。「こんなことになるなら、早いうちに不妊治療して産んでおけばよかった!」と思ったのです。納得して歩んでいたはずのライフプランとは、真逆の考えでした。

「自然に妊娠しなければ子どもはいらない。」と言いつつも、きっと心のどこかで、「そのうち一人ぐらい授かるだろう。」という思いがあったのでしょうね。人生最大の“後悔先に立たず”といえる出来事です。

乳がん先輩からのアドバイス

昨今、“卵子の老化”が話題になっているように、病気にならなくとも、妊娠能力にはリミットがあります。
限りある“産める時期”に、産むか、産まないか。パートナーがいるひとはもちろん、いないひとも、あらためて考え、自分の気持ちを確認し、整理しておくことも大切なことかもしれませんね。

私は、乳がんになって初めて、自分の本当の気持ちに気付かされました。今思うと、日々の楽しみや忙しさにかまけて、妊娠出産について真剣に向き合っていなかったように思います。
20代は広告会社での仕事に揉まれて、あっという間に過ぎ去っていました。30代になり、結婚して、正社員での仕事を辞め、自由になった時間を謳歌していたときの乳がん発覚。神様から、「本当にこのままでいいのか?!」と、生き方の見直しを突きつけられたように感じました。

今、自分が望む未来、「こんな風になりたい」という願望が、本当に心から望んでいることなのか、時々、問いかけてみてください。新たな道がみえてくるかもしれないし、今歩んでいる道を、さらなる自信を持って進んで行くきっかけになるかもしれません。

一度きりの人生です。できることなら、悔いのない道を歩んでいけたらいいですよね!

体と心を元気にする、乳がん術後おうちヨガ。

やさしい筋トレ

主な効果:筋力アップ、血流促進、筋肉の緊張緩和

ストレッチで筋肉を伸ばすことも、体の活性化のために大切なことですが、伸ばすばかりでは、伸びきった輪ゴムのような“使えない”筋肉になってしまいます。
また、乳がん術後は、術側をかばいすぎて動かさなくなることで、筋力が低下したり、血流が悪くなる可能性もあります。だからといって、術後すぐから、ジムのマシンで鍛えたり、ダンベル持って筋トレするわけにはいきません。

そんな時に効果的なのが、自分自身の力と体を使って“押し合う”ことで、無理のない範囲で負荷をかけ、筋肉を鍛えることができるトレーニングです。

1)胸の前で合掌し、合わせた手の平を押し合う。

押し合う前に一息吸って、吐きながら押し合います。そして、吸ってゆるめて、また吐きながら押し合います。これを各ポーズ、5回ずつ繰り返します。押し合うときは、70%くらいの力で行います。

2)右手を伸ばし、左手は肘を曲げて交差する。右手と左手の接している面で押し合う。反対側も行う。

伸ばしている腕は外側へ、曲げている手は自分側に向けて押し合います。

腕を前に伸ばすことで、手術した傷跡に触れて気になるようであれば、ヒジを曲げて、胸に当たらないように行います。
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