1.傷跡が出来る原因

ケガをすると、傷跡が残ってしまう原因は何でしょうか?

傷口が出来ると、傷口から細菌やウイルスが侵入するのを防ぐために、免疫細胞が傷口に集まり、細菌やウイルスと戦います。

 

免疫細胞により細菌やウイルスの侵入・増殖を防いだ後、線維芽細胞と呼ばれる細胞が、コラーゲンを作り組織を修復します。

同時に、傷口に酸素や栄養を届けるための新しい血管が再生され、皮膚の一番外側の表皮が再形成されていきます。

 

この時、血行不良により皮膚の修復が滞ると、コラーゲンの盛り上がりにより起こるケロイドや、炎症による色素沈着の原因になります。これらが傷跡になります。

 

そのため、傷跡を残さないためには、傷ができた皮膚の血行を良くし、炎症を抑制する必要があります。

 

 

2.傷跡を治す市販薬は?

傷跡を残さないためには、血行を良くすることや炎症を抑えることが重要であることがわかりました。

それらの効果により傷跡を改善する市販薬には、次のようなものがあります。

 

 

アットノンEX(第2類医薬品)

透明のジェルタイプです。使用感がさらっとしていてベタつきにくいのが特徴です。

血行促進作用のある「ヘパリン類似物質」の他に、表皮の再生を促進する「アラントイン」と炎症を抑える「グリチルリチン酸二カリウム」が配合されています。

 

【有効成分(100g中)】

・ヘパリン類似物質(0.3g)

・アラントイン(0.2g)

・グリチルリチン酸二カリウム(1g)

 

アットノンcEX(第2類医薬品)

有効成分は「アットノンEX」と同様ですが、しっとりとしたクリームタイプになっています。

 

【有効成分(100g中)】

・ヘパリン類似物質(0.3g)

・アラントイン(0.2g)

・グリチルリチン酸二カリウム(1g)

 

アットノンt(第2類医薬品)

傷を隠しながら治療できるコンシーラータイプの商品です。

有効成分は血行促進作用のある「ヘパリン類似物質」のみです。

 

【有効成分(100g中)】

・ヘパリン類似物質(0.3g)

 

 

 

メンソレータム アトキュア(第2類医薬品)

トロッとした乳液ローションタイプです。

「ヘパリン類似物質」と肌の新陳代謝を促す「ビタミンA油」により、ゴワついた肌を改善します。

 

【有効成分(100g中)】

・ヘパリン類似物質(0.3g)

・ビタミンA油(0.5g)

 

3.使用方法は?

アットノンシリーズ

1日1〜数回 、適量を患部に擦り込むか、ガーゼなどに伸ばして貼って使用します。

 

メンソレータム アトキュア

1日1〜数回、適量を患部に塗布します。

 

4.有効成分「ヘパリン類似物質」の効果とは?

上記の4つの医薬品に共通して含まれている有効成分が「ヘパリン類似物質」です。

 

「ヘパリン類似物質」は、その名前の通り「ヘパリン」という体内物質に化学構造が類似している物質です。

医療用医薬品で保湿剤として有名な「ヒルドイド」や「ビーソフテン」の有効成分と同じものです。

 

 

体内物質「ヘパリン」とは?

ヘパリンは、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などと同じ「ムコ多糖類」と呼ばれるグループの物質です。

肝臓で作られ、体内で血栓が出来るのを防ぐ作用のある「アンチトロンビン」という物質の働きを助ける役割をしています。

体内でヘパリンが不足すると血管内で血栓ができやすくなり、様々な疾患の原因になります。

 

医薬品としてもヘパリンは、血栓が原因となる脳梗塞や心筋梗塞、静脈血栓症の治療や、血管カテーテル手術や血液透析時の血栓予防に使用されています。

 

一方、ヘパリン類似物質は、ヘパリンと化学構造が類似していますが、抗血栓作用よりも高い保湿作用を持つため、保湿剤として販売されています。

 

 

 

ヘパリン類似物質には、肌へ塗布することで以下のような作用が認められています。

 

①保湿作用

角質に水分を与えることで、持続的な保湿効果があります。

ワセリン、プロペト、尿素などの他の保湿剤に比べ高い保湿効果が得られます。

 

②血行促進作用

血行を促進し、肌の新陳代謝を促し、傷跡やシミを修繕します。

 

③抗炎症作用

炎症を抑制し、肌荒れを改善します。

 

 

「アットノン」「アトキュア」の全商品に、医療用と同じ濃度のヘパリン類似物質が含有されており、これらの作用により傷跡に対する効果が期待できます。

 

 

5.どんな傷跡に使える?

擦り傷、切り傷、火傷、搔きむしりなどの幅広い傷跡に使用できます。

 

6.どう使い分ければいい?

「アットノン」シリーズや「アトキュア」の各商品をどのように使い分ければ良いでしょうか?

それぞれにヘパリン類似物質が同濃度含まれているため、その他の有効成分や使用感などの違いを理解して商品を選択しましょう。

 

赤みが強く残っている場合は、抗炎症成分「グリチルリチン酸二カリウム」が配合されている「アットノンEX」や「アットノンcEX」が適しています。

赤みは強くなく、肌のゴワつきが気になる場合は「ビタミンA油」配合の「メンソレータム アトキュア」が良いでしょう。

傷跡を隠しながら治療を行いたい場合は、コンシーラタイプの「アットノンt」がおススメです。

 

 

7.価格の比較

それぞれの価格を比較してみましょう。

1gあたりの価格でみると、アトキュアが一番安いのがわかります。

 

 

1本の容量

価格

1gあたりの価格

アットノンEX

15g

1,300円

86円

アットノンcEX

15g

1,300円

86円

アットノンt

10g

1,300円

130円

メンソレータム アトキュア

20g

1,300円

60円

※価格は、メーカー希望小売価格

 

 

 

次々と市販されているヘパリン類似物質外用薬

 

2018年頃から、ヘパリン類似物質を含む市販の外用薬が続々と新発売されました。

その背景には、処方薬としての「ヒルドイド」や「ビーソフテン」などのヘパリン類似物質外用薬が治療目的ではなく、美容目的での使用例が問題になったことが関係しています。

 

ネットでの口コミなどで「ヒルドイド」や「ビーソフテン」の美肌効果が有名になり、公的医療保険を利用して処方されたものを、美容目的で使用している方が急増し、医療費圧迫の一因と考えられていました。

 

このことがテレビでも報道された結果、公的医療保険での処方量が減少し、ヘパリン類似物質外用薬の市販薬が次々と登場する結果となりました。

 

このケース以外にも、美容目的での医薬品使用が見受けられることがあります。

公的医療保険は本来、治療を目的にしか利用できないため、美容目的での利用はできませんので注意しましょう。

 

8.どれぐらいの期間使い続ければいいの?

効果には個人差があり、症状の程度によるので一概には言えませんが、使用後1週間程度で効果を感じられる場合もあれば、1ヶ月以上使用してから効果がみられる場合もあります。

肌のターンオーバー(新陳代謝)のサイクルは、およそ28日間といわれているため、1ヶ月以上の継続的な使用をおすすめします。

 

9.「アットノン」や「アトキュア」では治らない傷跡は?

傷が出来てから3年以上経過した傷跡には、効果が期待できないようです。

 

10.使用上の注意

アットノンやアトキュアは安全性の高い外用薬であるため、副作用はほとんどありません。しかし、傷口に使うタイミングには注意が必要です。

 

ヘパリン類似物質には、血行促進作用と血を固まりにくくする抗血栓作用があります。そのため、まだ出血が止まっていない傷口やジュクジュクしている肌に使用すると、出血を助長させてしまい、傷の治りが悪くなることがあります。

 

必ず出血が止まっていて、傷口が安定しているのを確認してから使用しましょう。

目安としては、かさぶたが自然に剥がれれば使用可能と考えていいでしょう。

また、使用部位にかぶれや刺激感が見られる場合は使用を中止してください。

 

11.おわりに

傷跡が気になる方には、医薬品の「アットノン」や「アトキュア」はとてもおすすめです。

ドラッグストアで購入出来るので、傷が出来てしまった時に手軽に使えるのが良いですよね。

 

傷跡を残さないためには、保湿をしっかりと行う、傷口を日光に当てない、かさぶたを剥がさないことも大切です。