目次

・薬剤師になるには
・勤務先ごとの仕事内容と役割
>病院
>調剤薬局
>ドラッグストア
>製薬会社
>企業内診療所
・登録販売者と薬剤師の違い
・薬剤師の必要性
・「産業薬剤師」が目指す医療への貢献
・まとめ

薬剤師になるには

薬剤師国家試験に合格しなければ薬剤師にはなれません。
その受験資格を得るには、国公立、私立合わせて73大学のいずれかの薬学部の内、6年間勉強する薬学科を卒業(見込み含む)しなければいけません。

国家試験に合格した後、保健所を通じて厚生労働省に薬剤師登録をすると、晴れて薬剤師として業務を行うことができます。

勤務先ごとの仕事内容と役割

病院

救急、入院、手術などの病院の中で使用する薬の準備とそれに付随する業務がメインになります。また、院外処方せんを発行しない場合は外来患者の薬も準備します。

入院患者のベッドまで行って薬の飲み方などの説明を行う病棟業務が多く、薬の効果や副作用を確認するために薬剤師が聴診器で心臓の音を確認するなど対人的な業務が増えており、対物的な薬の準備だけにとどまりません。

その他、医師から尋ねられる治療方法について答えたり、救急外来や手術室にも駐在して緊急的に使用する薬の準備を行うなど幅広く業務を行います。
さらに以前と比較して薬の種類が増えて複雑化していますので、医師と同じようにガンや感染症など専門的な分野に注力している薬剤師もいます。

医師や看護師とチームを組んで最適な治療を行うのが病院で勤務する薬剤師の大切な努めですから、入院中の治療薬で気になることがある場合に薬剤師が頼りになります。
また、がん治療は通院で行うことが多くなっており、一部の病院では医師診察前に薬剤師と面会して副作用の確認をする事例があります。
医師に「こんな些細なことを言ってもいいんだろうか」と思って言いづらいことも、薬剤師なら気軽に相談できることもあると思います。

調剤薬局

病院から発行される院外処方せんに基づいた薬の準備が主な業務です。
処方せんの不備確認、他の病院での薬との飲み合わせ確認などを行った上で、患者さんとの会話の中から副作用の確認なども行います。
処方せんには薬の名称や使用法の記載しかないため、どういった病気でどのように薬を使用するかを知り、薬剤師の力を十分に発揮するためには対話が非常に重要です。
医師とは違う観点で薬の効果や副作用の確認も行いますので、面倒がらずに調剤薬局の薬剤師とも積極的に会話をしてみてください。

医療用医薬品に対する効果や副作用で気になることがあれば、調剤薬局に勤務する薬剤師を頼るといいでしょう。
また、薬の準備や飲み方などの説明にとどまらず、病気予防のために健康的な生活習慣を支援することもできますので、例えば糖尿病や高血圧などの生活習慣病になった時の食生活やオススメの血圧計など、治療を補助する内容も相談できます。

ドラッグストア

患者さんの症状を聞いて最適な市販薬を紹介するのが主な業務です。
ドラッグストアには粉ミルクなどの赤ちゃんのグッズから、化粧品や介護用品まで生活に関わる多くの物品が販売されています。

そのためドラッグストアの薬剤師は薬の知識の他に生活をする上での有用な知識を持っていますので、子育てから介護まで健康や福祉に関わる身の上相談をするにはぴったりで頼りになる存在です。
医療用医薬品についても問題なく相談できますが、それよりも市販薬、サプリメント、健康食品で健康を保ちたいと考える時にも頼りになるでしょう。

製薬会社

研究開発、生産、営業と製薬会社のあらゆる場面で薬剤師が活躍しています。
しかしながら、病院や薬局と違って製薬会社で働くためには薬剤師である必要はないため、個人的な推測ですが製薬会社社員の中で薬剤師は20%くらいではないか考えます。

私もかつて製薬会社で臨床開発職で勤務していましたが、10人チームの中で薬剤師は3人しかいませんでした。

企業内診療所

大手企業の中には会社の中に診療所を保有している場合があります。
まさに私が現在勤務している所がそうです。

企業診療所の位置づけは会社によって異なります。まれにガッツリ治療を行う企業内診療所もありますが、多くは頭痛や花粉症などの軽症の治療を行い元気に働いてもらえるようにする応急処置を目的としています。
そのため、治療効果も高いが副作用発生が多いリスキーな治療は行わず、副作用が少なくてそこそこ効果がある治療が最も好まれます。

企業内診療所の薬剤師は薬の準備や説明だけではなく、こうした安全な治療方法の企画・提案も行います。
また、企業内診療所で勤務する薬剤師の強みは、業務に直結した医薬品の取り扱いについて詳しいところです。
例えば、海外出張や海外赴任する時に持病の薬を持参できるか、海外の医療機関で治療が継続できるか、海外生活をする上で留意すべき病気やその治療などがあります。
仕事を円滑に進める上で薬が関わる時には、病院や調剤薬局の薬剤師よりも企業内診療所の薬剤師の方が頼りになることが多いです。

登録販売者と薬剤師の違い

市販薬の専門家が登録販売者です。医師が処方する医療用医薬品を取り扱うことはできません。
登録販売者は薬学部を卒業しなくても、実務経験があれば国家試験が受験できます。

市販薬には、副作用リスクの高い方から「要指導医薬品」、「第一類医薬品」、「第二類医薬品」、「第三類医薬品」の4種類があって、登録販売者は比較的安全な第二類医薬品と第三類医薬品を販売することができます。
要指導医薬品と第一類医薬品は薬剤師しか販売することができませんが、市販薬のほとんどが第二類医薬品か第三類医薬品ですので、ドラッグストアによっては登録販売者のみで営業している場合もあります。

また一部コンビニでも登録販売者を雇って医薬品を販売していることもあります。

薬剤師の必要性

病院で医師が診察して治療薬を決定し、薬局で薬剤師がそれを準備する「医薬分業」は、海外では当たり前のことです。
病院で薬がもらえることがある日本の方が珍しいくらいです。

王様や皇帝の主治医が薬と称して毒を盛らないように薬を準備する人を分けたのが始まりですが、今では医療事故の防止のためにダブルチェックとして機能しています。
医師だって人間ですからミスもあり得ますし確認が漏れることもあります。
そうした時に薬局で薬剤師からのチェックが入れば安心ですよね。
薬局では医師のカルテと同じように一人ひとりに対して薬の服用歴やアレルギー歴などを記載した「薬歴」を記載し、医師と薬剤師とは違う観点に立ってチェックし合いミスをなくす仕組みになっています。

医師に話をしたからと薬局で何も語らない方がおりますが、こうしたチェック機能を自ら放棄しているのと同じです。
体調が悪かったり面倒であっても、可能な範囲で薬剤師との会話をしてみてください。

「産業薬剤師」の役割

「産業薬剤師」とは

労働安全衛生法で一定の規模の企業には社員の健康管理を行う「産業医」を設置しなければいけません。
産業医一人では数多くいる社員の健康管理を行うことはできませんから、産業保健師や産業看護師がそのサポートをします。
薬剤師は企業に在籍する必要はありませんが、薬の専門家としての知見で社員の健康管理を担うことができるため、体力のある企業では社員の健康管理を行う部署に薬剤師を雇用していることがあります。
まさに私がそうですが、そのような薬剤師のことを私が勝手に「産業薬剤師」と名乗ってブログやこのコラムで情報発信をしています。

「産業薬剤師」が目指す医療への貢献

会社は一日の半分近くを過ごす場所ですから、そこでの生活ってかなり重要です。
例えば作業上で危険な薬品を使う場合があります。
そうした時に取り扱う薬品の危険性の周知や安全に扱うために必要なこと、万が一事故が起こった時の対処方法など薬剤師の観点から作業上の危険回避策の構築を行います。
また、最近では会社が社員の健康増進に投資を行う「健康経営」という考え方が広がっています。
それは業務時間中に生活習慣病の教育を行ったり、健康的な生活ができるような環境づくり、仕掛けづくり、きっかけづくりや気づきの提供などを行うことです。

産業薬剤師は病気になった人に対して活躍するのではなく、産業医や産業保健師・看護師と共に仕事を通じて健康を悪くしないようにすることは当然ですが、むしろ働くことで健康になるヒントをたくさんもらえる仕掛け人として予防分野に貢献する役割を持っています。

まとめ

大学の薬学部卒業後(見込み含む)の薬剤師国家試験に合格することでなれる薬剤師。

専門的な知見をもとに重症患者の治療に貢献する病院薬剤師を始め、薬の専門家としてではなく医療職の一員として予防医療に貢献する産業薬剤師など、薬剤師といっても様々な場所で大切な役割をもって活躍しています。