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【医師解説】糖尿病性神経障害はいつから起きる?原因・予防を解説

糖尿病

2021年11月24日更新
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糖尿病は、単に血糖値が上がると言う事が問題になる病気ではありません。血糖値が非常に高くなると高血糖による脱水症状が引き起こされたり、場合によっては意識障害を起こしたりする事もあります。その一方で普段から少し高めの血糖値で推移している場合は自覚症状がなかなか出ないことも多くあります。

しかし、少し高めの血糖値が長く続くと、非常に細い血管の内皮細胞が傷害され、血流が悪くなります。そして血流障害が蓄積することで様々な症状が引き起こされるのです。糖尿病の3大合併症と言われているのが腎不全、網膜症、末梢神経傷害とされていますが、それらはいずれも血流障害が原因となるのです。今回は、その中でも末梢神経傷害について説明しましょう。

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糖尿病性神経障害って何?

 

糖尿病性神経障害とは、糖尿病患者におこる合併症の一つです。

全身から脳まで触った感覚や痛みなどを伝える神経が特に傷害されやすく、自覚症状として表れます。他の糖尿病による合併症はある程度進行しないと自覚症状が出ないことも多いので、最も早期に気づくことが多い糖尿病合併症でもあります。

原因

末梢神経は、非常に細い血管で栄養されることで機能と構造が維持されています。しかし、高血糖が続くとその血管の内皮細胞が傷害され、血流が悪くなります。その結果、神経の機能と構造が維持できなくなり、神経の働きが鈍くなってしまうのです。

糖尿病性神経障害の特徴は、手足の末端付近から症状が始まることにあります。神経を栄養する血管は神経に沿って走行し、手足の末端に至るほど細くなってきます。

そのため、手足の末端に至るほど血流障害の影響を受けやすくなり、神経障害が出やすいのです。
ですので、より神経が長い走行を示す下半身に症状が多くなり、足の指から症状を感じることが多いです。また左右で神経の長さはあまり変わりませんから、左右対称の神経障害が起こります。

症状

自覚症状としては感覚が鈍くなってしまうことが多いといわれます。"靴下を一枚多くはいたような"と表現する人が多いです。

他には「神経障害性疼痛(とうつう)」と呼ばれる、いわゆる「ジンジン、チクチクした痛み」を感じることが多くなります。このような疼痛は、神経が修復されるときに起こる痛みだと言われています。

ですので、痛みが全く無く感覚が傷害されているだけの状態で放置していると、神経の修復が行われていないということでもありますから、神経障害がさらにひどくなってしまう場合があります。

さらに重症化すると内臓の動きをコントロール神経も傷害され、排尿障害や便秘、下痢が起こったり、運動神経が傷害されて顔面の運動麻痺が起こったりします。

診断・検査方法

診断のメインとなるのは自覚症状です。

上記の通り、手足の末端付近からはじまる感覚障害もしくは神経障害性疼痛という特徴的な症状で疑います。

症状の出ている範囲によって重症度も決められます。その上で、末梢神経傷害があると言う事を証明するため、アキレス腱反射を見たり、神経伝導速度検査という検査を行ったりします。他の神経障害で同じような症状、徴候を示すことがありますから、除外のために血液検査やMRIなどの画像検査を行う事もあります。

 

糖尿病性神経障害はいつから起きる?

 

いつから糖尿病性神経障害を自覚するかというのは、血糖値の推移や他の合併症などの条件が関わるため個人差が非常に大きくなります。一般に高血糖状態が5年継続した程度で症状を自覚し始めると言われています。

しかし、あくまで自覚する時期がその頃と言う事で、それまでも神経障害は知らず知らずのうちに進んでいます。

予防には血糖コントロールが重要

 

末梢神経は一度障害を受けるとなかなか元通りには戻りません。また、末梢血管障害は高血糖が続いた時間の累積で引き起こされると言われています。ですから、糖尿病性神経障害を予防するには血糖値を適切にコントロールすることが重要なのです。

 

専門医を受診する

糖尿病治療の3本柱は、薬物療法、運動療法、食事療法です。

とはいえ、糖尿病の進行度によってそれぞれの治療に色々と変化が出てきます。ですので、もし糖尿病と診断されたらかかりつけ医をつくり、必ず定期受診をするようにしてください。

特に末梢神経傷害による症状が出ている場合は、全身の細い血管がダメージを受けているという事ですから、他の合併症(腎障害、網膜障害)が出てきていないかを調べる必要があります。糖尿病の専門医がなかなか分からないという場合は、とりあえず近くの内科を受診しましょう。

現代はかなりの方が糖尿病をお持ちですから、糖尿病を知らずに開業している内科医はまずいません。もし糖尿病専門医の診察が必要であれば、その都度紹介してくれるはずです。

 

薬物療法を行う

糖尿病の薬物療法は大きく分けて2種類です。内服の薬(飲み薬)とインスリンの自己注射になります。

内服の薬は糖分の吸収を和らげる薬や、体内でのインスリン分泌を促進する薬、糖分の尿への排泄を促進する薬など、非常に多岐にわたります。

体内のインスリン分泌の能力など体内の状況によって選択されるだけではなく、食事の時間や睡眠時間など、普段の生活を含めた様々な状況に応じて使い分けができます。一方で、生活リズムに合わない薬を内服しても、あまり効果が得られない場合がありますので、ぜひとも医師に相談しましょう。


インスリンは膵臓で分泌され、血糖値を下げる唯一のホルモンです。糖尿病はインスリンの分泌が減少するか、もしくはインスリンの効果が薄くなる病気ですから、体外から補充することで血糖値を下げる役割を担います。インスリンも作用時間や強さなど色々種類がありますので、こちらも生活状況を医師に伝える事が重要です。

トクホやサプリメントを過信しない

トクホとして売られている商品は、十分な研究・検証を行い、厚生労働省の認可の下に発売されています。

しかし、糖分の吸収を抑えると表示されているトクホも、あくまで糖分を吸収されにくくする役割を担うだけです。糖分の摂取量が多ければ身体への吸収量は多くなり、結局血糖値が上昇してしまいます。

また、吸収された分の糖分を下げるための色々な作用機序を持つ商品は薬品となってしまいますから、トクホとして売られることはありません。あくまで普段の食品を代替して利用することで血糖が上がりにくくなるかも、という程度にとどめておくのが良いでしょう。

糖尿病だろうけどトクホを飲んでおけばとりあえず大丈夫という考えは厳禁なのです。また、トクホは厚生労働省が厳しいチェックを行って認証を行っているため、ある程度効果を期待してもよいのですが、サプリメントについてはほとんどの場合は開発した会社が独自に品質を調査しているだけですので、表記している効果が実際に得られない事も多いです。必ず医師を受診しましょう。

 

食事療法を行う

いくら良い薬があっても、普段の食生活並びに運動習慣が良くなければ血糖値の改善はなかなか望めません。

やはり、食事療法と運動療法は糖尿病治療の基本となりますし、しっかり行えば場合によっては薬の内服をしなくても済むかもしれません。ただし、注意していただきたいのは”食事療法は食事制限ではない”ということです。

確かに糖分の取り過ぎは血糖値の上昇を促しますし、食事の総摂取量が多ければ血糖値は下がりにくくなります。また、特に腎障害の進行度に応じては摂取を制限しなければならない、あるいは多めに摂取しなくてはならない栄養素も多くあります。やはりまずは現在の糖尿病の状態を知る事が大事で、それに応じた治療の一環として、食事内容を調節するということが、”食事療法”となります。

 

食事以外にもできる血糖値の上昇を抑えるためのポイント

 

内服、食事療法にならぶ糖尿病治療の3本柱の最後は運動療法になります。しかしこちらも、自己流の運動療法は不十分だったり、あるいは身体に害の方が大きくなったりする場合があり、注意が必要です。なぜでしょうか。

あまりおすすめできない「階段昇降」

例えば、運動をするために出勤するときにエレベーターを使わずに階段にした、という方はいらっしゃいませんか?

確かに階段を利用すると息が上がり、いかにも運動をしたという気になるかもしれませんが、階段を1段上がるのに消費するカロリーは0.1キロカロリーと言われています。1階当たり約20段とすると、2キロカロリーです。10階上がっても10キロカロリー。十分な運動量にはほど遠くなります。さらに階段は膝への負担が大きいと言われています。

肥満があるならば更に負担は強くなりますから、膝が痛くなり、逆に運動ができなくなってしまう可能性があります。

どのような運動が勧められるのか?

運動をするというのであればしっかりと運動の時間を用意し、ウォーキングなどでもかまいませんので十分な時間をかけて行う有酸素運動が効果的だと言われています。

有酸素運動を行うと、糖分が消費されて血糖値が下がるほか、インスリンの効果が高まり、それによっても血糖値が下がりやすくなります。膝や腰に痛みがあるのであれば、プールが有効です。泳がなくてもウォーキングをするだけで身体にほどよい負担がかかり、高い効果を得る事ができます。

 

運動療法も医師の指示を仰ぐべき

運動療法は確かに血糖値を下げるために有用です。

しかし、糖尿病による合併症が重症で治療が十分なされていないときに運動療法を無理に行うと、合併症が重篤化してしまうと言う事もあります。やはり、自己流でいきなり無理に運動を始めるのではなく、まずは医師に相談してから始めるのがよいでしょう。

 

喫煙は厳禁!

喫煙をすると、交感神経の働きが強くなり、その影響で血糖値が上昇します。また、喫煙自体でインスリンの作用を減弱させる作用もあり、糖尿病にとっては二重の増悪因子となります。

さらには喫煙自体に末梢血管の障害作用がありますから、糖尿病性神経障害を含めた合併症の発症率や重症化の速度も増加します。糖尿病の治療の面でも、合併症発症予防の面からも、禁煙は必須なのです。

 

糖尿病性神経障害に関するQ&A

 

糖尿病性神経障害について、よくある質問にお答えします。

 

糖尿病性神経障害は何科を受診すればよいですか?
先に述べたとおり、糖尿病性神経障害は糖尿病の合併症として最も多く見られる合併症です。そして、糖尿病は現在は全ての内科医が治療を行うような疾患です。

ですので、どこの病院でもかまいませんから普段からかかりやすい病院を選んで受診しましょう。専門の先生だからと無理をして遠い病院を受診しはじめても通院が滞っては意味がありません。もし神経障害があると判断され、専門の治療が必要と判断された場合には、かかりつけ医からの紹介に従って受診するとよいでしょう。
糖尿病性神経障害による痛みに対してはどのような薬が効きますか?
通常、人間は皮膚や内臓にある痛みを検知する受容体で痛みを感知し、その情報を神経が大脳に伝える事で痛みを感じます。

薬局で販売されている鎮痛薬や一般に病院で鎮痛薬として処方される薬剤は、痛みを検知しにくくする薬剤です。そのため、糖尿病性神経障害を含めて神経自体が損傷する神経障害性疼痛にはあまり効果がありません。神経障害性疼痛には三環系抗うつ剤やプレガバリン、デュロキセチンといった専用の薬剤があり、必要に応じて処方されます。

ただし、それらの薬剤は合併症によって使用量が異なったり、副作用があったりするため、専門医以外には使用しづらい薬剤です。効果をあまり感じられない場合は一度ペインクリニックや神経専門医などを受診することをおすすめします。
糖尿病性神経障害の治療にはどのようなものがありますか?
糖尿病性神経障害の治療には、薬物療法、神経ブロック療法、理学療法などがあります。

薬物療法は、鎮痛薬の使用と共に、神経の修復を促す薬剤としてアルドース還元酵素阻害薬という薬剤が使用されることがあります。また、ビタミン剤も神経修復を促す薬剤として使用されます。

神経ブロック療法は、痛みを感じる神経に対して局所麻酔薬を使用することで、痛みの伝達をブロックする治療です。痛みが抑えられることで交感神経の活動が低下し、血管が拡張することで神経の修復を促します。さらに痛みを常に感じると、痛みの原因が除去されても痛みを感じ続ける事があるので、局所麻酔で痛みを押さえることでそれを予防します。理学療法としては運動やマッサージをする事で血流を良くし、神経の再生を促します。
糖尿病による他の合併症との関係はありますか?
糖尿病性神経障害は血管障害によって引き起こされます。そして、他の糖尿病による合併症も末梢血管障害によって引き起こされます。

ですので、それぞれの合併症が単独で進行することはまずありません。網膜症も、腎障害も、自覚症状無く少しずつ進行してきます。糖尿病性末梢神経傷害の症状を認めたら、それは血管からの警告だと思い、早めに受診して他の合併症の検索もしてもらいましょう。
糖尿病と遺伝は関係がありますか?
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。

1型糖尿病は自己免疫疾患で、自分の免疫の異常により発症し、遺伝は関係が無いと言われています。2型糖尿病の方がよく見られる糖尿病です。主に生活習慣が原因となりますが、遺伝も関与していると言われます。

糖尿病になる遺伝子というよりは、糖尿病になりやすい遺伝子があるという程度で、遺伝があろうと無かろうと生活習慣には気をつけた方が良いというのは間違いないです。
インスリンの使用を始めたら、一生使用し続けることになりますか?
1型糖尿病は、免疫の異常でインスリンを分泌する細胞が攻撃され無くなってしまい、インスリンの分泌がなくなってしまうので、インスリンの使用を一生継続することになります。

一方で2型糖尿病は末期になるまでインスリンの分泌は少量ながらも保たれています。特に初期はインスリンの分泌量の異常があると言うよりは、インスリンの作用が落ちている状態が問題となります。

ですので、インスリンを一時的に外部から補充しながらインスリンの効果を高めるような内服薬による治療を行う事でインスリンが作用しやすくなり、インスリンを補充しなくても良くなる場合があります。もちろん、状態によって異なりますから、自己判断でインスリンの使用を中止することは絶対に避けてください。

まとめ

 

糖尿病性神経障害は、糖尿病の合併症の中でも最も早期に見られる合併症です。放置すれば神経障害が重篤になるだけではなく、他の合併症もどんどん進行し、命に関わることもあります。身体から、糖尿病の治療をしっかりしてくださいと言うメッセージと捉えて、症状が出現したら早期に医療機関を受診しましょう。

 

 

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この記事を書いたアドバイザ

郷 正憲
はじめまして。郷 正憲と申します。徳島県という田舎ではありますが、三次救急病院で麻酔科医師として勤務しております。麻酔業務の他、救急外来も担当し、様々な救急患者の初療も行っております。また、ICLSコースとい...

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