目次
咳止めの市販薬によく含まれている成分
①:咳をしずめる成分(鎮咳成分)
脳にある咳の中枢にはたらく鎮咳成分には「麻薬性」と「非麻薬性」があり、それぞれ特徴が異なります。麻薬性の鎮咳成分は咳をしずめる効果は強力ですが、便秘や眠気などの副作用が出やすい特徴があります。気管支喘息の咳や12歳以下の方には使うことが出来ません。
非麻薬性の鎮咳成分は効果は穏やかで、便秘がある方でも使いやすく眠気が出にくい成分もあり、子どもでも使用できる薬があります。
②:気管支を拡げる成分(気管支拡張成分)
気管支を拡げ、呼吸を楽にする成分です。この成分が含まれた市販薬で、なかなか止まらない激しい咳や息苦しさ、呼吸のたびにゼーゼー・ヒューヒューと音がする時に一時的に症状を抑えることが出来ます。
咳を緩和できる市販薬の選び方・ポイント
乾いた咳に対する市販薬は、使う人の症状に合わせて選ぶ必要があります。
①痰が出ているのかどうか、②喘息の咳なのか、③年齢、これらのポイントに着目して選ぶ必要があります。
ポイント①:痰が出ていない咳(乾いた咳)かどうかに着目する
咳には乾いた咳と湿った咳の2種類があります。乾いた咳はコンコンと痰が絡まない咳が出ることが特徴で、湿った咳はゴホゴホと痰が絡んだ咳が出る特徴があります。まず、湿った咳は「止めない方が良い咳」と言われています。咳は気道に侵入したホコリなどの異物を取り除く生体防御反応です。痰はそれらを絡みとって体外に排出されます。咳止めの薬を使うことで痰が出づらくなり、症状が悪化する可能性があります。
一方、痰が絡まない乾いた咳は「咳止めを使ってもいい咳」です。咳中枢にはたらき、咳そのものを止めるお薬が使われます。
ポイント②:喘息による咳には注意
咳に効く市販薬に良く含まれる成分でも少し触れましたが、麻薬性鎮咳成分である「ジヒドロコデイン」は気管支喘息の方には使用することが出来ません。医療用医薬品であるジヒドロコデインリン酸塩散の添付文書の禁忌(=服用させてはいけない)の項目には「気管支喘息発作中の方」と記載されています。
ジヒドロコデインには咳をしずめる作用はありますが、気道の分泌を抑える作用があり、これにより分泌物の粘度が高まり痰が切れにくくなってしまうため咳がさらに酷くなります。重症化すると粘度の高い痰が気道をふさぎ、窒息する恐れがあるため注意が必要です。
ポイント③:年齢を重視する
ジヒドロコデインなどのコデイン類は咳をしずめる作用はかなり強い部類に入り、短期間でしっかりおさえていきたい方にはおすすめです。しかし、ジヒドロコデインは、長期間にわたり使用すると依存が生じるリスクや呼吸抑制(呼吸を抑えてしまうこと)の副作用が認められています。特に12歳未満の小児ではそのリスクが高くなるとされ、日本では2019年から12歳未満の子どもにコデインを含む市販薬の使用が禁止されることになりました。
現在、12歳未満に使用が認められている薬にコデイン類は含まれていません。市販薬で一時的に対応する場合は、12歳以下の子どもでも使用できる市販薬もありますので薬剤師に相談することをおすすめします。しかしながら、症状が長く続く場合は受診も検討するようにしましょう。
【厳選】咳を緩和するのにおすすめの市販薬 7選
成分と重視すべきポイントをおさえた上で、おすすめの市販薬をご紹介します。
①効果の違い
②喘息でも使用できる
③12歳未満の子どもでも使用できる
これらに着目してご紹介します。
ポイント①:効果を重視した市販薬 3選
ここでは、せきにしっかり効くことを重視して、鎮咳成分を含んだ市販薬をご紹介します。たんの切れが悪く辛い咳をどうにかしたい方や、早く症状を抑えたい方におすすめです。
こんな方に
痰が絡む、つらい咳を抑えたい方に
12歳以上の子どもに使用できる薬が欲しい方に
苦しい咳と痰に効果を発揮する。
ジヒドロコデインが咳中枢に作用して咳をしずめ、dl-メチルエフェドリンが痰の排出をうながし、クロルフェニラミンがアレルギー性の咳をしずめます。無水カフェインがほかの成分を助けます。
12歳以上から使用できます。
分類 | 指定第2類医薬品 |
有効成分(含有量)/主成分(含有量) | 1日量(12錠中) ジヒドロコデインリン酸塩(30㎎)、dl-メチルエフェドリン塩酸塩(50㎎)、クロルフェニラミンマレイン酸塩(8㎎)、無水カフェイン(90㎎) |
効果・効能 | 咳、痰 |
用法・用量 | 1日3回 食後 ・成人(15才以上) 1回4錠 ・12~14才 1回2錠 ・服用感覚は4時間以上あける。 |
薬・サプリメント・食品のタイプ | 錠剤 |
妊娠中・授乳中の使用 | 使用不可(妊娠中は治療上の有益性が上回る場合に使われることがある、授乳中は使用できない) |
使用が可能な年齢 | 12歳以上 |
1回の使用あたりのコスト(目安) | 47.6円 |
錠剤・タブレットの大きさ | 記載なし |
使用してからの効果時間 | 記載なし |
薬の風味 | 甘い |
スーッとする成分の有無 | × |
眠くなる成分の有無 | 〇 |
胃に優しい成分の有無 | × |

こんな方に
つらい咳を抑えたい方に
痰の切れが悪い方に
12歳以上の子どもに使用できる薬が欲しい方に
12歳から使用でき、せきをしずめ、たんを切れやすくする。
有効成分コデインリン酸塩水和物が咳の発生を抑え、dl-メチルエフェドリンが気管支の緊張を和らげ、クロルフェニラミンがアレルギー性の咳をしずめます。
12歳以上から使用できます。眠れないほどつらい咳におすすめの1つです。
分類 | 指定第2類医薬品 |
有効成分(含有量)/主成分(含有量) | コデインリン酸塩水和物(50㎎)、 dl-メチルエフェドリン塩酸塩(75mg)、 クロルフェニラミンマレイン酸塩(12mg) 無水カフェイン(60㎎)、 セネガ流エキス(1500㎎) |
効果・効能 | せき、たん |
用法・用量 | 1日3回 食後 ・成人(15才以上) 1回3錠 ・12~14才 1回2錠 ※さらに就寝前に1回服用することができます。 |
薬・サプリメント・食品のタイプ | 錠剤、顆粒、液剤、液剤(分包タイプ) |
妊娠中・授乳中の使用 | 使用不可(妊娠中は治療上の有益性が上回る場合に使われることがある、授乳中は使用できない) |
使用が可能な年齢 | 12歳以上 |
1回の使用あたりのコスト(目安) | 86.2円 |
錠剤・タブレットの大きさ | 記載なし |
使用してからの効果時間 | 記載なし |
薬の風味 | 甘い |
スーッとする成分の有無 | × |
眠くなる成分の有無 | 〇 |
胃に優しい成分の有無 | × |

こんな方に
つらい咳を抑えたい方に
痰の切れが悪い方に
15歳以上の方に使用できる薬が欲しい方に
咳止め成分を液状にした小さなカプセルがいち早く溶け出し、せきやたんの症状を抑える。
ジヒドロコデインが咳中枢に作用して咳をしずめ、dl-メチルエフェドリンが痰の排出をうながします。
グアイフェネシンがたんを出すのを助け、クロルフェニラミンがアレルギー性の咳をしずめます。
安息香酸ナトリウムカフェインが中巣に作用して眠気を抑えます。
15歳以上から使用できます。
分類 | 指定第2類医薬品 |
有効成分(含有量)/主成分(含有量) | 9カプセル中 ジヒドロコデインリン酸塩(30.0㎎)、dlーメチルエフェドリン(75.0㎎)、グアイフェネシン(300.0㎎)、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(6.0㎎)、 |
効果・効能 | せき、たん |
用法・用量 | 1日3回 1回3カプセル |
薬・サプリメント・食品のタイプ | カプセル |
妊娠中・授乳中の使用 | 使用不可(妊娠中は治療上の有益性が上回る場合に使われることがある、授乳中は使用できない) |
使用が可能な年齢 | 15歳以上 |
1回の使用あたりのコスト(目安) | 108.2円 |
錠剤・タブレットの大きさ | 記載なし |
使用してからの効果時間 | 記載なし |
薬の風味 | 無味 |
スーッとする成分の有無 | × |
眠くなる成分の有無 | 〇 |
胃に優しい成分の有無 | × |
ポイント②:喘息でも使用できる咳止めの市販薬 2選
こちらでは、喘息の方でも使用できる市販薬をご紹介します。8歳の子どもから使用可能な商品や、長く効くお薬をお探しの方におすすめです。

こんな方に
ぜーぜー、ひゅーひゅーを伴う咳とたんを抑えたい方に
ぜーぜー、ひゅーひゅーを伴うせき、痰に効果的
メトキシフェナミンなどの有効成分が患部に届き、呼吸を楽にしてせきを和らげます。
また、8歳から服用できるため、小学校の子どもでも使用できます。常備薬として1つ持っておくとよいでしょう。
分類 | 第2類医薬品 |
有効成分(含有量)/主成分(含有量) | メトキシフェナミン塩酸塩(50㎎)、ノスカピン(20㎎)、カンゾウ粗エキス(66㎎)、グアヤコールスルホン酸カリウム(90㎎)、無水カフェイン(50㎎)、マレイン酸カルビノキサミン(4㎎) |
効果・効能 | せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、たん |
用法・用量 | 1日3回 ・15歳以上 1回1包 ・8~14才 1回 1/2包 |
薬・サプリメント・食品のタイプ | 微粒 |
妊娠中・授乳中の使用 | 妊婦又は妊娠していると思われる人は要相談。授乳中は可能。 |
使用が可能な年齢 | 8歳以上 |
1回の使用あたりのコスト(目安) | 54.1円 |
錠剤・タブレットの大きさ | 記載なし |
使用してからの効果時間 | 記載なし |
薬の風味 | ・漢方っぽい味 |
スーッとする成分の有無 | × |
眠くなる成分の有無 | 〇 |
胃に優しい成分の有無 | × |

こんな方に
せき、たんが絡むせきをしずめたい方に
せき、たんが絡むせきを効果的
有効成分デキストロメトルファンがせき中枢に作用し、ジプロフィリンが気管支を拡げて呼吸を楽にし、たんを出しやすくします。
また、長く効く薬の構造のため1日2回で使用できます。
分類 | 新コンタックせき止めダブル持続性 |
有効成分(含有量)/主成分(含有量) | 2カプセル中 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(60㎎)、ジプロフィリン(200㎎) |
効果・効能 | せき、たん |
用法・用量 | 1日2回(朝・夕)、1回1カプセル |
薬・サプリメント・食品のタイプ | カプセル |
妊娠中・授乳中の使用 | 妊婦又は妊娠していると思われる人は要相談。授乳中は可能。 |
使用が可能な年齢 | 15歳以上 |
1回の使用あたりのコスト(目安) | 104.5円 |
錠剤・タブレットの大きさ | 記載なし |
使用してからの効果時間 | 1回1カプセルで約12時間効果が持続する。 |
薬の風味 | 無味 |
スーッとする成分の有無 | × |
眠くなる成分の有無 | 〇 |
胃に優しい成分の有無 | × |
ポイント③:12歳未満でも使用できる市販薬 3選
12歳未満でもの子どもでも使用できる市販薬をご紹介します。すぐに病院を受診できない場合や、小さな子どもでも飲めるお薬をお探しの方はこちらを参考にしてみてください。
こんな方に
3か月以上の子どもに使用できる薬が欲しい方に
3か月以上の子どものせきやたんに
生薬成分のナンテンジツとキキョウのエキスが咳をしずめ、たんを出しやすくします。
また、生後3か月から服用できるため症状が出た時に買うのを検討してもよいでしょう。
分類 | 第2類医薬品 |
有効成分(含有量)/主成分(含有量) | 60ml中 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(37.5㎎)、dl-メチルエフェドリン塩酸塩(37.5㎎)、グアイフェネシン(100㎎)、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(3㎎)、ナンテンジツエキス(109㎎)、キキョウエキス(40㎎) |
効果・効能 | せき、たん |
用法・用量 | 1日3回、食後及び必要な場合には寝る前に服用する。 場合により1日6回まで服用しても差し支えないが、その場合は4時間の間隔を置いて服用する。 ・8歳以上11歳未満:1回10ml ・5歳以上8歳未満:1回6.5ml ・3歳以上5歳未満:1回5ml ・1歳以上3歳未満:1回4ml ・3か月歳以上1歳未満:1回2ml ・3か月未満:服用してはいけない |
薬・サプリメント・食品のタイプ | シロップ |
妊娠中・授乳中の使用 | |
使用が可能な年齢 | 3か月以上 |
1回の使用あたりのコスト(目安) | 74.7円 |
錠剤・タブレットの大きさ | 記載なし |
使用してからの効果時間 | 記載なし |
薬の風味 | シロップ(いちご) |
スーッとする成分の有無 | × |
眠くなる成分の有無 | 〇 |
胃に優しい成分の有無 | × |

こんな方に
5~14才の子どもの方に
粉薬が苦手な子どもの方に
水なしで咳をしずめる
有効成分のチぺピジンとノスカピンがせきの中枢に届き、せきをしずめます。他にも気管支を拡げるdl-メチルエフェドリンやアレルギーにも効果のあるd-クロルフェニラミンが配合されています。
また、水なしでかんで飲めるチュアブル錠なので飲みやすい工夫がされています。
分類 | 指定第2類医薬品 |
有効成分(含有量)/主成分(含有量) | 1錠中 チぺピジンヒベンズ酸塩(3.125㎎)、ノスカピン(2.5㎎)、dl-メチルエフェドリン塩酸塩(3.125㎎)、d-クロルフェニラミン(0.25㎎) |
効果・効能 | せき、たん |
用法・用量 | 1日3回食後、必要に応じて寝る前にかむか口の中で溶かして服用。 ・11歳~14才:1回4錠 ・8歳~10才:1回3錠 ・5歳~7才:1回2錠 5歳未満:服用してはいけない。 |
薬・サプリメント・食品のタイプ | チュアブル錠 |
妊娠中・授乳中の使用 | |
使用が可能な年齢 | 5歳以上 |
1回の使用あたりのコスト(目安) | 171.2円 |
錠剤・タブレットの大きさ | 記載なし |
使用してからの効果時間 | 記載なし |
薬の風味 | ラムネ風味 |
スーッとする成分の有無 | 〇 |
眠くなる成分の有無 | 〇 |
胃に優しい成分の有無 | × |
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市販薬を使用するときのポイントや注意点について
使用するときのポイント・副作用はあるの?
咳は防御反応であり、からだに入った異物を取り除きます。必ず抑える必要はありませんが、咳が続いてのどを痛めたり、夜の睡眠にも影響を与えることがあります。症状がつらいときや風邪をひきやすい人は市販薬を活用してケアしましょう。
こんなときは病院へ
基本的に咳の症状がつらい場合は、すぐに受診した方が良い場合があります。時間がなくてなかなか病院に行くことが出来ない場合でも次の方は、症状が悪化する前に出来るだけ早く受診してください。
・3週間以上咳が続いている。
・市販薬で咳症状が治らない。
・呼吸の様子がおかしい。
・咳をすると胸が痛い。
・痰に血が混じっている。
・高熱、悪寒による震えがある。
『咳止め』に関するQ&A

咳止めの市販薬は自身の症状をしっかり確認したうえで選択しなければなりません。
選択するときにさらに迷うことがあると思うのでQ&A形式で解説します。





子供の体格が大きくても、内臓などは15歳以下の小児です。
そのため、増量することで副作用のリスクが高くなってしまいます。
このような場合は受診して適した薬を処方してもらうことをおすすめします。

まとめ

市販薬の咳止めは咳の中枢に作用してしずめるものがほとんどです。さまざまな成分が配合されているため症状に合わせて選びにくいこともあります。咳が長く続いたり、市販薬でも改善しない場合は、かぜ以外の疾患の可能性もありますので早めに医療機関を受診するようにしましょう。
※掲載内容は執筆時点での情報です。