目次
そもそもなぜ薬局でお薬手帳をみせるの?
お薬手帳には現在使用中の薬、さらに過去に使用した薬の情報が記録されるので、患者さん自身が薬の情報を確認することができます。
特に重要なのは医師や薬剤師が患者さんのお薬手帳を見ることで、他の病院で服用中の薬剤や過去のアレルギー歴を把握できる点です。薬の重複や飲み合わせのチェック、アレルギーや副作用を口頭での確認に加えてお薬手帳の記録から確認できるため、患者さんにとってはより安心した薬物治療を受けることができます。
お薬手帳を出すと、会計が少し安くなる?
薬局で支払う金額には薬剤費だけでなく調剤に関する費用が含まれており、その中に「薬剤服用歴管理指導料」があります。
・「薬剤服用歴管理指導料」の負担が軽減
この「薬剤服用歴管理指導料」がお薬手帳を継続的にひとつの薬局に持っていくことで安くなります。金額としては数十円ですが、通院が増えて積み重なることで金額の差が出てきます。
実際には、この金額以上に、皆さんが適切な薬物治療を受けられることに大きな意義があります。
紙のお薬手帳と電子お薬手帳のそれぞれのメリット・デメリット
近年ではスマホアプリを活用した電子版のお薬手帳も増えています。 ここでは両方のメリット・デメリットを紹介します。
紙のお薬手帳のメリット・デメリット
紙のお薬手帳は薬局で渡される薬剤情報のシールを手帳のページに貼り付けます。紙のタイプは家族間でも情報を共有しやすく、電子媒体に慣れない高齢者にとっては紙のタイプのほうが扱いやすいでしょう。
実際に薬局へお薬手帳を持参している患者のほとんどが紙のタイプを使用しており、電子版を使用している患者は全体の5.1%という報告があります。(※1) 医師や薬剤師といった医療従事者側からも紙のタイプの扱いやすさを挙げる意見を聞いています。
電子版のお薬手帳を導入している薬局も50%程度に留まっている状況もあり(※2)、しばらくは紙のお薬手帳が主流であることに変わりはありません。
(1)厚生労働省 かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書
(2)厚生労働省 医療におけるICTの利活用について
電子版お薬手帳のメリット・デメリット
現状は紙のお薬手帳が主流であるものの、今後は確実に電子版が広がっていきます。電子版のメリットとして、皆さんが常にお持ちのスマートフォンにアプリをダウンロードすることで簡単に持ち歩ける点です。
紙のタイプと比較して、アプリなら受診時に忘れにくく、長期にわたる服薬歴管理が可能になります。旅行先や勤務先で普段とは異なる病院を受診した場合でも、薬剤情報を伝えることができる点は大きなメリットです。
電子版のデメリットは全ての薬局が対応している状況でなく、アプリの仕様や使いやすさも改善が進んでいる過程である点です。 2019年にはNTTドコモと日本薬剤師会の電子版お薬手帳のサービスが統合され(※3)、業界内でもフォーマットやサービスの統一が進み、私達にとっては使いやすくなりつつあります。
(3)NTTドコモ プレスリリース
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電子版に切り替えるときの注意点・ポイント
どのアプリを選べば良いのか、その選び方は?
電子版お薬手帳のアプリは様々な企業・団体からリリースされています。今後もサービスの統合が進むと予想されるので、使いやすい業界大手のサービスを利用するのがおすすめです。
例えば、主な電子版お薬手帳としては以下の3つがあります。
・eお薬手帳3.0:日本薬剤師会が運営
・お薬手帳プラス:調剤薬局大手の日本調剤が運営
・EPARKお薬手帳アプリ:薬局経営をサポートするくすりの窓口が運営
他にも薬局やドラッグストアのお薬手帳アプリがありますが、データ保管先はNTTドコモで共通しています。いずれのアプリも主な機能と使い方は同じですので、好みの機能やデザインで選んでみましょう。
電子お薬手帳を薬局を出すときはスマホを渡すの?
電子版お薬手帳の使い方は、薬局で出力されたQRコードをアプリで読み込むだけです。
・処方された薬剤情報をQRコードで読み込む
薬剤師へスマホを渡す必要はありません。 最近は明細書の下部にQRコードが印字されていることが多く、支払い後にそのQRコードをご自身で読み込むことで薬剤情報を記録します。 シールを貼る手間がなく、手帳を紛失する心配もありませんね。
また、お薬手帳の情報を薬剤師に提供することで併用薬チェックや服薬指導に活用されます。これまでにアプリで蓄積されたデータは保存サーバー(日本薬剤師会のアプリならNTTドコモのサーバー)にあり、薬剤師はそのデータへアクセスします。
・過去の薬剤情報をワンパスワードで提供する
薬剤師によるデータ確認にスマホを渡す必要はありません。一時的に発行するワンパスワードを薬剤師に伝えることで、そのときのみ薬剤師にアクセスを許可します。
今までのお薬の服用情報はどうしよう?
過去の薬のデータに関してもQRコードがあればそのまま読み込むことができます。
・過去の情報もQRコードで読み込み可能
QRコードでの読み込みができない場合には手入力で情報を追加することになります。 もし手入力が手間であれば、過去の薬剤情報は紙のお薬手帳として残しておき、今後の情報を電子版で読み込んでいきましょう。
アプリの利用料はかかるの?
いずれのアプリも利用料は無料です。
・アプリの利用は無料
薬の効能・効果や副作用を調べたり、飲み忘れ防止アラートなどの機能が付いたアプリもありますが、いずれも無料で利用することができます。
おわりに
「お薬手帳」を利用することで患者さんにとっては費用負担が軽減されます。また、可愛らしい紙のタイプや便利な機能が追加されたアプリもあり、選ぶ楽しみや使いやすい機能も充実しつつあります。
大切なことは「お薬手帳」は患者さんを守るためにご自身で継続して使うことです。そして、「お薬手帳」に記録された情報を医師や薬剤師へ適切に伝えることが最適な薬物治療へ繋がります。 便利になりつつある電子版お薬手帳もぜひ活用し、手間なく簡単に薬剤情報を自分で管理していきましょう。
※掲載内容は執筆時点での情報です。
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薬剤師 アツポン 薬剤師
執筆・監修者4年制薬学部及び大学院を卒業後、複数の製薬企業で新薬開発を経験。低分子化合物から分子標的薬の開発まで従事し、開発計画立案から承認申請、論文化なども担当しました。薬剤師としても業務を経験。