1.沈黙の臓器「肝臓」の役割とは?

肝臓は、人体最大の臓器です。

というのも、肝臓は、人間が生きていくために重要な働きをいくつもこなし、常に働いているのです。とても強い臓器でもあり、再生力も高く、手術などで切除しても元通りの大きさに戻ることができます。

しかし、一方で、肝臓は別名、「沈黙の臓器」と呼ばれています。肝臓は生命維持に重要な働きを多数行うため、異常が生じてもギリギリまで働き続けます。そのため何らかの異常が出た場合、症状がすでに進行していることが多いです。

肝臓の主な役割は

・代謝
・解毒
・胆汁の生成

です。

<代謝>
代謝とは、人間が生命維持をする上で行う様々な化学変化のことを指します。一番わかりやすいのは食事に含まれる炭水化物やタンパク質を分解して、ブドウ糖やアミノ酸になり、体の各部位で利用することではないでしょうか。

<解毒>
また肝臓はアルコールなどの人体に有害な物質を解毒する働きがあります。解毒された物質は無害化され、尿とともに体外へ排出されます。

<胆汁の生成>
老廃物の排出を促す「胆汁」の生成も肝臓の重要な役割です。胆汁はコレステロールから生成されるため、体内のコレステロール値を調整する作用もあります。

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2.お酒が原因?肝臓に脂肪がつく原因と症状

2-1. 脂肪肝の原因

実は、アルコールには「糖質」が豊富に含まれています。

そのため、カロリーを高く摂取しすぎると、体に中性脂肪として蓄積されます。アルコールは肝臓で分解され、最終的に無毒化され体外に排出されます。しかし、アルコールの解毒に肝臓のリソースが使用されると、脂質の代謝が十分に働きません。その結果、肝臓に中性脂肪が蓄積しやすくなり、「脂肪肝」となってしまうのです。

特に、毎日のようにアルコールを飲む人は、肝臓に脂肪が付きやすい状態が続きます。アルコールと一緒に高脂質、高タンパクになりやすいつまみを食べることで、カロリー自体も過剰摂取しやすくなり、肝臓に脂肪が付着していきます。

ただし、脂肪肝の原因はアルコールだけとは限りません。

食べすぎもカロリーや脂質の過剰摂取に繋がり、脂肪肝になる可能性があります。同じく運動不足が続くと、消費カロリーが減り脂肪肝に繋がります。また、糖尿病患者は脂肪肝になりやすいことが確認されています。

2-2. 脂肪肝の症状

脂肪肝にはあまり症状がありません。しかし、脂肪肝はのちのちに「脂肪性肝炎」に症状が進行します。
脂肪性肝炎は脂肪肝が原因で肝臓に炎症が発症している状態です。脂肪性肝炎はさらに「肝硬変」に進行する可能性があります。

 

肝硬変は、肝臓の細胞が繊維に置き換わることで発症します。肝臓が硬く、小さくなり、肝臓の機能が低下していきます。

 

脂肪肝や肝炎は治療することができますが、肝臓の細胞が線維化し肝硬変になると元通りの健康な肝臓に戻すことはできません。

 

肝硬変が重症化すると、著しく全身の健康を損ね、黄疸や浮腫、腹水などの症状が現れます。免疫力も低下し、細菌の日和見感染症を発症しやすくなり吐血や意識障害が現れることもあります。肝硬変は、しばしば肝がんも併発するため、死亡する可能性も高くなります。

3.肝臓の数値はココに注目、検査項目の見方

肝臓は、なかなか異常を自覚しづらい臓器のため、毎年の「健康診断」が重要になります。肝臓は急激に悪くなることは少なく、徐々に調子が低下していきます。健康診断の結果次第で生活習慣を改善すれば、数値を元通りにすることは可能です。

健康診断で意識したい肝臓の数値には以下のようなものがあります。

<γ-GTP(もしくはγ-GT)>
γ-GTPは肝臓の細胞内に含まれるタンパク質の代謝や解毒に関わる酵素です。アルコールを摂取するとγ-GTPは大量に合成され、血液中に増加します。通常は一過性のものですが、肝臓が肝炎や脂肪肝になると細胞が破壊され、中に含まれるγ-GTPが血液中に漏れ出し、常に高い数値となってしまいます。

基準値は50 IU/L以下で、これを超えると、何らかの肝機能障害が疑われます。

<ALT(GPT)、AST(GOT)>
ALTとASTはともにアミノ酸の代謝やエネルギー代謝に関わる酵素です。ALTはほぼ肝細胞内に存在し、ASTは幹細胞以外では心臓や筋肉などにも存在しています。ASTが高くても肝臓に異常があるとは限らず、反対にALTが高いと肝臓に障害が起きている可能性が疑われます。


脂肪肝や肝炎肝、肝硬変などにより肝細胞が破壊されると、細胞内のALTとASTが血液中に流出します。その結果、これらの数値が高まります。

ALTの基準値は30 IU/L以下、ASTの基準値は30 IU/L以下とされています。

肝臓の数値は生活習慣を改めれば低下されることが可能です。1年に1度の健康診断を大事にして、医師の指導通りに生活習慣を改善するようにしましょう。

4.まとめ

肝臓は人体最大の臓器であり、生命維持に必要な様々な働きをしています。重要な臓器である分、痛みや異常に強く「沈黙の臓器」と呼ばれています。


そのため、肝臓になんらかの異常が生じても、自覚症状があまり出ないことが問題になります。


肝臓の異常は一年に一度受診する健康診断で調べることができます。企業に勤めている人は健康診断を1年に1度受けているはずですし、自営業の人は国民健康保険で区市町村の健康診断を受けることができます。めんどくさがったりせず、1年に1度、しっかりと健康診断を受けるようにしましょう。