この冬、訪問診療をしているなかで、就寝時の湯たんぽや電気毛布で低温やけどを起こした在宅患者さんが何人もいらっしゃいました。低温やけどは、重症になりやすいのですが、意外と知られていないことに気づきましたので、今回のコラムは「低温やけど」についてご紹介させてもらえればと思います。

低温やけどとは?

通常であればやけどをしないような温度にも関わらず、長い時間接してしまうことでやけどになってしまうのが、低温やけどの特徴です。
皮膚の深部にじわじわと障害を与えることが特徴で、発見した当初は軽く見えても、実は傷口が深く、治療期間が1ヶ月近くかかるものもあるため、通常のやけどと比べて重症な印象があります。

低温やけどは、私の経験では、特に高齢者に多いように感じられます。若者だと途中で皮膚の違和感に気付き、暖房器具から皮膚を離すことで回避できますが、高齢者になると感覚が鈍くなるため痛みや違和感に気が付かなかったり、体が不自由で患部を離すことができず、発症してしまう、という流れです。

低温やけどの症状は?

初期は、ぴりぴりしたり、痛みも軽く感じる程度で、傷もあまりわからないのですが、数日の間に痛みや傷がはっきりしてきます。痛みを強く感じた時には、水疱や潰瘍になっており、そうなってしまうと浸出液(しんしゅつえき)と呼ばれる体液が患部から多量に出てきます。

低温やけどの原因は?

高齢者の「冷え」が低温やけどの引き金になる

寒い冬のシーズンになると、手足の冷えは、女性を中心に多くの人が抱える悩みではないのでしょうか。実は、在宅の患者さんでも足の冷えが大きな悩みの種になります。これは、高齢になって動脈硬化など下肢の血流が悪くなっているところに気温の低下が重なって、悪化することが原因だと考えられます。

在宅の現場に入るまではわかりませんでしたが、冬場訪問すると、よく分厚いソックスを履いていたり、暖房器具を使用している場面を目にするようになりました。足の冷えは思ったより多くの在宅患者さんが抱えている悩みのようです。

就寝時に足が冷えていて眠りにくい高齢者の方のなかには、湯たんぽ、電気カーペットなど直接皮膚にあたる暖房器具を使われる方がいます。また、家のこたつでそのまま眠ってしまってしまう、なんていうケースもあり、こういった状況で気付いたら低温やけどを起こしてしまった、ということが多いようです。

低温やけどの治療

まず、自宅での応急処置として、患部を冷却します。そして保護の目的でワセリンを塗る、または市販のキズパワーパッドやサランラップで覆うことをお勧めします。これは湿潤療法という考え方ですが、一言で説明すると、患部を乾燥させない処置になります。

もし、水疱ができてしまったのであれば、かなりひどい状態ですから、清潔にした後、きれいに除去する必要があります。ただし、こういった状態で下手に触って悪化してしまって治療が遅れてしまっては本末転倒ですから、水泡が見つかった場合は、速やかに皮膚科に受診されることをお勧めします。

患部から感染する可能性もあり、その時は赤く腫れ上がってきたり、熱を持ったりします。抗生物資による治療が必要になりますが、感染してしまうと治療期間が長くなってしまうので、やはり早期発見・早期治療が大事と考えます。

私が経験した低温やけどの在宅患者さん

私の担当していたケースだと、寝ている時の湯たんぽ、電気毛布、カイロで低温やけどを起こしています。いずれも深い潰瘍の状態までやけどを起こし、水疱ができて、患部はただれていました。やはり治療期間が長くなっており、お1人は1か月以上連日処置をしてようやく回復したり、もう1人は大学病院で入院して皮膚移植をするかどうかと言われたりしました。

低温やけどを起こさないために

これまでの経験上、高齢者の低温やけどはいずれも重い方が多かった印象があります。低温やけどにならないよう、高齢者の暖房器具の取り扱いには注意し、十分皮膚から離して使用するなど、安全対策を心がけてください。
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