糖尿病の治療や健康を維持する目的のため、ご自身で血糖値を測り、把握しておきたいという方もいるのではないでしょうか?

ご自身の血糖値を把握することは、自覚症状がないとされる糖尿病において病態を可視化してくれ、治療意欲の向上にもつながることや、最適な医療を受けるための判断材料にもなりえます。
血糖値の測定は、病院で測定できる他に、家庭(自宅)においてご自身で簡易的に測定・管理することができます。年々、機器の進歩によって、その測り方はより手軽に、そして正確性も高まってきています。

今回は、家庭でできる血糖値の測り方を解説するとともに、最新の血糖自己測定器の事情や購入場所・方法についても合わせて説明していきます。

目次

1. 血糖値はどこで測れる?
 (1) 病院での血糖値の測定
 (2) 家庭(自宅)でできる血糖値の測定とその精度
2. 血糖自己測定に必要な機器と測り方について
 (1) 血糖を自分で測定する目的・メリット
 (2) 血糖自己測定に必要なもの
 (3) 血糖値の測り方・基本手順
  ※針を刺さない?最新の血糖自己測定器事情
3. 血糖自己測定器の購入場所・方法
4. おわりに

1. 血糖値はどこで測れる?

血糖値を測定できる場所としては、「病院」がまずイメージつきますが、ご家庭でも血糖自己測定器を購入することや、検診キット等でも測定することもできます。

(1) 病院での血糖値の測定

一般的な健康診断で行われる「採血」や「採尿検査」があります。
血糖値は、食事の前後によって大きく変動するため、前日の夜は食事を摂らないようになど食事制限の指示がある場合に採血を行い測定するのが、「空腹時血糖値」です。空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合には、糖尿病が強く疑われます。

また、採尿における「尿糖の有無」もひとつの判断材料として、尿糖が陽性だった場合には、糖尿病が疑われます。

その他に、糖尿病が疑われた場合に行われる検査として、「経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」というものがあります。75gのブドウ糖を飲み、その後の血糖値の変動を測定することによって、糖尿病かどうかの判断が行われます。2時間後の血糖値が200mg/dL以上の場合には、糖尿病が強く疑われます。

また、病院での採血で同時に測定することが多いのが、「HbA1c」です。HbA1cは、過去1〜2ヶ月の血糖の状態が反映されるため、直近の食事の内容などの影響を受けません。HbA1cの値が6.5%以上の場合、糖尿病が強く疑われます。

(2) 家庭(自宅)でできる血糖値の測定とその精度

血糖値が高く気になる場合や、糖尿病の薬・インスリン等での治療を行っている場合に、病院で血糖値を測るだけでは情報が足りない場合があります。その場合は、ご自身で、家庭(自宅)で血糖値を測定し、記録・管理することが重要です。

「血糖自己測定器」を購入することによって、専門家の手助けや難しい操作を必要とせずにご自身で血糖値を測定することができます。一般的には、ご自身で指先等に針を刺し、微量な血液によって血糖値を簡易的に測定することができます。
年々、血糖自己測定器は進化しており、より正確に素早く、そして簡易的に測定できるようになってきました。
病院での検査と比較すると、血糖自己測定器による測定が簡易的であるとはいっても、その精度も少しずつ高まってきています。血糖自己測定器の精度の指標として、ISO(国際標準化機構)の基準※が2013年に改定され、従来と比較すると厳しいものとなり、それに準じて各血糖自己測定器の精度向上が図られています。

ただ、採血部位、採血のタイミングなどの違いにより病院で測定する血糖値とは誤差が生じることがあります。血糖自己測定器を用いて、生活上どのタイミングで測定するかは、治療法や血糖のコントロール状態、生活リズムによって異なってきますので、主治医と相談して決めると良いでしょう。
又、検診キットを市販で購入し、専門の検査機関に郵送することによって、病院に行かずとも、血糖値やHbA1cを測定することもできます。検診キット購入から検診結果が届くまでの流れは、一般的には次のとおりです。

① 商品の購入(通販サイト、会社ホームページ、一部の店舗)
② 受診の申し込み、検診申込書に必要事項を記入
③ 検査キットが届く
④ 取り扱い説明書をよく読みながら、少量の血液を指先の腹部分から採取する。
⑤ 採取した血液を検査キットに入れ、検査センター(若しくは提携医療機関)に返送する
⑥ 検査結果が届く(メールや郵送)

ただ、血糖自己測定とは異なり、その場で結果が分かるわけではなく、ご自分で採取した血液を検査キットに入れて、専門の検査機関に郵送して、後日、結果が送られてきます。

2. 血糖自己測定に必要な機器と測り方について

ここからは、家庭(自宅)でできる血糖自己測定の説明をしていきます。

(1) 血糖値を自分で測定する目的・メリット

糖尿病の治療の目的は、将来起こりうる合併症の発症や進行を抑えることですが、そのためには、長期的に良好な血糖コントロール行うことが求められます。

血糖値は、日々の生活の中で食事や活動、体調などによって変動しています。病院に受診したときに測定した血糖値だけでは、そういった生活の中での血糖値の変動を把握することが難しいことがあります。
ご自身で血糖値を測定する目的は、日々の変動を把握し、それを記録し、主治医に参考してもらうことで、治療にフィードバックすることです。
また、インスリン注射での治療においては、より厳格な血糖コントロールが必要となり、低血糖のリスクもあります。リアルタイムの血糖値を測定することで、事前に低血糖を予知し、早めに対処することができます。

また、食事療法や運動療法、日々の治療の効果の変化をご自身で確認できるため、治療意欲の向上につながることもメリットのひとつです。

(2) 血糖自己測定に必要なもの

血糖自己測定に必要なものとしては、主に、「本体」「穿刺器具」「穿刺針」「センサー」の4つがあります。

<本体>

血糖自己測定を行うための機器となり、測定するための根幹となります。様々なメーカーから販売されており、それぞれに特徴があります。

本体は、高度管理医療機器に分類されており、こちらの販売届出を行っている店舗で購入することができます。ご希望の機種がある場合には、事前に取り扱いがあるかどうか確認すると良いでしょう。また、インターネットで購入することもできます。

<穿刺器具>

測定するためには、指などに針を刺して微量の血液を採りだすことが必要です。穿刺器具は、針を装着し、穿刺を行うための器具です。
ペン型のタイプが主流で、持ち運びやすく、使い方も、針の深さを調整し、ボタンを押すだけなど簡単な操作で行えます。こちらは、薬局・ドラッグストアなどの店舗やインターネットでも購入することが可能です。

<穿刺針>

穿刺を行うための針です。針は、感染のリスクから使い捨てのため、1回使用したら捨てます。針の廃棄は、穴が空いてしまわないような容器に入れて、使用済み注射針の回収を行っている薬局、病院などの医療機関に持ち込むことが一般的です。
こちらは、薬局・ドラッグストアなどの店舗やインターネットでも購入することが可能です。

<センサー>

センサーは、血糖測定器に装着し、針を刺した部位にあて、血液を吸い取ることで使用します。本体の機種によって、対応しているセンサーが異なります。
センサーには使用期限があり、期限を過ぎると正しく測定できない可能性があります。期限がすぎたセンサーは廃棄するようにしましょう。
センサーは、体外診断用医薬品に分類され、薬局・ドラッグストアなどの店舗で購入することができますが、インターネットでは購入することができません。

(3) 血糖値の測り方・基本手順

血糖測定器の機種によって多少違いがありますが、一般的な測り方の手順は次のとおりです。

①穿刺器具に穿刺針をセットする
(穿刺深度の調整は一部できない器具もあるので一応触れない方が吉かと)
②血糖測定器にセンサーをセットする
③消毒綿で針を刺す部分(指先など)を消毒し、乾かす
④穿刺器具で、穿刺を行う
⑤針を刺した部位にセンサーを当てて、血液(必要量)を吸い取る
 ※血液が足りない場合には、絞りだすこともあります。
⑥数秒程度待ち、血糖測定器の結果を確認
⑦後片づけを行う

正しい測り方を把握するため、最初に使用する際には、説明書をよく読むようにしましょう。
針を刺さない?最新の血糖自己測定器事情

アボット・ジャパン株式会社が販売する「FreeStyleリブレ」は、最近話題に上がっている血糖自己測定器のひとつです。上腕後部部分に500円玉大の小型のセンサーを装着し、本体をかざすことで、血糖値を測定することができます。センサーを装着すると、最長14日間、付けたままで、その期間は、随時、血糖値を測定することが可能です。

初めにセンサー装着時には、細かな針のようなものを皮下に挿入するため、若干痛みを伴いますが、測定の度に針を刺す必要はありません。食前後に限らず、日中の血糖値の変動なども把握することが可能です。2017年9月1日より、インスリン治療糖尿病患者を対象に保険適用となっています。
厳格な血糖コントロールを行うために1日に数回血糖値を測定しているような方にとっては、針を都度刺すという負担が減ることは大きなメリットです。

ご興味がある方は、高度管理医療機器を扱う薬局・ドラッグストア等の店舗で取り扱いがないか相談してみるとよいでしょう。

また、あくまでも、現段階では、精度が低く、健康管理の目安として使用するレベルの機器ですが、針を使わずに指をフィンガークリップに挿入すると測定ができるものなども開発されてきています。いずれは、針を刺さないで血糖値を測定できる時代がやってくるかもしれません。

3. 血糖測定器の購入場所・方法

説明のとおり、血糖測定を行うためには、本体、穿刺器具、穿刺針、センサーの4つと、消毒用の脱脂綿が必要です。

本体、穿刺器具、穿刺針、消毒用の脱脂綿に関しては、取り扱いのある薬局・ドラッグストア等の店舗やインターネットで購入できます。センサーに関しては、インターネットでの販売ができないため、取り扱いのある薬局・ドラッグストア等の店舗で購入するようにしましょう。

また、糖尿病の治療において、インスリン製剤、GLP1受容体作動薬による自己注射を行っているなどの条件(その他に、小児低血糖症患者、妊娠中の糖尿病患者なども)に当てはまり、血糖の自己測定に基づいた指導が必要と判断される場合には、「血糖自己測定器加算(保険点数)」の対象となり、保険適用になります。病院では、こちらの保険点数の範囲内で、血糖測定器の本体の貸し出しや、測定に必要な穿刺器具、穿刺針、センサーの給付を行います。
こちらの保険の対象にならない場合や、保険の対象になっていても、保険点数の範囲を超える(医師の指示を超える)場合には、自費での血糖測定器の本体やセンサーなどの付属品の購入が必要です。

詳しくは、病院や薬局などの医療機関にてご相談下さい。

4. おわりに

今回は、家庭でできる血糖値の測り方を解説するとともに、最新の血糖自己測定器の事情や購入場所・方法についても合わせて説明しました。
血糖自己測定器で、日々の血糖値の変動をご自身で把握、記録し、主治医に掲示することで、より良い医療を受けることにつながります。また、血糖自己測定器は年々進歩してきており、より簡便に、正確に測定できるようになってきました。
条件に当てはまる場合には、保険適用になりますが、その他の場合には、自費で血糖測定器や付属品を購入する必要があります。
血糖値の測り方で不明な点がある場合には、ぜひご参考下さい。