◆目次◆

・アムロジピンとは?
・アムロジピンの副作用
 歯肉肥厚(しにくひこう)
 むくみ
 その他の副作用
・まとめ
・参考文献

アムロジピンとは?

アムロジピンは血管を広げることで血圧を下げる効果を持った飲み薬です。

先発品は「アムロジン」または「ノルバスク」という名前で販売されており、各社からジェネリック医薬品も発売されています (1)。

血管が収縮するときに、体内のカルシウムが重要なはたらきをします。アムロジピンはこのときのカルシウムのはたらきを邪魔することで、血管が収縮することを防ぎ、こうしたメカニズムから「カルシウム拮抗薬」に分類されます。

カルシウム拮抗薬は他にもたくさん種類がありますが、アムロジピンはその中でも特によく使われている薬です (2)。

このコラムでは、このアムロジピンについて、特に副作用に焦点を当ててみたいと思います。ちなみに、「カルシウム拮抗薬」という名前から時々誤解されますが、骨がもろくなったりすることはありませんので、ご注意ください。



アムロジピンの副作用

歯肉肥厚(しにくひこう)

以前に私が執筆した記事のなかに、薬を飲むときに知っておくべき副作用の特徴として、「いわれなければ、まず気づかないもの」を挙げました。
実は、アムロジピンで有名な副作用の1つはこれに該当します。

それは「歯肉肥厚」と呼ばれるものです。分かりやすくいえば、歯茎が腫れることです。現在では、少なくとも20の薬がこの副作用を起こすと知られていますが、アムロジピンをはじめとしたカルシウム拮抗薬もこれに含まれます (3)。

症状は?

その名の通り、歯茎が肥大して、厚くなります。この過程で直接痛みを生じるほか、肥大した歯茎によって歯肉ポケットができてしまい、歯肉炎などが生じることがあります。こうなると、歯茎から血や膿が出るといった症状が加わります。

いつごろ起きる?

薬を飲み始めて1-3カ月で起きることの多い副作用です (3)。したがってその間は、特に歯茎の状態に注意する必要があります。

治療法と予防法は?

この副作用の対処は、基本的に薬を止める・替えることになります。これにより、多くのケースで、1-8週間で回復に向かいます (3)。カルシウム拮抗薬には、アムロジピン以外にも種類があるので、それに変更するのが現実的でしょう。

もちろん、他のカルシウム拮抗薬も、作用メカニズムは同じなので、同じ副作用を起こす可能性はあります。しかし、その確率は薬によって多少の差があるほか、個々人と薬の相性もあるため、種類を変えることで安全に継続できる可能性は十分あり得ます。

予防として、歯磨きを一生懸命して、歯垢を除去することは大切です (3)。これだけで発症を完全に防ぐことはできませんが、確率を低くするという意味から重要です。定期的に歯科に受診し、メンテナンスをしてもらうのもよいでしょう。

薬局での説明について

薬と歯茎の腫れは、おそらく多くの方にとっては結びつきにくい関係と思います。そのため、こうした副作用については、薬剤師側から能動的にチェックする必要があります。

ただし、その手法として、必ずしも直接的に歯肉肥厚について言及するとは限りません。会話の中でそれとなく「歯医者さんに行っているか?」といった話を振ったり、話しているときに歯茎の状態を見たりすることで代用するケースもあり、これは私もしょっちゅうしています。

いずれにしても、薬を飲んでいる方で、ここで取り上げたような症状がある場合、担当の薬剤師に伝えることが重要です。

むくみ

歯肉肥厚と並んで、カルシウム拮抗薬の副作用として有名なのは、むくみです (4)。専門的には「浮腫」と呼びます。症状については、まさしく「むくむ」ということで分かっていただけると思います。特に、脚などによく起きます (4)。

起きる確率は?

カルシウム拮抗薬によるむくみがどの程度の確率で起きるかは、報告によってかなりの差が見られます。しかし、その数値は低くても5%、高いものになるとなんと70%にも上ります (4)。

これは、薬を使う量を増やせば増やすほどむくみが起きやすくなること (4)、どの程度のむくみをもって、医学的な「浮腫」とみなすかが報告間で十分統一されていないことなどが理由と考えられます。いずれにせよ、かなりの確率ということはいえます。

対処方法は?

主な対処法は次の2つです。すなわち、

①薬を替える
②むくみに対処する別の薬を追加する

①については、カルシウム拮抗薬のなかでも「マニジピン」などは比較的むくみを起こしにくいと知られているので、これに変更するなどの方法が考えられます (4)。

②に関しては、体内の水を排出してむくみをとる「利尿薬」や、血管を拡張して組織の水分を血管に呼び込む「アンギオテンシン変換酵素阻害剤」などが候補になります (4)。これらの薬はいずれも血圧を下げる効果を持っているので、カルシウム拮抗薬と無理なく併用できます。

しかし、薬を増やせばさらに別の副作用が生じる可能性が出てくることは、意識しておく必要があります。

その他の副作用

個人的に、アムロジピンの副作用として特に注意しているのは、さきほど述べた2つくらいなのですが、他にも報告はあるので、簡単に見ていきます (5, 6)。

ほてり

血管を開く効果がある薬なので、末梢の血の巡りがよくなった結果あらわれる症状です。薬の正常な効果の範疇なので、放置しても特に害はありません。どうしても気になる場合は、他の薬に変更するのが確実な対処法です。

めまい・ふらつき

血圧を下げる効果のある薬では、必然的にこの副作用が生じます。脳に送られる血液量が一時的に少なるからです。頻繁に起きる場合は、血圧が下がり過ぎている可能性があるため、薬を変更したりする必要がありますが、一過性なら特に心配ありません。

もっとも大切なのは、日々の血圧をチェックすることです。これにより、副作用の発見につながるほか、薬の効果が十分得られているのか判断する材料になるからです。

「血圧手帳」などの専用の記録冊子もあるので、つけてみることをおススメします。最寄りの薬局でもらうことができます (たいていは無料で配布しているはずです)。

動悸

血圧が下がると、生体はこれを補うために心拍数を増やして、全身に送られる血液量を増やそうとします。その結果、動悸が起きます。つまり、正常な生体の適応反応の一種なので、基本的に心配ないものです。

この副作用は、血圧が急激に下がる薬で起きやすいとされます。最近よく使われているカルシウム拮抗薬は作用が出始めるのが遅いので、動悸を自覚するケースは少ないでしょう。

まとめ

■アムロジピンは血管を開き、血圧を下げる効果を持つ
■副作用で有名なのは、歯茎の腫れとむくみである
■副作用が起きた場合、他の薬に変更することが多い

参考文献

(1) 薬価基準点数早見表平成28年4月版 じほう
(2) 第1回NDBオープンデータ http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html
(3) Dongari-Bagtzoglou A, J Periodontol. 2004 Oct;75(10):1424-31. PMID: 15562922
(4) Sica D, J Clin Hypertens (Greenwich). 2003 Jul-Aug;5(4):291-4, 297. PMID: 12939574
(5) McDonagh MS, et al. Drug Class Review: Calcium Channel Blockers: Final Report [Internet]. PMID: 20496186
(6) ノルバスク 添付文書 ファイザー株式会社