目次:温湿布と冷湿布の違いと使い分け

■貼付剤(湿布薬)の種類
・ブラスター剤(テープ剤)
・パップ剤
■温湿布と冷湿布の成分
・温湿布
・冷湿布
■湿布薬でかぶれないための工夫
・貼るときは患部をしっかり拭く
・貼る位置をずらす
・長時間貼らない
・ゲルやクリームタイプの塗り薬を検討する
■湿布薬の副作用
■市販の湿布薬にも冷感タイプ・温感タイプがある
■冷湿布、温湿布に関するよくある質問
・湿布は、シャワーや入浴時のときは剥がしたほうが良いですか?
・筋肉痛・腰痛・肩こりには、温湿布・冷湿布、どちらが良いですか?
・病院でもらった湿布薬は、冷・温シップのどちらですか?
・湿布薬使用時に、痛み止めも併用して良いですか?
・湿布薬を使用していても、痛みがとれません。
・1日1回の湿布薬を1日2回貼っても良い?
・1回あたり、何枚まで湿布を貼って大丈夫?
・病院で湿布薬を多く頼んだのに70枚しか出してくれないのはなぜ?
■おわりに

貼付剤(湿布薬)の種類

医療の現場では、皮膚に貼って効果を示すようなお薬のことを「貼付剤(ちょうふざい)と言います。そして貼付剤には、主に、ブラスター剤(テープ剤)とパップ剤があります。

ブラスター剤(テープ剤)

通常、「○○テープ」と言われるのがこちらに相当します。基本的には肌色で薄いタイプです。消炎鎮痛成分が含まれているため、痛みを和らげる効果があります。通常は、冷たい、温かいといった感覚はありません。

ただ、中には、温感、冷感タイプのブラスター剤(テープ剤)もあります。においはありません。
粘着力が強いため、はがれにくいというメリットがありますが、反面、長期で使用すると肌がかぶれてしまうこともあります。しっかりとくっつくことから、関節部分など動いている部分に向いていますが、毛深い部分には向いていません。

パップ剤

通常、「○○パップ」と言われるのがこちらに相当します。基本的には白色で少し厚みがあります。人にもよりますが、湿布薬というと、こちらのパップ剤をイメージすることが多いです。

消炎鎮痛成分が含まれているため、痛みを和らげる効果があります。湿布特有のにおいが特徴ですが、においがないものもあります。
パップ剤は、水分を含んでおり、貼った感じはひんやりとしたり、冷感や温感があるいわゆる冷湿布、温湿布などのタイプがあります。
粘着部分が肌に優しいため、かぶれなどの心配は少ない反面、はがれやすいのが特徴です。寝ている間に、剥がれてしまったりするのはこちらのパップ剤になります。

温湿布と冷湿布の成分

温湿布、冷湿布といった場合、多くはパップ剤の中での話になります。温湿布と冷湿布では含まれているお薬の有効成分には違いがありませんので、期待できる消炎鎮痛効果は同じになります。その中で、消炎鎮痛成分とは別の成分によって、温湿布は、貼った感じが温かく感じ(温感)、冷湿布は、冷たく感じる(冷感)ようにできています。

温湿布

消炎鎮痛成分に加え、トウガラシエキスなどの温感成分が含まれており、患部を暖める効果があります。局所の血流を増加させるような作用があるため、肩こりや腰痛などの慢性的な痛みに対して効果的とされています。

参考:医療用温湿布

・MS温シップ「タイホウ」
・フルルバンパップ
・ラクティオンパップ
・フェルナビオンパップ
・フェルナビオンテープ
・ロキソプロフェンナトリウムテープ50mg「タイホウ」
など

冷湿布

パップ剤には水分が多く含んでいるので、患部を冷やす作用があります。又、消炎鎮痛成分に加え、メントールなどが入っているものもあります。
冷やす作用があるので、急性期の炎症(筋肉痛、捻挫)などで、患部が熱をもっていたり、腫れている場合などに効果的とされています。

参考:医療用冷湿布

・アドフィードパップ
・ロキソニンパップ
・MS冷シップ「タイホウ」
など
 
温湿布、冷湿布、どちらを貼ったら良いか分からなくなってしまったとき、それほど神経質に悩まなくても大丈夫です。理由としては、含まれている消炎鎮痛成分は同じなので、痛みをおさえる効果は同じと考えて差し支えないからです。

迷った際は、貼ってみてどちらが心地よいかを考え、心地良いほうを選ぶと良いでしょう。主治医や薬剤師に相談してみることもおすすめします。

湿布薬でかぶれないための工夫

貼るときは患部をしっかり拭く

患部に貼るときは、汗をかいていたり、入浴後の場合は、しっかりと水分を拭いてから貼るようにしましょう。はがれやすくなったり、かぶれなどの症状が出やすくなります。又、患部は、清潔に保てるよう、入浴時には剥がして一度綺麗にしてから、再度貼りなおすようにしましょう。

貼る位置をずらす

毎回、全く同じ場所に貼っていると、それだけその患部でかぶれるリスクが高まります。毎回貼る位置をずらし、肌を休めることも大切です。

長時間貼らない

肌が敏感な方は特にですが、1日貼るタイプの湿布薬だとしても、最初は、数時間程度の利用に留めて使用したほうが無難です。また、かゆみがある、赤みが少しある、などの症状が出た場合は、しばらく皮膚を休め、もっと短い間隔で利用し、様子をみるようにしましょう。

ゲルやクリームタイプの塗り薬を検討する

湿布薬でかぶれを起こしやすい場合には、ゲルやクリームタイプなど、湿布タイプではない塗り薬を検討すると良いでしょう。湿布薬と交互に使用してみるなど、肌への負担を減らすことによって、かぶれを最小限にすることができます。

湿布薬の副作用

もっとも多い副作用としては、皮膚がかゆくなったり、皮膚が赤くなる、かぶれる、などがあります。

また、ケトプロフェンを含む、モーラス、ミルタックスなどのお薬は、「光線過敏症」とよばれる日光アレルギー(日光に対する過敏な免疫反応)により、皮膚が赤くなる、水ぶくれ、かゆみを伴う皮疹などの症状が起こることもあります。この症状は、日焼けとは異なります。原因がわからず、そのまま放置してしまうと、症状が悪化し、治りづらくなってしまう可能性があります。

紫外線の強い時期(夏場)は、「紫外線の多い時間帯は外出を避ける」「外出の際には、衣服やサポーターなどで肌を露出しない」などの注意をするようにしましょう。

市販の湿布薬にも冷感タイプ・温感タイプがある

市販でも、医療用医薬品に用いられている成分を含む市販薬を購入することが可能です。鎮痛成分としては、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、フェルビナク、ケトプロフェンなどがあります。
湿布薬だけではなく、ゲル、ローション、スプレーなど様々な種類の湿布薬が販売されています。湿布薬では、医療用医薬品である湿布と同様に、冷感タイプや温感タイプのものがあります。
まずは、何の成分が含まれているかを確認し、それから冷感・温感タイプのどちらが良いかは、自分にとって心地良いほうを選ぶようにしましょう。

冷湿布、温湿布に関するよくある質問

湿布は、シャワーや入浴時のときは剥がしたほうが良いですか?

湿布薬は、テープ剤でもパップ剤でも、入浴前に剥がすようにしましょう。
また、温湿布に関しては、トウガラシエキスなどの温感成分が含まれており、入浴時にピリピリと赤くなることがあります。そのため、入浴の30分以上前には、剥がしておくことをおすすめします。
入浴後は、しばらく時間がたってから新しい湿布を貼るようにしましょう。

筋肉痛・腰痛・肩こりには、温湿布・冷湿布、どちらが良いですか?

急性期の炎症(筋肉痛、捻挫)には、冷湿布が良く、腰痛や肩こりなどの慢性的な炎症には、温湿布が良いと一般的にされていますが、正直なところ、鎮痛成分は同じであるため、鎮痛効果に違いはありません。
冷湿布が良いか、温湿布が良いかは、人の好みの部分が大きいです。

もし、温湿布・冷湿布、どちらが良いか迷われた場合には、イメージとして、参考になる選び方があります。
あなたが、お風呂に入ったときに、患部が心地よいと感じるかどうかです。例えば、筋肉痛があるとして、お風呂に入ったときに、その筋肉痛が楽になるようであれば、温湿布がおすすめです。お風呂に入っても、心地よいとは思わない場合には、冷湿布をすすめます。

ぜひ、この選び方を参考にしてみてください。

病院でもらった湿布薬は、冷・温シップのどちらですか?

テープ剤(○○テープ)の場合は、何もパッケージに書かれていない場合は、冷感、温感といった感覚はありません。もし、パッケージに「冷」「温」など書いているものがあれば、冷・温シップのどちらかです。

パップ剤(○○パップ)の場合は、何もパッケージに書かれていない場合は、水分を含んでいるため、冷感(ひんやり)を感じます。パッケージに「温」と書かれているものは、温シップになります。

湿布薬使用時に、痛み止めも併用して良いですか?

病院で、湿布薬と痛み止めが合わせて処方されることもあります。湿布薬は局所に作用するため副作用が少ないとされています。一方、内服薬である、痛み止めは体の内側から作用します。基本的には、併用しても問題ないのですが、湿布薬の使いすぎ、痛み止めの飲み過ぎには注意が必要です。必ず医師の指示どおりに服用するようにしましょう。

湿布薬を使用していても、痛みがとれません。

湿布薬を使用していても痛みが変わらない場合や、ひどくなっている場合には、単なる炎症ではなく、何か別の原因で痛みが生じている可能性があります。そのため、「湿布薬の効果がない」とお薬のせいにするのではなく、何か別の原因を疑い、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

1日1回の湿布薬を1日2回貼っても良い?

1日1回と指示がある湿布薬は、1日1回の使用にしましょう。一般的には、テープ剤の場合は1日1回、パップ剤の場合は1日2回のものが多く、お薬の成分の効果持続時間を考慮し決定されています。頻度を多くしてしまうと、かぶれやすくなったり、副作用のリスクが高まる可能性もあります。

1回あたり、何枚まで湿布を貼って大丈夫?

肩が痛い、足が痛い、腰が痛いなど、炎症を起こしている患部が複数ある場合があると思います。湿布薬によっては、1日の使用枚数に制限があるものもありますが(その場合は守ってください)、枚数の制限の記載がないものも多くあります。
常識の範囲内の枚数、1日2-3枚程度でしたら、使用しても問題はないでしょう。使用時には、薬剤師にご相談下さい。1度に使用する枚数が増えれば増えるほど、副作用のリスクは高まりますので注意は必要です。主治医から指示がある場合には、そちらに従って下さい

病院で湿布薬を多く頼んだのに70枚しか出してくれないのはなぜ?

2016年度の診療報酬の改定により、湿布薬の1処方あたりの制限として、原則「70枚まで」と決まりが出来ました。そのため、特別な理由がない限り、病院では、湿布薬を70枚までしか出すことはできません。
これは、今まで、過剰に湿布薬が処方されるケースが見られたため、医療費を下げるためのひとつの取り組みとなります。

おわりに

湿布薬についての説明と、温湿布、冷湿布の違い、使い分けなどについて参考になりましたでしょうか?

湿布薬は、どんな方も1度は利用したことがあるような身近なお薬です。人によっては、肌が敏感でかぶれやすい方もいらっしゃいますので注意が必要です。
温湿布、冷湿布、どちらが良いかは、好みもありますので、ご自分で使用してみて判断されるのも良いでしょう。

今回の記事を参考に、利用されている湿布薬について理解を深めていただければ幸いです。