インドで未だ根強く残る「カースト制度と貧困」

近年めざましい急成長を遂げているインドですが、国内では「カースト制度」が未だに根強く残り、職業選択が制限され、安定した職に就けず、日雇い労働や物乞いをして、何とか毎日を食いつないでいる人々が大勢います。また、都市部が発展することで国内の物価が急上昇し、彼らの生活はさらに追い詰められているのが現状です。

※学校に行かず働く子供
私たちが活動しているハティヤール村やその周辺の最も貧しい地域にも、カースト制度の影響から仕事に就くことができず、貧しい暮らしを送る人々が大勢います。

※ハティヤール村の子供たち
こうした状況から、大人の間ではアルコール依存性や病気、自殺などで命を落とす人も後を絶ちません。
そのため、幼い頃に親を亡くし、孤児になる子どもたちが増え続けているのです。さらに、村のなかでは物乞いの習慣化による、就業意欲自体の低下も伺えます。

現地の人々が主体となる支援を目指して

土産用の菓子販売で雇用を生み出す

ハティヤール村を含めたブッダガヤという地域は、仏教の聖地として世界中から仏教徒が訪れる観光地であるにも関わらず、目立ったお土産らしいものがありません。そこに注目した私たちは、菓子の土産用販売事業により雇用を生み出すことを考えました。

具体的な内容としては、現地の菓子工房で製造されたクッキーを購入し、ハティヤール村まで運搬。村の人々が包装をし、ブッダガヤのホテルや土産物店または自分たち自身で観光客向けに販売していくというものです。

※現地の菓子工房で製造されたクッキー
こうして安定した職を提供することで、物乞いをして生活をしてきた人々が尊厳を取り戻し、人間らしい生活ができるようになること、そして、子どもたちが児童労働や家業の手伝いをする必要がなくなり、学校に通うことができるようになることを目指しています。

※クッキーを包装する様子
また、この雇用事業は最終的には現地の人々たちだけで運営をしていけることを目指しています。これまで一般的であった寄付や労働力の提供等による支援は、現地の人々の主体性を奪い支援に頼りきってしまうという問題がありました。そこで、現地の人々が主体となって運営を続けていけるような支援をしようと、私たちは考えています。

動き始めたクッキープロジェクト

いくつかの団体より交付していただいた助成金や、クラウドファンディングでご協力いただいた資金により、2016年の1月から本格的に現地での事業を開始し、現在はブッダガヤで日本人の方が運営するカフェにクッキーを置いてもらっています。

まだまだ軌道には乗っておらず課題は山積みですが、繁忙期にはクッキーをお店に出したそばから数日内に完売という状況が続くなど、この事業に可能性を感じています。

クッキープロジェクト始動により仕事を得た例

※お土産クッキーを持ち微笑むスニールさん一家
幼い頃にポリオを患い、足が不自由で歩く事ができないスニールさん。
本職はテイラー(仕立て屋)ですが、村では仕事がなく以前は月200円程度の収入しかありませんでした。
現在は、クッキープロジェクトの包装に使用する布を縫ってくれています。

※包装用の布をつくるスニールさん
いつかこのハティヤール村発のクッキーがブッダガヤ土産として定着し、仕事がなく貧困から抜け出せない家族の生活向上に貢献できる事業として、現地の人々だけで運営していける事を目指し、私たちNPO AOZORAはサポートを続けていきます。

※お土産クッキーの初回生産

クッキープロジェクトにこめた願い

1日でも早く「支援する」という関係を終わらせ、自分たちだけで運営できるようになった事業をただ「見守る」事ができるように。

生まれた時から決められていた身分制度により、差別されてきた人びとが少しでも尊厳を持って生きていけるように。

仕事がなくアルコール中毒で道端に倒れている人が、一人でも減り、全ての子どもたちが学校に通い、夢を持つことができるように。

私たちはこれからも活動を続けていきます。