1.子どもに多いおたふく風邪とは?

おたふく風邪は細菌ではなく、ウイルスによる感染症です。おたふく風邪の原因となるウイルスはムンプスウイルスと呼ばれるもので、大人でも子どもでも感染する可能性があります。

 

ただし、免疫力の関係で子どものほうがより感染リスクが高く、発症者が多い傾向にあります。ムンプスウイルスは感染者の咳やくしゃみによる飛沫により感染します(接触による感染もあります)。ムンプスウイルスは比較的感染力が強いウイルスなので、免疫力の弱い子どものうちは保育園や幼稚園、小学校などで流行してしまう恐れがあります。

 

ほとんどの子どもが10歳くらいまでに一度感染します。特に、4歳以下の子どもに発症者が多く、全発症者の45%から47%ほどを占めています。保育園、幼稚園など不特定多数の児童と接触するようになると感染しやすくなります。

 

1-1. 普通の風邪との症状の違い

おたふく風邪と普通の風邪との違いは「耳下腺」の腫れです。耳下腺は耳の付け根部分にある唾液腺で、ムンプスウイルスに感染するとこの部分に炎症が発生します。
そのため。まるでおたふくのような特徴的な腫れが生じます。この耳下腺の腫れは発症から2日程度でピークを迎え、徐々に落ち着いていきます。1週間もたつ頃にはほとんど腫れは消失するでしょう。

 

耳下腺の腫れ以外には風邪の諸症状が現れます。38度を超えるような発熱、それに伴う頭痛、咳、喉の痛みなどです。これらの症状もピークはだいたい2日程度です。場合によっては耳下腺の腫れが引いても、これらの症状が残ることがありますが、それでもやはり1週間ほどで快癒します。

 

2.おたふく風邪にかかったら

おたふく風邪はウイルス性感染症のため、発症が確認されたら幼稚園や学校などは出席停止となります。感染を他者に移さないように、耳下腺の腫れなど特徴的な症状が見られたら速やかに病院で診察を受けるようにしましょう。おたふく風邪の診療科は内科や小児科です。

 

子どものうちはかかりつけのクリニックがあると思うので、そこで見てもらうようにするとよいでしょう。

 

おたふく風邪の原因となるムンプスウイルスには抗生物質のような薬が存在しません。そのため、治療は対症療法となります。安静にして、きちんと栄養や水分、睡眠を取ることで体の治癒能力を高めて、自然に回復するのを待ちます。

 

高熱を出している場合、発汗により体の中から水分や電解質が失われます。水で水分補給をするのでも構いませんが、ナトリウムやカリウムなどの電解質が不足しないようにスポーツドリンクや市販で販売されている経口補水液のほうが適しています。緑茶や紅茶などのお茶類にはカフェインが含まれており、利尿作用があるため、発熱のある時の水分補給には適しません。

 

耳下腺が腫れていると食べ物を咀嚼するときに、痛みが生じることもあります。そのため食べ物はできるだけ柔らかいもののほうがいいでしょう。本人が痛みを感じず、食欲もある場合は通常の食事でも大丈夫です。

 

耳下腺の腫れは1-2日、発熱などの風邪の諸症状は長くて1週間程度で快癒します。腫れが引いて、全身の不調が回復したら病院で診察を受けて、完全に治ったことを確認しましょう。見た目は元気でもまだウイルスを他者に感染させてしまう可能性はあります。そのため、完治したことを医師に確認してもらうことは重要です。

 

3.おたふく風邪を予防するためのポイント

おたふく風邪はムンプスウイルスに感染することで発症します。幼稚園、学校、職場、駅など不特定多数の人と触れ合う場所ではどうしても感染する確率が高まってしまいます。しかし、これらの施設に行かないという選択はできませんよね。

 

感染を予防するためにはマスクと手洗いうがいなど、風邪を予防するための方法が有効です。またしっかりと3食食べ、睡眠時間も確保し、適度に体を動かすことで免疫力を高めることも重要です。

 

ただし、根本的な予防の方法にはなりません。最善を尽くすならばムンプスウイルスワクチンを事前に接種することが重要です。ムンプスウイルスワクチンの予防接種は任意接種のため、自己判断となります。おたふく風邪自体の発症を防げるほか、もし発症してしまった場合に症状を軽くしたり、おたふく風邪の合併症を防いだりする働きがあるため、接種したほうが安心です。

 

4.親注意!大人でもおたふく風邪になる?

子どものおたふく風邪はほとんどの場合、耳下腺の腫れと発熱や頭痛などの症状だけで一週間程度で快癒してしまいます。しかし、大人のおたふく風邪は子どもと比べて腫れや発熱が強く出たり、合併症になる可能性が高まります。

 

大人のおたふく風邪の合併症で多いのは睾丸炎や卵巣炎です。睾丸炎はおたふく風邪を発症した成人男性のおよそ20%、卵巣炎はおたふく風邪を発症した成人女性のおよそ7%に現れます。左右両方の睾丸に炎症が生じると最悪の場合、無精子症となる可能性があります。また妊娠中に卵巣炎になると流産の可能性が高まります。

 

おたふく風邪は一度発症したことがあったり、ワクチンを予防接種したことが合ったりすれば基本的に大人になってからも発症しません。もし、過去に発症したことがなかったり、ワクチンを接種したことがなければ、お子さんがワクチンを接種するタイミングで一緒に接種するのがよいでしょう。

 

5.まとめ

おたふく風邪は耳下腺の腫れが特徴的なウイルス性の感染症です。特効薬のようなものがないため、発症したら安静と栄養補給、睡眠を心がけてゆっくりと休みましょう。ほとんどの場合は一週間もあれば快癒します。腫れや熱が引いたら病院で診察を受けて、完治したことを確認してもらいましょう。

 


子どもが感染した場合、両親も注意が必要です。おたふく風邪は大人に発症すると子どもより症状が重くなりやすく、合併症も起こりやすくなります。過去におたふく風邪になったことがある、ワクチンを接種したことがある時は抗体ができているため感染しませんが、そのようなことがないときは感染してしまうことがあります。大人になってからワクチンを接種しても効果があるため、子どもに予防接種っさせるタイミングで一緒に受けると安心です。