1.心筋梗塞とはどのような病気か?

心臓は、全身に血液を送るポンプのような働きをしています。

血液は、全身の細胞に酸素や栄養素を供給するため、心臓が動かなければ細胞は生きていくことができません。心臓は1分間に70回も鼓動をうち、5Lを超える血液を循環させています。心臓が止まれば全身の細胞は酸素を受け取ることができません。結果、壊死してしまいます。

 

心臓は筋肉でできており、そのポンプ機能を発揮しています。筋肉であるということは他の細胞と同じく、もちろん酸素と栄養素が必要になります。心臓には「冠動脈」という血管が存在し、心筋に血液を通して酸素と栄養素を供給しています。

 

心筋梗塞の一歩手前に「狭心症」という病気があります。狭心症は、心臓の冠動脈に血栓ができたり、血管自体が狭くなったりすることで血流量が低下し、血液の供給量が不足する病気です。血液が不足し酸欠状態となることで、心筋からアラートとして非常に強い痛みが発生します。

心筋梗塞は、狭心症から症状がさらに進んだ状態です。狭心症は、可逆的な病気で治療を施せば改善させることができます。

 

狭心症は、血管が狭くなり血液の供給量が低下することで発症する一方、心筋梗塞は血管が完全に詰まり血液の供給が一切停止されることで発症します。酸素の供給が止まるため心筋は時間の経過とともに壊死していきます。壊死した心筋の細胞は元に戻ることはありません。このように不可逆的なことが心筋梗塞の怖いポイントです。

 

急性心筋梗塞の患者の14%は病院に搬送される前に心停止を行い、発症から30日以内の院内死亡率は6%ほどとなります。心筋梗塞は死亡する可能性が高い怖い病気であることを自覚する必要があります。

2.心筋梗塞の症状の特徴

心筋梗塞の症状の特徴は、胸部に激しい痛みが生じることです。今までに経験したことのないような重く、焼けつくような痛みが生じ、胸部だけではなく肩や背中に痛みが広がることもあります。


痛みは30分ほど続き、顔面蒼白になり、冷や汗や吐き気が生じます。意識がなくなることもあり、早急に治療を施さないと死亡する危険性が高くなります。

心臓に負担がかかると発症しやすくなり、激しいスポーツや寒暖の差が原因となることもあります。胸部に経験したことのない痛みや重苦しさを感じたら病院で治療を受けるべきです。

特に深夜帯だと少し様子を見ようということになりやすいですが、心筋梗塞は早めに治療すればするほど予後や生存率が良くなります。

3.心筋梗塞の治療とは?

心筋梗塞は、早く治療をすればするほど予後が良くなります。そのため胸部に強い痛みを感じたらすぐに救急車を呼ぶべきです。
心筋梗塞を発症した場合、閉塞し血液の供給が止まった血管を再び開通させることが重要になります。可能な限り発症から6時間以内に手術を実施します。

 

血管内の閉塞してしまった部分に細いカテーテル(管)を通してバルーンにより血栓を砕きます。バルーンによる血管の開通が不十分な場合、「ステント」と呼ばれる金属製の網を血管内で広げる手術を実施します。ステントは広がると血管が広がった状態を保ってくれて、血流を再開通させます。

 

血管が閉塞することで心筋が壊死して合併症が起こることもあります。不整脈や心不全、心破裂が起こるとより重篤な状態となります。病院に搬送された時の状態によっては集中治療室で全身を管理することもあります。

 

現代では技術が進み、心筋梗塞での死亡率自体は低下しています。ただし心筋梗塞のリスクとなる肥満や高血圧、高血糖、喫煙、アルコールなどを改善させないと再発や脳の血管の疾患のリスクが残ります。手術が成功した後は医師の指導のもと、生活改善をしていくことが重要なポイントです。

4.まとめ

心筋梗塞は不可逆的な病気です。一度壊死してしまった心筋は元に戻らず、最悪の場合は死に至る可能性もあります。


心筋梗塞の特徴は、胸部への経験したことのないような重く、焼けつくような痛みです。もし、胸部にそのような痛みを感じたらすぐに救急車を呼び、医療機関で診断を受けたほうが良いでしょう。技術の発達とともに心筋梗塞での死亡率はどんどん下がっています。

発症から1時間以内に病院に搬送され、適切な治療を受けることができれば予後も安定しやすいです。いざというときに救急車を呼ぶかどうかの判断を間違えないようにしましょう。