■登場人物

★ゆきさん
雪原 匠(ゆきはら たくみ) 49歳 男性
ゆきさん薬局の管理薬剤師&オーナー
顔の見える薬剤師を目指し、日々奮闘中

★佐藤 啓介 
佐藤 啓介(さとう けいすけ) 63歳男性
少し太り気味で運動不足
高脂血症

この湿布薬は使ったことがあるの?

小太りで高脂血症の薬をもらいに来る佐藤さんが見えました。

ゆきさん、処方箋を見て、「あれ、今日は湿布薬が出ていますが、どうしたの?」と質問しました。

佐藤さん
「いつも市販薬を利用していたのだけど、処方箋で湿布ももらえると聞いてお願いしてみたんだ」

ゆきさん
「じゃー初めての利用って、ことで大丈夫ですか?」

佐藤さん
「はい。どうしてですか?」

ゆきさん
「佐藤さん、ジェネリックて、ご存知でしょう。佐藤さんは、ジェネリック希望と最初に伺っているので、そのままジェネリックに変更しようと思ったのですが、少し気になるところがあって質問しました」

佐藤さん
「何が気になったのですか?」

ゆきさん
「通常だと、ジェネリック希望と記入してある薬歴を見て、そのままジェネリックに変更してしまいます。ところが、貼り薬は使用感覚を直接感じるので、かぶれやすかったり、はがれやすかったり、においが気になったりとメーカーによってその違いを気にする方も多いんです。だから、いちいち使用経験をお伺いして、ご要望に沿ったものを選ぶようにしています」
佐藤さん
「僕は皮膚は強い方なので、問題ないと思います」

ゆきさん
「今回、佐藤さんは初めての利用なので、どこのメーカーが合うか試してみるしかありませんが、試したことがある貼り薬があって、それがご自身にあっているようなら、なるべく今までと同じ薬を使うことをお薦めしています。ちなみに市販薬は、何を使っていましたか?」

佐藤さん
「ドラッグストアーで、これが一番効くと勧められたボルタレンテープです」

ゆきさん
「それなら、同じものが医療用医薬品でありますよ。今回はケトプロフェンテープが処方されていますが、先生に相談して変えてもらいましょうよ」

佐藤さん
「そんなこと出来るんですか?」

ゆきさん
「もちろんです。使い慣れている方が良いじゃないですか。特にケトプロフェンテープは日光過敏症の副作用が多く報告されているので、他の湿布薬で効果があれば、変更せず今まで使っていたものを利用した方が良いと思います。いくら皮膚が強いと思っていても、日光過敏症になったら嫌でしょ!」

佐藤さん
「そうですね。是非お願いします。」

患者さんに処方提案も行います

ゆきさん
「ところで佐藤さん、シップはどこに利用しているんですか?」

佐藤さん
「肩こりです」

ゆきさん
「苦しむようになって、長いんですか?」

佐藤さん
「40代くらいからかな。それまではあまり感じなかったけど、中年になり運動不足もあって、肩こりが出てきた気がします」

ゆきさん
「そうなんですね。肩とか冷えませんか?」

佐藤さん
「そう、冷えるんです。お風呂から上がってすぐでも、首から肩にかけて冷えてくるんですよ」

ゆきさん
「佐藤さん、葛根湯という漢方薬聞いたことがありませんか?」

佐藤さん
「風邪の引き始めに利用する薬ですね。聞いた事ありますよ」
ゆきさん
「実は葛根湯を肩こりに使っている人も多いんですよ。市販薬でもありますが、医療用の方が濃度が濃いものもありますので、より効果を確認しやすいんです。医師に相談してみてください」

佐藤さん
「湿布を変えてもらうついでに、お願いしてもらえないかな」

ゆきさん
「先生によっては、薬剤師からの処方提案を受けない先生もいるから、佐藤さんから直接相談してもらえますか。私がせっかく良かれと思って処方提案しても、先生に提案の意図がうまく伝わらず、いこじになったら本末転倒でしょ。また、私が一方的に良いと思うから処方してくれと頼むよりは、先生と直接お話して、先生自身が納得して処方してもらった方が、私と先生の両方の意見を確認できます。だから今回は、医師に是非直接相談してみてください」

佐藤さん
「そうですね。ゆき先生のおっしゃる通りにしますよ」とうれしそうに返事をしました。

温湿布と冷湿布の違いは?

佐藤さん、めずらしく薬局が暇なのをみて、質問を始めました。
「ゆき先生、湿布を見ると温湿布と冷湿布があるじゃないですか。あれって、どう使い分ければよいんですか?」

ゆきさん
「自分の体に素直に、気持ち良い方を利用すれば良いんです。冷たいのを利用して気持ち良いときは冷湿布を、温めて気持ちが良い場合は温湿布を利用するので大丈夫です」

佐藤さん
「そうかあ。わかる気はするけど、でも説得力ないなあ」

ゆきさん
「温湿布も冷湿布も主成分は同じなので、効果は同じと言えます」

佐藤さん
「だったら温感、冷感なんて作る必要がないじゃない」

ゆきさん
「理屈でお話しすると、急性疾患、例えば打撲等は腫れているので、炎症を抑えるために冷やした方が、慢性疾患、つまりしつこい肩こり、腰痛等は血行が悪くなっているので、温めて血行を良くした方が良いんです。でも、自分の肩こりが、急性なのか慢性なのか判断に苦しみますよね。そんな時のために、気持ちの良い方を選ぶようにお勧めしています」
佐藤さん
「それじゃ、俺の使っているボルタレンテープはどっちなの?」

ゆきさん
「どちらでもありません。テープ剤は特に温湿布、冷湿布とうたっているものは少ないです。佐藤さんの場合は、慢性的な肩こりなので、温湿布が良いとは思いますが、パップ剤ははがれやすいので、はがれにくい今のテープ剤のボルタレンテープを利用するのが一番良いと思いますよ。でもテープ剤の中では、ボルタレンテープははがれやすい方だといわれていますが、今までこれで使い勝手良かったのでしょ」

佐藤さん
「そうですね」

ゆきさん「それじゃあ、先生にボルタレンテープにしてもらうように相談しますね」と言って、疑義照会の電話をかけに行きました。

「花田先生、いつもお世話になっております。佐藤啓介さんの処方箋でご相談させてください。ケトプロフェンテープが処方されているのですが、ご本人様が、いつもボルタレンテープを利用していて調子が良いようなので、そちらに変更したいのですが?」

花田先生
「あー、そうなんだ。テープ剤がほしいと言っていたから、一番ポピュラーなものを処方したのだけれど、本人が良いというものにしてあげてください」

佐藤さん、ゆきさんが目の前で問合せてをして、あっさり変更したので驚いていました。

「簡単に変更してもらえたでしょ!」と佐藤さんに話して、今日も良い仕事ができたと満足するゆきさんでした。



※ゆきさん薬局の物語に登場する人物は、フィクションです