・オルメテック普通錠が販売中止になる理由
・処方薬、こういうとき薬は変更できる?
>錠剤が飲みにくいと感じたとき
>医師や薬剤師の説明にない症状が出る場合や副作用が重いと感じる場合
>医師が処方薬を変えた場合、薬局でも理由を聞ける?
・過去に発売中止になった主な医薬品とその理由
>効果が無い
○効果が無い薬が発生する理由
>重い副作用が発生
○製造方法の進歩で製造することが可能になった薬も
>他の薬との飲み合わせが悪すぎる
>代替薬が発売となる
>売り上げが極端に少ない
>原材料が入手できなくなった
・まとめ
オルメテック普通錠が販売中止になる理由
しかし、2017年にオルメテック普通錠の特許保護期間が切れて、ジェネリック医薬品が他社から発売されるために備えてではないかというのが多くの薬剤師の予想です。
オルメテックOD錠は2015年に発売されたばかりの新しい薬ですので、OD錠のジェネリックが発売されるにはまだ時間がかかります。
つまり、オルメテック普通錠からOD錠に変更してもらえれば、他社のジェネリック医薬品に変更されるケースを少なくさせることが可能です。
とはいっても患者さんの希望があり、処方せん上でジェネリック医薬品への変更が可能であれば他社のジェネリック医薬品の普通錠に変更が可能です。
現在、オルテメック普通錠を処方されている方は、医師と相談の上、OD錠へ移行することになるでしょう。
ジェネリック医薬品が発売後は、選択肢が広がることになります。
処方薬、こういうとき薬は変更できる?
処方薬が変更される場合は、医師から十分な説明があるのが一般的です。
しかし、処方された薬が合わなかったり副作用がつらい場合に、どのタイミングで、どのように自分から医師に伝えたらいいのでしょう?
錠剤が飲みにくいと感じたとき
もし錠剤が大きいなどの理由で飲みにくい場合は、すっーと溶けるOD錠に変更したり、粉薬に変更できることがあります。
また、医薬品によって錠剤を割ったり、粉砕することも可能な場合がありますので、飲みにくさがある場合は医師にご相談ください。
なお、この方法は自己判断では絶対に行わないでください。
割ったり、粉砕してしまうと本来の効果がでなかったり、副作用が起こりやすくなることがあるためです。
医師や薬剤師の説明にない症状が出る場合や、副作用が重いと感じる場合
医師や薬剤師はよくある副作用の頻度や程度といった一般的な内容しかお伝えすることしかできないため、実際には服用してみなければ分かりません。
服用開始する前にはなかった症状が、服用開始後に発生する場合には、我慢をせずに医師や薬剤師に相談し、服用の継続可否や対処方法をお尋ねください。
医師が処方薬を変えた場合、薬局でも理由を聞ける?
従って、販売中止など特別な事情のない場合の処方薬変更は、薬局で理由を尋ねてもその場で正確にお答えすることは難しいため、医師から聞いた方が変更の意図が分かりやすいです。
但し、薬剤師から医師に電話などで尋ねることはできますので、医師に聞きそびれたとか、聞きづらい場合は、薬局で薬剤師にお尋ねください。
きっと手助けしてくれるはずです。
過去に発売中止になった主な医薬品とその理由
効果が無い
発売された当時は有用な治療薬として使用される医薬品も、医療の進歩とともにその価値が失われ、他の治療薬や治療方法の方が効果が良くて副作用が少ないことが確かめられると、「有効な医薬品」としての価値を失います。
昔ながらの医薬品では愛用している方が多い場合もありますが、再評価によって突然販売中止となるケースはあり得ます。
また、発売当初から効果が無かったのでは?と考えられるものも存在していました。
効果が無い薬が発生する理由
医薬品として認められるためには厳密な臨床試験(治験)を行って効果や副作用を確かめる必要がありますが、現在のように厳密になされるようになったのは意外と最近で、1997年からです。
それよりも前は信頼性がある臨床試験がなされておらず、効果や副作用が十分確かめられているのか怪しいものもありました。
医薬品の説明書である「添付文書」には、臨床試験結果などその医薬品に関することが詳しく記載されており、医薬品によっては裏表10ページくらいになることもあります。
一方で、古くから使われている医薬品は、裏表1枚程度のペラペラな添付文書で、副作用の発生率は不明なことがありますし、臨床試験結果も「記載無し」ということもあります。
古い医薬品の全てに効果が無いことはありませんが、今後も実は効果がなかった、という医薬品が出てくる可能性はあります。
重い副作用が発生
医薬品として認可されるまでに実施される臨床試験(治験といいます)では、効果や副作用が厳しく評価されるのですが、合計実施人数は多くても1000人程度ですので、10000人に一人しか発生しないような副作用は見逃されるケースがあります。
また、治験の期間中は参加者の体の状態をくまなく調べるため、ちょっとした不調がすぐに見つかるのですが、発売後、実際に使用される時はそうもいかず、副作用がひどくなってから見つかる場合もあります。
製造方法の進歩で製造することが可能になった薬も
効果があり安全で妊婦も使用可能とメーカーが宣伝してこともあって、妊婦のつわり緩和に積極的に使用されていたことが大きな事件に繋がってしまいました。
しかし、一言でサリドマイドと言っても実は2種類存在します。
右手と左手の関係のように鏡に映した、正反対の2つのサリドマイドがあり、これを「光学異性体」といいます。
実はサリドマイドの一方は本当に安全で効果も高いのですが、もう片方が胎児の成長に影響を与える作用があったのです。
現代使用されている薬でもサリドマイドと同じように2つの成分が混じった薬があるのですが、最近では効果の良い方だけを集めた薬がいくつか発売されています。
抗生物質「クラビット」、抗アレルギー薬「ザイザル」、睡眠導入剤「ルネスタ」などです。
ちなみに光学異性体で狙った方だけを合成する技術のことを「不斉合成」といい、その内の一つを野依良治教授が開発して2001年にノーベル化学賞を受賞していることからもわかるとおり、ようやく2つを分離して化学合成できるようになったばかりです。
他の薬との飲み合わせが悪すぎる
抗がん剤のフルオロウラシルと一緒に投与するとフルオロウラシルの効果が強力になりすぎて、重い血液系の副作用が発生しました。
フルオロウラシルが体内で分解する酵素をソリブジンが邪魔をしてしまい、フルオロウラシルが分解されずに体に負担がかかりすぎて発生した副作用です。
代替薬が発売となる
冒頭に紹介したオルメテック錠がこの理由に当たります
売り上げが極端に少ない
先発医薬品があるので売上げが低ければ販売中止にしても、さほど影響がなかったためです。
今では問題としてあまり取り上げられておりませんが、販売中止になる医薬品の多くはジェネリック医薬品です。
原材料が入手できなくなった
例えば3回の化学反応で目的の成分が得られていたのが、原材料が入手できなくなり代替品を利用して5回の化学反応をしなくていけなくなった場合を考えてみましょう。
1回の化学反応で次の化合物が95%得られるとします。
3回の化学反応では、最初の原材料の量をから考えて目的物は85.7%得られます。(1×0.95×0.95×0.95=85.7%)
ところが5回の化学反応を行うと原材料から考えて77.4%になってしまいます。(1×0.95×0.95×0.95×0.95×0.95=77.4%)
これでは10%近くも合成できる量が減少してしまいます。当然利益も減少してしまいますよね。
まとめ
医薬品が販売中止になる理由はいくつかあります。
効果、副作用、飲み合わせ、代替薬、売り上げの面、それ以外は各要因が複合的に起こることが挙げられます。
繰り返しになりますが、効果があり、品質も高い薬が販売中止になることは、あまりありません。
ご自身が服用している薬が変わる際には、医師による十分な説明があるのが通常です。
不安点があれば、必ず医師に確認するようにしましょう。