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【薬剤師が解説】便秘薬の定番、酸化マグネシウムってどんな薬?

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2022/6/21
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ぺんぎん薬剤師です。便秘に悩まされている方って結構多いんじゃないかと思います。

そんな時って、食生活を改善することで治してしまう方もいるかとは思いますが、病院で処方してもらったり、市販薬を購入する方も多いと思います。

そんな便秘薬の中でも代表的なものとして、酸化マグネシウムがあります。理科や化学で出てきたような・・・化学式(MgO)が思い浮かぶ名前ですが、便秘薬の代表選手の一つとして広く使われている薬です。

今日は酸化マグネシウムについて、少し詳しくまとめてみますね。

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代表的な処方薬


薬剤師

ぺんぎん薬剤師さんのコメント

病院でもらう酸化マグネシウム剤の代表的な名前として、以下のものがあります。

・酸化マグネシウム
・重質酸化マグネシウム
・重カマ
・軽カマ
・マグミット
・マグラックス

ちなみに、私たち医療従事者は酸化マグネシウム(サンカマグネシウム)を略して、カマグとかカマと呼ぶことが多いです。

酸化マグネシウムの作用機序

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下剤には様々な種類がありますが、酸化マグネシウムは浸透圧性下剤の中でも塩類下剤(えんるいげざい)と呼ばれるものです。酸化マグネシウムは口から服用された後、腸内でその効果を発揮します。

まず、胃の中で胃酸(HCl)と反応することで塩化マグネシウム(MgCl2)になります。次に、腸内に分泌される膵液(NaHCO3)と反応して、重炭酸塩(炭酸水素マグネシウム:Mg(HCO3)2)、炭酸塩(炭酸マグネシウム:MgCO3)、になります。
※塩(えん)とは、化学で用いられる用語で、酸に由来する陰イオン(マイナスイオン、アニオン)と塩基(アルカリ)に由来する陽イオン(プラスイオン、カチオン)が結合してできる化合物のことを言います。(この場合、陰イオン:CO32-、陽イオン:Mg2+)
腸内において、こららの塩類の濃度が高くなることで浸透圧が働き、腸管から腸内に水分が移動します。

この働きにより腸内の水分が増え、腸内の内容物、つまり便が柔らかくなります。

また、便のかさが増えるので、それが腸管運動を刺激する効果もあると言われています。酸化マグネシウムはこのような働きで便秘を解消するため、浸透圧性下剤のうち塩類下剤に分類されています。

酸化マグネシウムの特徴

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酸化マグネシウムは、他の便秘薬が持っていない特徴を持っています。

耐性がつきにくい
酸化マグネシウムは他の便秘薬とは異なり、繰り返し使用しても、耐性がついて効果が落ちることはないと言われています。つまり長期間服用を続けたとしても、便秘が悪化することはないというわけですね。

胃酸を抑えて胃を守る
また、酸化マグネシウムは制酸剤としての効果を持っています。

作用機序の部分にも記載しましたが、酸化マグネシウムは胃の中で胃酸と反応して塩化マグネシウムになります。この反応で胃酸(HCl)が中和されるので、制酸剤としての効果が発揮されるというわけです。

また胃酸過多と言って、胃酸が多く出ている状態では胃炎や胃潰瘍につながるだけでなく、腸内環境が崩れ、便秘にもなると言われています。そういった症状にも、酸化マグネシウムが有効ということがわかります。
結石をできにくくする
尿路結石の一つにシュウ酸カルシウムがあります。酸化マグネシウムには、体内でシュウ酸カルシウムが作られにくくする効果があると言われています。

まず、マグネシウムが腸内でシュウ酸と結合することで、体内へのシュウ酸の吸収を抑えます。次に、尿中でシュウ酸と結合することで、カルシウムがシュウ酸と結合するのを抑えるというわけです。
こうして見てみると、酸化マグネシウムはなかなかの万能選手のように見えますね。


【市販で購入できる】おすすめの酸化マグネシウム入り市販薬2選


健栄製薬

酸化マグネシウムE便秘薬

最安値 330

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刺激が少なく子どもも使える便秘薬

医療用医薬品として長年にわたって使われてきたことで、長期服用ができることが知られている酸化マグネシウムを成分とした錠剤です。

医療用では1日3回服用することもありますが、1日1回で効果を発揮するように設計されています。錠数が多くても飲みやすいように水に溶けやすい錠剤になっています。

分類 第3類医薬品
有効成分 酸化マグネシウム
服用/塗布回数 服用回数:1日1回就寝前(又は空腹時)
1回量:
 大人(15歳以上):3~6錠
 11歳以上15歳未満:2~4錠
 7歳以上11歳未満:2~3錠
 5歳以上7歳未満:1~2錠
 5歳未満:服用しないでください
サイズ/内容量 40錠
薬のタイプ 錠剤
子どもへの使用 5歳以上から可能

協和薬品工業

ティファS錠

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便秘と同時に肌荒れも解消

酸化マグネシウムに加えて、肌の水分代謝を促進することで肌荒れに効果を発揮するヨクイニンが配合された製品です。

便秘になると腸内環境が悪化するため悪玉菌が増えてしまいます。悪玉菌が作る腐敗物質が血中に取りこまれ、それが肌に到達することで肌荒れの原因になります。 ティファS錠は便秘と便秘による肌トラブルの両方に効果を発揮します。

分類 第3類医薬品
有効成分 酸化マグネシウム
ヨクイニンエキス
服用/塗布回数 服用回数:1日1回就寝前(又は空腹時)
1回量:
 大人(15歳以上):3~6錠
 11歳以上15歳未満:2~4錠
 7歳以上11歳未満:2~3錠
 5歳以上7歳未満:1~2錠
 5歳未満:服用しないでください
サイズ/内容量 90錠
薬のタイプ 錠剤
子どもへの使用 5歳以上から可能

【比較一覧表】おすすめの市販薬

商品画像 酸化マグネシウムE 40g
健栄製薬
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協和薬品工業
商品名 酸化マグネシウムE 40g ティファS錠
特長 刺激が少なく子どもも使える便秘薬 便秘と同時に肌荒れも解消
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酸化マグネシウムの注意点


薬剤師

ぺんぎん薬剤師さんのコメント

じゃあ、酸化マグネシウムには悪いところはないかというと、そういうわけでもありません。

もともと添加物等にも使用されている物質なので、少量で強い働きを持つわけではありませんが、条件が重なったり、大量に服用しすぎると問題が生じます。

わかりやすい例としては、効き過ぎれば下痢になりますし、それが進むと脱水症状等を引き起こす可能性もありますよね。

それ以外の注意点で代表的なものを挙げてみます。


高マグネシウム血症

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酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症については、2015年10月に添付文書の改訂指示が出されました。一般のニュース等で話題になったのでご存知の方もおられるかもしれません。

通常、服用した酸化マグネシウムのほとんどは吸収されることなく排泄され、体内に吸収されるのはごく微量と言われています。ですので、高マグネシウム血症が起こる可能性はとても低く、酸化マグネシウムは安全性の高い薬剤と言われています。

実際に、酸化マグネシウムを使用している患者さんの数は年間4,000万人、3年間で因果関係の否定できない高マグネシウム血症の発生が19件ですから、その発生リスクがかなり低いことがわかります。

ですが、リスクが0ではない以上、一定の注意は必要です。

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体内のマグネシウム濃度が上がりやすくなる要因として、

・腎臓の働きが弱っていること
・大量の酸化マグネシウムを長期間服用し続けていること

が挙げられます。

また、高マグネシウム血症の初期症状として、悪心・嘔吐、起立性低血圧(立ちくらみ)、徐脈(脈拍が下がる)、皮膚潮紅(皮膚が赤くなる)、筋力低下、傾眠(眠くなる)、全身倦怠感、無気力などが知られています。

マグネシウムが上がりやすくなる条件に当てはまる方で、初期症状が見られるようであれば、医療機関で相談してみてください。

酸化マグネシウムが他の薬の効果を落とす?


薬剤師

ぺんぎん薬剤師さんのコメント

酸化マグネシウムのもう一つの注意点として、ある種の薬と一緒に服用すると、その薬の効果を下げてしまう場合があります。

これは、マグネシウムイオンがある種の薬剤に反応して、体内に吸収されないキレートという複合体を作ってしまうためです。

マグネシウムとキレートを作ってしまう薬剤としては、

・テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン等)
・ニューキノロン系抗菌剤(クラビット、オゼックス、シプロキサン、アベロックス、ジェニナック、スオード、バクシダール等)

が代表的なものとして挙げられます。

服用の間隔を2時間くらい開ければ問題ないことが多いのですが、自己判断は禁物です。酸化マグネシウムを服用している方は、病院、薬局でそのことを伝えて、他の薬との飲み合わせに影響がないかを確認してみてくださいね。


『酸化マグネシウム』に関するQ&A


化マグネシウムは身近な成分を利用した比較的安全性の高い医薬品ですが、医薬品である以上、自己判断で使用してしまうと思わぬ健康被害につながる可能性もあります。服用に当たって気になることは、薬剤師や登録販売者に相談してください。

ここでは代表的な質問とその回答について、Q&A形式でまとめます。


酸化マグネシウムは毎日飲んでも問題ありませんか?
酸化マグネシウムは体内にもほとんど吸収されないため、長期間服用した際の安全性が比較的高い便秘薬として知られています。

また、効果が穏やかで腸に対する刺激が少ないため、習慣性や依存性が少なく、長期間服用していてもクセになりにくいと言われています。

ただし、腎臓の悪い方ではわずかながら吸収されるマグネシウムが体に溜まってしまうことがあるので、服用が長期間になる場合は一度主治医に相談してみるといいと思います。

妊婦・授乳中の場合でも服用して大丈夫でしょうか?
妊娠中・授乳中の場合、服用した薬が赤ちゃんに影響を与えるかどうかが不安になりますが、酸化マグネシウムは天然由来の成分であり、体内にほとんど吸収されないので安心して服用することができます。

また、妊娠中の方が刺激性の強い下剤を使用すると子宮の収縮を誘発し、流産や早産の危険性が高まってしまいますが、酸化マグネシウムの効果は穏やかなので妊婦の便秘に対して広く使用されています。

ただし、服用に際しては便の状態を見て服用量を減らしたり休んだりして、下痢にならないように注意してください。

酸化マグネシウムを飲んでもでないので、規定よりも多く飲んでいいですか?
酸化マグネシウムは腸内の水分を増やすことで効果を発揮する下剤なので、水分をしっかり取れていない場合は効果を発揮することができません。

また、下剤としての効果は穏やかなので一度の服用で効果を発揮できない場合もあります。効果が出ない場合は、決められた用法用量を守り、食事や運動の見直しをおこないつつ服用を継続してみてください。

自己判断で多く服用した場合、急激な下痢につながり、脱水症状などを引き起こす危険がありますし、わずかながら吸収されるマグネシウムが体内に蓄積し、高マグネシウム血症を引き起こしてしまう可能性があります。決して自己判断で量を増やさないようにしてください。

まとめ


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今回は酸化マグネシウムについて、詳しくまとめてみました。

他に便秘に使用されるマグネシウム製剤として、水酸化マグネシウムや硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムがありますが、ほぼ同じと考えてもらって大丈夫です。

非常に安全性の高い薬ではありますが、いくつかの注意点については、頭の片隅でもいいので意識してもらえればと思います。

※掲載内容は執筆時点での情報です。

 

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