1.代理人が薬を受け取りに行くほうが良い場合とは

まず、代理人が薬を受け取りに行くほうが良いケースを理由とともに紹介します。

1-1. 病気やけがの症状が重い場合

本人の体調が悪くて薬局へ行くことが困難な場合は、代理人が薬を受け取りに行く必要があります。

たとえば、
・寝たきりの方
・何らかの介護が必要な方
・歩行が困難な方(足が痛い、腰が痛い、など)
・感染力の高い病気にかかっている方(インフルエンザなど)
・抵抗力が落ちていてほかの感染症にかかるリスクの高い方
などが、該当します。

そのほか、病気や薬の影響で薬局内で待つことが難しい場合(知らない人がいると緊張してしまう方・待ち時間が長いと激怒してしまう方、など)も、代理人による薬の受け取りをおすすめします。薬の説明や確認を落ち着いてすることが難しく、副作用などに関する大切な情報を提供できない可能性があるからです。

1-2. 薬を紛失する可能性がある場合など

お子さんや認知症の方など、薬の受け渡しに不安がある方・薬を紛失する可能性がある方なども、代理人による薬の受け取りが望ましいです。

子どもの医療費が無料化されている地域では、「お金のやり取りがないから」という理由で、お子さんに薬の受け取りを任せる方もいます。しかし、保管に注意が必要な薬も多いですし、年齢・体重で薬の量が変わることも頻繁にあります。また、ちょっとした体調変化が実は副作用によるものであった、という場合もまれにあります。少なくともお子さんが小学校を卒業するまでは、保護者の方が薬を受け取るようにしてください。

一方、薬をお子さん自身で管理できる年齢になると、飲み忘れ・塗り忘れなどが多くなる傾向があります。季節の変わり目や薬の変更があった場合、受験など大切なイベントが近い場合は、お子さんと一緒に保護者の方も薬剤師の説明を受けるようにしてください。

認知症の方の場合、薬を受け取ったことを忘れたり、薬の保管場所を忘れたりすることがあります。病院などで処方せんの再発行を受けた後、同じ薬局へ処方せんを持っていった場合は薬の受け渡しの記録がすぐに確認できますが、ほかの薬局へ処方せんを持っていってしまうと記録の確認ができないため、重複して薬を渡してしまう可能性があります。さらに後日、紛失した薬が見つかると、誤服用の危険性が高まります。このようなリスクを防ぐため、認知症の方の薬の受け取りは、代理人によることが望ましいです。

1-3. 忙しくて有効期限内に薬局へ行けない場合

仕事などの都合で、処方せんの有効期限内に薬局へ行くことが難しい場合は、代理人に薬の受け取りを依頼しましょう。処方せんの有効期限は、発行日を含めて4日間です。

有効期限が過ぎてしまうと、病院などを再受診して処方せんを発行してもらわなくてはなりません。有効期限は、土日祝日が含まれることを理由に延長されることはありませんので、年末年始や大型連休前に処方せんの発行を受けた場合は、とくに気をつけましょう。

2.代理人が薬局へ行く際に注意すべきこと

次は、代理人が薬局で薬を受け取る際に持っていくもの・注意すべきことなどについて説明します。

2-1. 持参すべきもの

代理人が薬局で薬を受け取る際は、「処方せん」「保険証」「お薬手帳」を持参しましょう。自治体から何らかの医療費の助成(子どもの医療費・ひとり親家庭に対する助成など)を受けている場合は、その受給者証が必要となる場合があります。

処方せんは、ファックスや画像などで薬局に送信していたとしても原本が必ず必要です。これは、処方せん送信後に内容の変更がなかったか確かめるため、また、日付や内容の改ざんなどがないことを確認するためです。

保険証や各種受給者証は、医療費の負担割合を確認するために必要です。保険証の内容などが確認できない場合は、10割の負担を求められることもあります。

お薬手帳の提出は任意ですが、薬の履歴から処方内容の変更や飲み合わせなどが確認できるので、できるだけ提出するようにしましょう。とくに、いつもと違う薬局へ行く場合・処方内容に変更があった場合は、お薬手帳が役に立ちます。

2-2. 本人のアレルギー歴など

ご本人様のアレルギー歴や副作用歴などを把握しておくようにしましょう。ほとんどのお薬手帳にはアレルギー歴などを記載する欄があるので、そちらに記入しておくと便利です。

2-3. 本人の服薬状況・他科受診歴など

ご本人様の服薬状況(飲み忘れの有無、残薬の状況など)も、確認しておきましょう。残薬がある場合は、処方日数の調整ができることもあります。

また、残薬・飲み忘れに何らかの理由がある場合(薬の管理ができない・粉薬はむせるので飲めない・生活パターンと服用時間があっていない、など)は、薬剤師から医師に服用できない理由を伝え、処方内容の見直しにつながることもあります。

3.スムーズに薬を受け取るコツ

ここからは、代理人がスムーズに薬を受け取るコツです。

3-1. ファックスなどで処方せんをあらかじめ送っておく

あらかじめ処方せん情報をファックスなどで送っておくと、待ち時間を短縮することができます。最近はスマートフォンアプリでの送信に対応している薬局もあります。ただし、薬の内容によっては準備に時間がかかることがあります。不安な場合は薬局に連絡し、用意できる日時を確認するとよいでしょう。

なお、ファックスなどで処方せん情報を送信した場合であっても、処方せんの有効期限内でなければ薬を受け取ることはできません。ご注意ください。

3-2. 処方せん提出時に代理であることを伝える

薬局で処方せんを提出する際には、代理であることを伝えましょう。その時にご本人様との関係(同居の家族・同居はしていないが介護をしている親族・一時的に孫を預かっている祖父母、など)を伝えると、スムーズに薬を受け取ることができます。

なお、ご本人様を看護・介護している方に引継ぎが必要な場合は、その旨を受付担当者や薬剤師に伝えるようにしましょう。

3-3. 保険証やお薬手帳を提出する

処方せんと一緒に、保険証や各種受給者証、お薬手帳を提出しましょう。薬剤師から薬を受け取る時にこれらを提出すると、薬のチェックや会計に時間がかかることがあります。

(囲み記事)なぜ薬局で保険証が必要なの?


保険薬局は病院や診療所などと同じ医療機関の一つで、法律により保険証を確認する義務が定められています。一方で、処方せんには保険証の記号・番号などの記載があるため、「保険証の確認は不要」という意見もあります。しかし、入力ミスや確認もれなどで記載内容が間違っていたり、資格期限が切れていたりすることもあります。
このような場合は、後日、患者様に不足分の負担金を支払っていただくことになります。また、場合によっては余分に支払っていただいた負担金を返金することもあります。


とくに初めて薬局を利用する患者様に対しては、保険証の提出を求める薬局が多くあります。金銭トラブルを未然に防ぐため、保険証の提出を求められた場合はご協力をお願いいたします。

4.受け取った薬は必ず患者様本人などに確認してもらいましょう

代理で受け取った薬は、患者様あるいは介護・看護している方に内容を確認してもらいましょう。薬の内容や飲み方の変更などは、実際に受診したご本人様や付き添いの方にしか伝わっていないことも多いです。医師の説明と受け取った薬の内容に食い違いがある場合は、速やかに薬局へ連絡しましょう。

なお、薬局の連絡先は、お薬手帳のシールや薬袋などに記載されています。

5.おわりに

院外処方せんが発行された場合、院外の薬局で薬の交付を受ける必要がありますが、薬の受け取りは代理人でも可能です。処方せんの有効期限内に、確実に薬を受け取れるようにしましょう。

代理人が薬を受け取る場合であっても、処方せん原本は必ず必要です。保険証の提出を求められる場合もあるので、保険証も忘れずに持参しましょう。お薬手帳の提出は任意ですが、薬の履歴や飲み合わせなどのチェックに欠かせません。できるだけ持参し、ご本人様のアレルギー歴や副作用歴、服薬状況なども薬剤師に伝えるようにしましょう。


なお、代理人が受け取った薬は、ご本人様や介護者など薬の管理者がしっかり内容をチェックしてください。万が一疑問点がある場合は、速やかに薬局に連絡しましょう。