目次:ジェイゾロフトが「最初の抗うつ薬」として好まれる理由

◆【ジェイゾロフトの有効成分】セルトラリン
◆【ジェイゾロフトの飲み方】1日1回
◆【ジェイゾロフトの種類】普通の錠剤と口腔内崩壊錠がある
◆【ジェイゾロフトが使用される病気】3種類の病気の治療に使う
◆【ジェイゾロフトの治療効果】他の抗うつ薬と同等
◆【ジェイゾロフトの副作用】
・他の抗うつ薬より少なめ
・他の抗うつ薬より下痢が多い
・ジェイゾロフトなどのSSRIでは基本的に太る心配は無用
◆最初に使う薬として向いている理由
◆まとめ

【ジェイゾロフトの有効成分】セルトラリン

ジェイゾロフトは、日本での発売が開始されて、今年でちょうど10年になる抗うつ薬で、その有効成分は「セルトラリン」です (1)。

抗うつ薬のなかでも、「選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)」というグループに属します。SSRIは、うつ病において脳内で不足した「セロトニン」という神経伝達物質の作用を強める効果を持っており、他には「パキシル」、「レクサプロ」、「ルボックス」などがあります (2)。

【ジェイゾロフトの飲み方】1日1回

ジェイゾロフトの飲み方は1日1回で、特にタイミングの指定はありません (1)。

最初は1日25mgという少量から初めて、調子を見ながら100mgまで徐々に上げていきます (1)。これは、他のSSRIでも見られるパターンで、初期に起きる吐き気などの副作用を軽減するためです。

【ジェイゾロフトの種類】普通の錠剤と口腔内崩壊錠がある

このように、少しずつ量を変えていく使い方に対応できるように、ジェイゾロフトには25mg、50mg、100mgを1錠に含んだ製品が発売されています (1)。

またそれぞれの量に、普通の錠剤と、口の中で溶ける「口腔内崩壊 (OD) 錠」があります。治療効果については、どちらも変わりないので、好みで使い分ければOKというレベルの話です。

これらすべての製品に対するジェネリック医薬品もすでに発売されており、薬価はおおむね先発品の半分弱となっています (3)。

【ジェイゾロフトが使用される病気】3種類の病気の治療に使う

2016年10月現在、ジェイゾロフトの使用が保険上認められている病気は、以下の3つです (1)。

●うつ病・うつ状態
●パニック障害
●外傷後ストレス障害

SSRIはその作用メカニズムは共通していますが、使用できる病気が異なります。さきほど、SSRIは抗うつ薬である、と書いたように、うつ病に対する使用は共通して認められています。

特徴的なのは下2つで、パニック障害と外傷後ストレス障害に使用が認められている薬は、今のところセルトラリンとパロキセチン (パキシルの成分名) の2つだけです (1, 4)。こうした点で貴重な薬といえるでしょう。

【ジェイゾロフトの治療効果】他の抗うつ薬と同等

抗うつ薬は、SSRIのほかにもたくさんのグループがあります。ジェイゾロフトは、いろいろな抗うつ薬と比較して、効果の面で大きな違いがあるのでしょうか。

始めに結論をいえば、際立った差はないと考えられています (5)。
というよりも、抗うつ薬のなかには、別種のものと比較して絶対的に効果が高いものは現時点では存在しません。

したがって、知慮効果の点に限っていえば、薬の種類にはあまりこだわらなくても大丈夫ということです。

【ジェイゾロフトの副作用】

他の抗うつ薬より少なめ

ともあれ、では抗うつ薬を選ぶときに、全く何も考えなくてよいのか?と聞かれれば、もちろんそんなことはありません。

抗うつ薬で治療を行っている場合、思ったより症状が改善しなかったり、副作用が起きたりして、他の種類に変更することがあります。こうしたことは、もちろん起こらない方がよいので、治療をどのくらい継続できるか、という点も抗うつ薬を評価するうえで重要となります。

また、一般的に抗うつ薬は飲み始めてから、効果が出るまで週-月単位の時間がかかるので、薬の切り替えをしている間は、しばらく薬の効果があらわれない状態に甘んじることになります。すると、その間ずっと調子が悪いまま、となりますので、好ましくありません。

ジェイゾロフトは、こうした薬の変更・中止を要するケースが他の抗うつ薬と比較して少ない傾向にあると知られています (6)。これは、ジェイゾロフトのメリットといえるでしょう。

他の抗うつ薬より下痢が多い

SSRI同士は、副作用でも共通する点が多いのが特徴です。具体的には、以下のようなものが見られます (1, 5)。

●吐き気
●下痢
●焦燥感
●頭痛

ジェイゾロフトの特徴として、他のSSRIと比較して下痢が多いことが挙げられます (6)。

これに対して、SSRIと比較して古くからある抗うつ薬で多い副作用は、種類が異なります。一例は、以下の通りです (5)。

●口の渇き
●便秘
●めまい

つまり、一口に「抗うつ薬」といっても、どういった副作用が起きやすいかは、種類によってまちまちということです。

ジェイゾロフトなどのSSRIでは基本的に太る心配は無用

薬局で抗うつ薬を調剤すると、患者さんから「この薬は太りますか?」と聞かれるケースが思いのほか多くあります。

それだけ、「抗うつ薬=太る」というイメージが広まっているあらわれでしょうが、ジェイゾロフトなどSSRIに関していえば、こうした心配は基本的に不要です。

なぜなら、冒頭でSSRIは脳内のセロトニンの作用を増強すると書きましたが、このセロトニンが食欲を失わせるようにはたらくからです (7)。
また、臨床研究の結果としても、SSRIで体重が増加するという信頼性の高い結果が得られていません。

確かに、抗うつ薬の中には「ミルタザピン」などのように明らかに体重を増加させやすい薬もありますが (8)、ジェイゾロフトなどのSSRIに限っていえば、この限りではありません。

一方で、逆にジェイゾロフトによって痩せる、ということも知られていません。セロトニンの効果によって食欲が減っても、抗うつ効果で気分がよくなったことで、ごはんが美味しくなり、結果的にお互いの効果が打ち消しあうのかもしれません。

最初に使う薬として向いている理由

これまで見てきたように、効果もそこそこ高く、副作用などで継続ができなくなるケースも少なめであるのが、ジェイゾロフトの特徴といえます。

つまり、比較的継続しやすい薬と評価できます。こうした理由から、他の抗うつ薬と比較して、ジェイゾロフトは最初に使用する抗うつ薬として向いていると考えられています (9)。

まとめ

■ジェイゾロフトは有効成分として「セルトラリン」を含む、抗うつ薬である
■パニック障害・外傷後ストレス障害に使用が認められている、数少ない薬の1つである
■他の抗うつ薬と比較して、有効性は同じくらいである
■副作用などにより治療を継続できなくなる割合が低い
■抗うつ薬の中では、副作用として下痢が多い部類に入る

参考文献

(1) ジェイゾロフト 添付文書 ファイザー株式会社
(2) 龍原徹・澤田康文 ポケット医薬品集2016年版 白文舎
(3) 薬価基準点数早見表平成28年4月版 じほう
(4) パキシル錠 添付文書 グラクソ・スミスクライン株式会社
(5) Cipriani A, et al. BMJ Clin Evid. 2011 May 25;2011. pii: 1003. PMID: 21609510
(6) Cipriani A, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Apr 14;(4):CD006117. PMID: 20393946
(7) Lam DD, et al. Endocrinology. 2008 Mar;149(3):1323-8. Epub 2007 Nov 26. PMID: 18039773
(8) Alam A, et al. Prim Care Companion CNS Disord. 2013;15(5). pii: PCC.13r01525. PMID: 24511451
(9) Cipriani A, et al. Lancet. 2009 Feb 28;373(9665):746-58. PMID: 19185342