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狂犬病とは?
日本では1950年代に狂犬病予防法が制定され、犬の登録やワクチン接種の徹底により国内での発生はなくなりました。しかし海外では現在も多くの死亡例が報告されており、流行地域に渡航する際は十分な注意が必要です。
接種を控えるべきケース
日本で犬を飼う場合、年に1回のワクチン接種が義務となっています。しかし、体調や持病によっては見送られるケースもあります。たとえば、心臓や腎臓などに慢性的な疾患がある場合や高齢で全身状態が悪い場合などです。このようなケースでは、接種による体への負担が大きいため、獣医師の判断で接種が見送られます。
その際は「狂犬病予防注射猶予証明書」を発行してもらい、自治体へ接種免除を届け出なければなりません。また、重い副反応の既往がある場合も接種の対象外となります。
また、人の場合も強いアレルギーの既往がある場合は接種を控えるべきです。
狂犬病ワクチン接種について|費用・期間など

ワクチンは、自治体が実施する集団接種と動物病院での個別接種のどちらかで受けられます。
毎年4~6月に行われる集団接種の費用は3,000円前後で、加えて「狂犬病予防注射済票」の交付手数料も必要です。一方、動物病院の場合は、費用が若干高くなり、およそ3,000〜4,000円を支払います。
接種の時期は、生後91日目以降が目安とされ、その後は毎年1回の定期接種が必要です。
狂犬病の感染リスクと注意点
狂犬病を発病すると、人の場合、発熱や頭痛から始まり、進行すると水を飲むことすら困難になる恐水症や、呼吸のまひなどが見られ、最終的には昏睡に陥ります。犬の場合には、異常行動が起きるほか、興奮や麻痺が起きて死亡するのが一般的です。
狂犬病が発生している地域では、野生動物や放し飼いの動物とは距離をあけてください。また、医療体制が不十分な地域に行くときは、事前にワクチンを受けることも大切です。
こんなときは病院へ
狂犬病は発病すると助かる見込みの少ないため、感染が疑われる場合はすみやかに医療機関を受診してください。ワクチンは発症を防ぐ有効な手段ですが、咬まれた状況や処置内容によって対応が変わります。
特に海外では、ワクチンの種類や接種方法が異なるため、渡航前に現地情報を確認しておきましょう。
『狂犬病』に関するQ&A

海外へ訪れる予定の方やペットを飼っている方の中には、狂犬病について疑問を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、狂犬病に関するよくある質問に回答します。

犬は法律により、毎年1回の接種が義務づけられており、生後91日以降に初回を行い、その後も年に1度の接種が必要です。
人では感染リスクの高い地域に行く際などにワクチン接種が行われ、必要に応じて追加接種を検討します。接種の時期や回数は状況によって異なるため、事前に医師と相談しましょう。


アジア、アフリカ:犬・ネコ
アメリカ、ヨーロッパ:キツネ・アライグマ・スカンク・コウモリ・ネコ・犬
中南米:犬・コウモリ・ネコ・マングース
海外では、これらの動物への接触はできるだけ控えましょう。


ただし、症状が出てからでは助かる見込みが極めて少ないため、流行地域へ渡航する際には事前にワクチンを打っておくことが大切です。

まとめ

狂犬病は発症するとほぼ助からない危険な感染症であり、犬だけでなくネコやコウモリなど多くの動物から人にうつるリスクがあります。
日本ではワクチン接種の義務化により発生はなくなりましたが、海外では今も複数の症例が報告されています。とくに流行地域に訪れる場合は、現地の動物と距離を置くこと、必要に応じてあらかじめワクチンを受けておくことが大切です。
犬を飼っている方は、毎年の接種を忘れずに行いましょう。
※掲載内容は執筆時点での情報です。