低栄養とは

特に高齢期になると、食事の量が減ったり、ものをうまく食べられなくなったり、消化機能が落ちたりすることで、栄養や水分を十分に摂れなくなることがあります。また、年をとったら肉や油脂類は控え、野菜中心のあっさりした食事が良いと思っている方もいらっしゃいます。そうしてエネルギーやたんぱく質が不足し、健康な体を維持するために必要な栄養素が足りない状態のことを低栄養といいます。

低栄養になるとどうなる?

①免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる ②筋肉や骨が減少し、日常生活動作が低下する ③皮膚の弾力や張りがなくなり、褥瘡になりやすくなる ④食欲不振⇒生活意欲の低下⇒筋肉量の低下となり、悪循環になる

低栄養のチェック

低栄養は自覚症状がないことが多く、本人も周囲も気づきにくいことがあります。 下の項目のいずれかに当てはまる場合は、低栄養のリスクが高くなります。◆体重:6か月間に2~3kgの減少 ◆BMI値:18.5kg/㎡未満 BMI値= 体重kg ÷(身長m × 身長m) ◆血清アルブミン(Alb)の値:3.5g/dl以下

見落としがちな『かくれ低栄養』

見た目だけでは低栄養かどうかは判断できない場合があります。 体格が良くても、食べるものが偏っていて体に必要な栄養が不足していれば、体は低栄養の状態となり、このような状態をかくれ低栄養と言います。高齢者でかくれ低栄養の人は、少しずつ食べる力が落ちて、最終的には栄養状態が悪化することが予測され、低栄養の人と同じリスクを負っていると考えられるので注意が必要です。 低栄養は、若い人にみられることもあります。若い人の低栄養には、ストレスなどによる拒食症、過度なダイエットによる栄養の偏りなど、様々な問題が隠れていることがあります。まずは原因を解消し、その上で、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

低栄養を予防するポイント

①1日3食にこだわらない(回数を増やす)

一度に十分な量が食べられない、食欲がない、体調がすぐれない時などは、無理をせず数回に分けて食事をしましょう。

②間食を活用

ビタミン、ミネラル、適度なカロリー、たんぱく質などが摂れるため、間食でリンゴやバナナなどの果物類、牛乳やチーズやヨーグルトなどの乳製品を摂るのがおすすめです。

③食べやすい形態

高齢になると、食べにくくなる食材があります。食べにくい食材が増えることで食べる事が嫌になり、食事量が減ることがあるため、噛み切りやすい形にしたり、軟らかく煮たりと調理にひと工夫しましょう。

④おかずから食べる(食べる順番)

主食のご飯やパンや麺は食べやすいので、それを先に食べ始めるとすぐお腹いっぱいになり、他のおかずが入らなくなってしまいます。エネルギー源を不足しがちなたんぱく質や脂質から摂るために、先におかずから食べるようにしましょう。

高齢者が1日に必要なたんぱく質食品のめやす量

・肉 類 … 薄切り3枚程度(60~70g) ・魚介類 … 切り身1切れ程度(80gくらい) ・たまご … Mサイズ1個程度 ・乳製品 … 牛乳ならコップ1杯(200㎖) カップヨーグルトなら1個 ・大豆製品 … 木綿豆腐なら1/4丁(100g) 納豆なら1パック(40g) (※食事に制限がある方は、主治医にご相談ください)

おすすめ一品料理

さば水煮缶とキャベツの蒸し煮

<1人分> エネルギー170kcal たんぱく質17.0g 塩分0.7g

作り方

①キャベツは食べやすい大きさのざく切りにする。 ②フライパンに油をひかずにキャベツを入れ、上からさば缶を汁ごと入れる。Aを加え、蓋をして蒸す。 ③②のキャベツがしんなりしてきたら、さばを食べやすい大きさに崩し、しょうがを入れてさっと混ぜて器に盛る。★ポイント★ 缶詰は保存がきくので常備していれば、買い物に行けない時のたんぱく源になり ます。野菜と一緒に調理するとビタミン、ミネラル、食物繊維もプラスされます。

<惣菜アレンジ> お浸しde卵とじ

<1人分> エネルギー119kcal たんぱく質9.6g 塩分1.0g

作り方

①鍋にAを入れて煮立て、青菜のお浸しと麩を入れてあたためる。 ②麩が柔らかくなってきたら、よく溶きほぐした卵を流し入れ、蓋をする。卵が固まってきたら、器に盛る。★ポイント★ 買ってきたお惣菜も、アレンジすれば栄養豊富な一品になります。そのままおか ずとして食べても、ご飯にかけて丼ぶりにすることもできます。また、切り干し大根の煮物のお惣菜も、溶きほぐした卵と混ぜて焼き、卵焼きにしても美味しくいただけます。

薬剤師からのミニ情報 ~半消化態栄養剤について~

術後や病気、加齢などで飲み込みや食欲が低下した場合、栄養不足を防ぐために処方されますが、成分の中にたんぱく質が含まれており消化する必要があるため、消化器機能が低下している方は服用できません。

種類と特徴

★エンシュア【250kcal/250ml】 味:バニラ、コーヒー、ストロベリー ★エンシュアH【375kcal/250ml】 味:バニラ、コーヒー、ストロベリー、メロン、黒糖、バナナ ★ラコール【200kcal/200ml】 味:ミルク、コーヒー、コーン、バナナ ※エンシュア、エンシュアH、ラコールは体に必要な栄養素を全て含んでいるわけではありません。そのため、栄養剤のみでは徐々に体の中のごく少量の栄養素(超微量元素)が足りなくなります。食事が少しでも摂れている方が足りない分を補うために使用します。 長期間摂取する必要があるため、飽きがこないように様々な味があります。 ★エネーボ【300kcal/200ml】 味:バニラ ※エネーボは超微量元素もしっかりと入っているため、栄養剤だけ摂取しても栄養不足にはなりません。また、たんぱく質が多く含まれているため筋肉量の低下を防ぐことができます。ただし、味の種類がバニラしかありません。バニラ味に飽きてしまったら、医師に相談して他の栄養剤と併用するのも一つの方法です。また、普通の食事が少しでも摂ることができないかを改めて検討してみましょう。

副作用

栄養剤で多くみられる副作用が下痢です。しかし、エネーボは腸内環境を調える食物繊維が入っているため、他より下痢を起こしにくいです。一度に大量に服用するのではなく、まずは少量ずつ服用して慣らしていきましょう。また、牛乳由来のたんぱく質を使用しているため、牛乳アレルギーのある方は必ず医師にご相談ください。