1.知っておくべき4つの睡眠薬の種類

睡眠薬は大きく、その作用時間から「超短時間型(2~4時間)」「短時間型(6~10時間)」「中間型(12~24時間)」「長時間型(24時間以上)」の4つに分けられます。

 

以下に作用時間ごとの代表的な薬剤を挙げます。

 

超短時間型:マイスリー、ハルシオン、アモバン、ロゼレム
短時間型:デパス、リスミー、エバミール、レンドルミン
中間型:ネルボン、ベンザリン、サイレース、ロヒプノール
長時間型:ダルメート、ドラール

 

これに対して、不眠症も大きく4つのタイプに分けられます。

 

入眠障害…寝つきが悪い
中途覚醒…睡眠中に何度も目が覚める
早朝覚醒…朝早くに目が覚める
熟眠障害…ぐっすり眠ったという感覚が得られない。眠りが浅い。

 

入眠障害に対しては、超短時間型、短時間作用型の睡眠薬が使われます。

 

中途覚醒に対しては、頓用で超短時間、短時間型を使うか、あるいは作用時間長めの中間型、長時間型を使うか、どちらかの方法が取られます。

早朝覚醒、熟眠障害に対しては、中間型、長時間型の睡眠薬が使われます。

 

 

 

2.種類別睡眠薬のメリット・デメリット

睡眠薬には、「眠れる」というメリットだけでなく、「副作用」というデメリットも当然存在します。

「睡眠薬を飲むとボケる」「睡眠薬を飲むと癖になって止められなくなる」というイメージを持っている人もいるでしょう。

 

確かに、睡眠薬の副作用には「一過性健忘」と言われる寝ぼけの症状や、「依存性」はあります。高齢者では筋弛緩作用による脱力がおきやすかったり、睡眠薬の効果が持ちこされたりすると、ふらつきや転倒のリスクなどもあがります。しかし、比較対象として「寝酒」を挙げれば用量を決めて服用する睡眠薬の安全性は高いです。次に各睡眠薬のメリット、デメリットを挙げます。

 

(1)ベンゾジアゼピン系(ハルシオン、レンドルミン、リスミーなど)
短時間型のものは依存性がつきやすい。離脱症状が出現しやすい。一過性健忘が現れやすい。早朝覚醒する可能性がある。

長時間型のものは、持ち越し効果が出やすい。

 

(2)非ベンゾジアゼピン系(アモバン、ルネスタ、マイスリーなど)
非ベンゾジアゼピン系はベンゾジアゼピン系と比較して筋弛緩作用が少なく、安全性が高い。
マイスリーは筋弛緩作用が弱く、高齢者に使いやすい。
アモバンは苦味がデメリット。ルネスタは苦味がやや少ない。依存性は低い。

 

(3)バルビツール酸系
バルビツール酸系の睡眠薬は、強い薬ですが、その分副作用も多く、現在ではあまり使われない。てんかんの治療に使われることが多い。

 

(4)メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)
筋弛緩作用や記憶障害、依存性がないため安全性が高い。睡眠・覚醒リズムを調整して自然な睡眠をもたらします。効果は若干弱く、他の睡眠薬とちがって速効性がありません。

 

(5)オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ)
中途覚醒や早朝覚醒に効果的。悪夢がみられることがある。

 

3.睡眠障害の原因とタイプ別睡眠薬の選び方

睡眠障害の原因は人それぞれ、様々な原因があります。

 

(1)原因その1:ストレスによるもの
ストレスや心理的要因による不眠の場合、睡眠薬だけでは改善しないことも考えられます。カウンセリングや抗うつ薬などの処方も必要となる可能性もあるため、心療内科、精神科への受診をおすすめします。

 

(2)原因その2:生活習慣によるもの
夜更かし、夜勤など不規則な生活を送っていると、睡眠のリズムが狂います。できれば、正しい生活習慣を、と言いたいところですが、どうしても夜働かなければならない仕事はあります。

連日の夜勤、という人は長時間型、単発の夜勤であれば、持ち越し効果の少ない短時間型のほうが良いでしょう。

 

(3)原因その3:老化によるもの
年をとると朝が早くなります。早朝覚醒に対しては、中間型、長時間型の睡眠薬が良いでしょう。うつ病では早朝覚醒がみられますので、うつ症状がある場合には医療機関の受診が必要です。

高齢者に対しては、ふらつきの少ない非ベンゾジアゼピン系か、ロゼレム、ベルソムラなどの薬が良いでしょう。

 

(4)原因その4:病気によるもの
例えば、痛みで眠れない、トイレが近くて眠れない、かゆみで眠れない、足がむずむずして眠れない等。これらの場合は、睡眠薬以外の鎮痛薬、頻尿治療薬、かゆみ止めといったお薬の服用が必要となる場合も考えられます。こうした場合は、早めに医療機関を受診し、医師に相談しましょう。

4.睡眠薬の服用にあたって注意点

(1)寝る直前に飲みましょう
睡眠薬を服用するときの注意点としては、必ず「寝る直前に飲む」ということです。某お笑い芸人のように、睡眠薬を飲んでから車を運転するなどもってのほかです。睡眠薬を飲んでからテレビを見たり、本を読んだりして、「眠れないんです」って言われてもそれは「寝る気が無い」としか思えない。

 

(2)食後すぐに飲まないようにしましょう
また、食べ物と相互作用のある睡眠薬も多くあります。ドラールは食物と併用禁忌になっています。ドラールを食後に飲むと、効果が出すぎることがあります。また、ロゼレム、ルネスタ、ベルソムラなどは、食事によって効果が弱くなる可能性があります。

 

相互作用が無くても、寝る前に胃の中に食物を入れるというのは眠れなくなるのでやめたほうが良いです。頭が眠っていても、内臓が動いていると快眠にはつながりません。お酒と睡眠薬一緒にのむのはやめましょう。飲酒自体が眠りを浅くしますので、不眠症にとってはよくありません。

 

(3)睡眠薬は毎日飲むようにしましょう。
眠れないときだけ飲めばいい、というスタンスの患者さんがいます。患者だけでなく、医師や薬剤師にもそういうスタンスで指導する人がいます。

 

しかし、基本は毎日飲むことです。30日の処方制限のある薬が多く、他の薬が3か月分処方されているのにも関わらず、睡眠薬だけもらいに1か月ごとに通院しなければならないという状況。

 

1日おきにしたり、半分に割ってみたり、自己調節したくなるのはやまやま。しかし、基本は毎日飲むことです。ときどき飲んではすぐやめたりを繰り返すと、離脱症状が起きやすくなったります。他方、一か月以上連用すると、身体的依存が生じて、中断した場合に反跳性不眠が生じやすることもあるので、注意が必要です。この場合は、ゆっくり減らしたり、隔日投与をするなど徐々に減らすのが大切です。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。あなたに合った睡眠薬のヒントがありましたか?「薬を選ぶのは医師なので、処方された薬を飲むだけだ」とあきらめモードの人も多いでしょう。しかし不満を訴えなければ、満足しているものと捉えられてしまいます。

 

症状を詳しく訴え、適した薬を処方してもらえる賢い患者になりましょう。