日本では、糖尿病を強く疑われる人の数(糖尿病有病者数)は、男性の6人に1人、女性の10人に1人と言われています。糖尿病は、中高年で肥満の人が気をつければよいと思っていませんか?今月は、身近な病気である糖尿病について紹介します。

 

日本人は糖尿病にかかりやすい

日本人は世界の中でも、遺伝的に糖尿病にかかりやすい体質を持っていると言われています。体質に加え、欧米化した食生活や運動不足などの生活習慣の乱れが原因で、糖尿病にかかる人や予備軍が加速度的に増えています。

 

糖尿病は、初期ではほとんど自覚症状がないため、気がつかないうちに進行していることもあります。また、様々な代謝異常が起きて血管や内臓、骨や歯などがダメージを受け、重篤な合併症が起こりやすくなります。

 

若い人や痩せている人にも増加

糖尿病と言えば中高年で肥満の人がかかる病気というイメージがありますが、最近は20~30代の若い世代や痩せ型の女性にも増えてきています。肥満は糖尿病の危険因子の一つですが、日本人の場合はもともとインスリン(血糖を下げるホルモン)の分泌能力が欧米人に比べて弱いため不摂生が続くと必要な時に分泌できず、太る前の段階で糖尿病になることも多いのです。

 

また、特に若い人が陥りやすく注意してほしいのは、のどが渇いた時に清涼飲料水を摂ることです。種類にもよりますが、清涼飲料水には20~30gものブドウ糖が含まれており、血糖値の急上昇を招いてしまいます。清涼飲料水の飲み過ぎで糖尿病を発症するケースも少なくありません。

 

糖尿病予備軍チェック

 

糖尿病予防のポイント

①食事の基本は栄養バランスと腹八分目!

食事は1食の中で、主食(ご飯・パン・麺類)、主菜(肉・魚・卵・大豆製品)、副菜(野菜のおかず)を揃えましょう。

 

②食べる順番も大切!(ベジファースト=ベジタブルファースト)

最初に副菜を食べると、血糖値の上昇が緩やかになります。次に主菜、最後に主食を食べると自然に主食の量が減り、食べ過ぎを防ぐことができます。

 

③飲み物にも落とし穴!

水分補給で甘い飲み物をとると血糖値が上がります。

水分は、甘くない水かお茶でとるようにましょう。

 

④禁煙と適量飲酒でリスクを減らす!

喫煙は、インスリンの働きを妨げるため、禁煙を心掛けましょう。

アルコールは食事の糖質よりも高カロリーです(アルコール1g=7kcal、糖質1g=4kcal)。

飲酒をするとアルコールのエネルギーが先に使われるため、食事のエネルギーが蓄積されて太りやすくなります。適量を守り、おつまみは糖質を含まない野菜中心のおかずを選ぶようにしましょう。

 

⑤継続できる運動を!

運動は糖尿病になりにくい体を作り、合併症を予防する効果があります。エスカレーターやエレベーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で無理なくできる運動を継続しましょう。

 

おすすめ一品料理

豚肉と白菜のレンジ蒸し

 

<1人分>

エネルギー  116kcal

たんぱく質        14.4g

食物繊維     2.0g

塩分             0.8g

 

 

作り方

①白菜は1cm幅に切り、洗った水分がついたまま耐熱皿に入れ、ラップをかけて電子レンジ600Wで2分半加熱し、そのまま粗熱をとる。

②①の白菜の水気を軽く絞る。

③肉を広げ、②と生姜を芯にしっかりと巻く。(4つ作る)

④巻き終わりを下にして耐熱皿に並べ、ラップをして電子レンジ600Wで5~6分加熱する。

⑤④を食べやすい大きさに切って皿に盛り、青ねぎを散らし、ぽん酢しょうゆをつけていただく。

 

ポイント

白菜を加熱してから巻くため、たくさん摂ることができます。肉だけでなく、野菜を巻くことでボリュームが出て食べごたえがあります。ニラなど好みの野菜を巻いても美味しくいただけます。

 

 

人参としらたきのカレーきんぴら

 

<1人分>

エネルギー    97kcal

たんぱく質        3.2g

食物繊維     4.2g

塩分             0.9g

 

 

作り方

①人参は千切り、しらたきは下茹でして食べやすい長さに切り、えのきは石づきを落とし、半分の長さに切る。

②鍋にごま油を熱し、①を人参、えのき、しらたきの順に炒め、カレー粉を加えて炒める。

③カレー粉の香りがたったら、Aを加えて炒め、火を消してかつお節を混ぜ、器に盛り、ごまを指でひねりながらかける。

 

ポイント

野菜、こんにゃく、きのこと食物繊維がたっぷりの一品です。よく噛んで食べることで満腹感も出るため、食べ過ぎも抑えられます。

 

 

薬剤師からのミニ情報~糖尿病の治療ついて~

治療の基本

まず食事・運動療法を行い、それでも血糖値の改善がみられない場合は、薬での治療を開始します。糖尿病にはいろいろな薬があり、種類としては飲み薬と注射薬があります。薬が処方された後も基本の食事・運動療法は続けましょう。続けることによって薬の効果が期待できます。今回は経口糖尿病薬について紹介します。

 

経口糖尿病薬の種類

インスリンの分泌を増やす:グリベンクラミド、グリクラシド、グリメピリド、グルファスト、シュアポストなど

膵臓に働きかけ、インスリンの分泌を促す薬です。インスリンの分泌が増えすぎた場合は、低血糖症状に注意が必要です。

 

インスリンの働きを良くする:メトホルミンなど

インスリンが正常に働かなくなっている状態(インスリン抵抗性)を改善してインスリンを効きやすくする薬です。脱水症状になると副作用が起こりやすくなります。過度な飲酒は脱水症状を引き起こすため注意しましょう。

 

食事からの糖の吸収を遅くする:アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど

食べ物に含まれる糖質の吸収を穏やかにして血糖値の急激な上昇を抑えます。食事の影響を受けるため、食直前に服用する必要があります。小腸で吸収されなかった糖分が発酵することでお腹の張りを感じることがあります。

 

食後のインスリン分泌を増やす:グラクティブ、ネシーナ、トラゼンタ、テネリアなど

 

食後にインスリンの分泌を増やすことで血糖値を改善します。食欲を抑制したり、膵臓を守ってくれる作用もあるとされています。

 

尿から糖を排出する:スーグラ、フォシーガ、カナグルなど

尿から糖を排出するため飲み始めは体重が減少することがあります。トイレの回数が増えるため脱水症状に注意が必要です。

 

注意点

血糖値が高いと、体内に入ったウイルスや細菌をやっつける免疫反応が弱くなるため、風邪などの感染症に注意が必要です。こまめに手洗い・うがいをして予防しましょう。

 

※糖尿病薬は種類が多く、掲載していない薬もあります。ご自身が服用されている薬が体の中でどのような働きをしているのか気になる方は気軽に薬剤師にご相談ください。