赤ちゃんの性別っていつからわかるの?

妊婦健診に通うお母さんにとって最も大きな関心事といえば、【赤ちゃんの性別】という方が多いかもしれません。

初期の頃から毎回性別がどっちか気になって、相当早い時期に性別を聞いてしまったり、前回の健診で性別を教えてもらったにも関わらず、次回の健診でもう一回確認して欲しいと訴えたり。そんな人もチラホラ見かけます。ただ、実は赤ちゃんの性別に関する情報は、皆さんが思っている以上に慎重に扱うべきものなのです。

今回記事では、赤ちゃんの性別確認方法やその意義について解説します。

赤ちゃんの性別ってどうやって確認するの?

超音波検査

皆さんがイメージする一般的な性別確認方法は超音波によるものだと思います。

超音波検査で胎児の推定体重を算出する際は、児頭大横径(頭の短径)・腹囲・大腿骨長の3つの要素を測定しますが、大腿骨を観察する部分から少しずらすと足と足に挟まれた外性器が観察できます。

特に男の子の診断は比較的容易で、診察中に妊婦さん自身が画面を見て気づく事もあります。最近は超音波技術の発達が著しく相当早い週数でも判別が可能と言われていますが、一般的には16週くらいから性別が判別できるようになります。

ただ、性別が分かったとしても施設によってはすぐに伝えてもらえなかったり、実は性別が間違っていた!なんてこともあるので、やはり性別を知るのは妊娠6ヶ月以降の方が良いかもしれません。

染色体を調べる

さて、性別を知る他の方法には、染色体を直接調べるものがあります。

学生時代に習った記憶があるかもしれませんが、私たちの染色体は全部で46本から構成されていますが、その内の2本が【性染色体】と呼ばれ、私たちの性別を決定するキーとなります。どんなものでも良いので、赤ちゃんの細胞をなんらかの方法で採取して、性染色体を調べることにより、性別の確定診断が可能なのです。

具体的には、羊水中に浮いている赤ちゃんの細胞を採取する羊水検査、胎盤組織を採取する絨毛検査、お母さんの血液中の超微量な胎児成分から検査する新型出生前診断(NIPT)、さらには受精卵が分割した細胞の一部を検査する着床前診断でも性別は分かり得ます。

しかし、性別の情報というのは皆さんが想像しているよりも、本来はるかに取り扱いが慎重なものなのです。特に私達の国では基本的には中絶が認められている早い週数では、妊婦さんに性別を教えることはできないことになっています。

赤ちゃんの性別を簡単に教えてはいけない理由

結論を言うと、性別を知ることにより正当な理由なき堕胎(中絶)に繋がる可能性があるためです。

これは事前に性別を知った上で自分の望む性別を残す、いわば究極の産み分けです。現在の私達の国では、合計特殊出生率(女性が一生に産む子供の数)も少なく、表面的には男女の価値に差が無いため、性別と中絶が結びつく実感はあまりないかもしれません。しかし例え日本でも少し時代を遡れば、お家の跡取りなどの観点から男児と女児の価値に差が無かったとは言い切れませんし、現在でも地方や家庭によっては男児に恵まれない母親が生きにくい状況が依然残っているかもしれません。

さて、例えば他の国に着目してはどうでしょうか?
皆さんの記憶にも比較的新しい事例として、中国の一人っ子政策が挙げられます。人口が増えすぎた中国では、1979年から2015年まで二人目の子供を得るためには多大な罰金が課せられると言う、私達の常識では、およそ理解し難い法律が作られました。その結果、2000年には、男女出生比率が、女児100に対し男児119,2となり、極端に男児の比率が高いと言う異常事態に陥ってしまいました(正常は103〜107、自然に男児がやや多い)。
この比率は、もちろん自然な確率のぶれにより生じたものでは無く、性別を知った後に意図的な中絶が行われたためだと考えられます。時代背景的にも着床前や妊娠初期に性別が判明したとは考えにくく、羊水検査や超音波により妊娠中期に性別や染色体異常が判明し中絶を行なったと考えられます。妊娠中期の中絶方法は、妊娠初期に行う子宮内容除去術では無く、通常の分娩方法と同じく経膣分娩が選択されますので、母体にもかなり負担がかかる方法です。

さて、もしもこの時代に中国で安価に手軽に新型出生前診断(NIPT)を受ける事が出来ていたら一体どうなっていたでしょうか?妊娠初期に性別を知る事が出来て、さらに中絶方法も負担が少ない手術で済む。おそらく中絶件数は相当数増え、さらに男女比は100対119どころでは無かったと思います。

このように性別を知る事とは出生前の胎児情報を知る事であり、その情報により大きな変化を引き起こす可能性があるのです。情報を伝える側と受け取る側、双方が情報の取り扱いについて、慎重な考えが必要なのです。

さらに日本は、妊婦健診毎に腹部超音波検査を行うという世界でもかなり稀な国です。超音波検査は侵襲も少ない割に得る事ができる情報量はかなり多く有用な検査なのですが、本来腹部超音波検査も立派な出生前診断の一つです。妊婦健診で超音波検査を受ける時は、時に知るつもりでは無かった情報を知ることもあるという事実をきちんと気に留めておく事が大切です。
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