今回の記事では保険で漢方薬を希望される場合に知っておいて欲しいことをまとめました。

1.漢方薬の値段は下がっている?

保険外の漢方薬の値段は上昇傾向

漢方薬の原料である生薬のおよそ80%は中国からの輸入に頼っています。
また、一部は栽培化され安定的に生産されている種類もありますが、野生の品種を採集しながら品質を確保しているものもあります。
よって生薬の価格は、中国の社会情勢の影響を強く受けますし、さらに近年は世界的にも漢方薬に注目が高まっていることもあり、生薬(※)の価格はますます高騰してきています。


生薬(しょうやく)とは、植物や動物の薬用のある部分や、鉱物などを利用した薬です。西洋医学では「薬=単一化合物」ですが、漢方薬では薬用のある部分、例えば「根」「種子」「樹皮」などをそのまま生薬として使います。

保険適用の漢方薬の値段は、徐々に引き下げられている

現在、医療用漢方エキス製剤としては、約150種類の処方が保険適用されます。
保険適用されている漢方薬の価格は、国が決める公定価格です。
実は、生薬を仕入れるときの価格が高騰する一方で、保険における薬価は逆に徐々に引き下げられています。
窓口での支払いは、他の薬と同じように自己負担割合に応じその1~3割の額で済みますので、市販で購入する漢方薬や、漢方専門薬局で勧められる漢方薬に比べると、保険で処方されたものの方がかなり安く手に入るという印象になります。

2.予防や美容目的の保険適応はNG

保険制度のしくみは、健康保険法、その他の各医療保険法等に規定されていますので病院で漢方薬を処方してもらうためには、そのルールに従う必要があります。

「この漢方薬が欲しいのでください」といってすぐに処方してもらえるとは限りません。
漢方外来のある病院であれば、漢方に精通した医師による漢方的な診察を受けることができます。症状によっては保険適応外の漢方薬を勧められることもあるかもしれません。

漢方外来のない一般の病院でも希望すれば漢方薬を処方してくれることがあります。通常の西洋医学的な診断を受けた後、保険適用されている医療用の漢方薬の中から処方してもらうことになります。

医師が漢方薬に詳しくないこともありますので、受診しようと考えている病院で漢方薬を処方してもらえるかどうかは、事前に確認した方がいいかもしれません。いずれにしても、くすり代以外に診察料や、院外処方の場合は薬局で調剤料などが別にかかります。

保険診療の流れ

保険証を持って医療機関を受診し、病状を診断していただき、診断された疾病に対して適応のある漢方薬をその疾病の治療の目的で、認められている用法用量の範囲内で、治療に必要だと考えられる日数分の処方を受けることになります。処方される薬は、漢方薬であっても保険を適用するのであれば、厚生労働大臣が承認している効能効果、用法用量に従って扱わなければいけません。

ルール上、治療が目的の処方でなければいけませんので、予防のためや美容ためでは保険は適用できません。
用法については、漢方薬は一律に「食前又は食間に経口投与する」ものとして承認されていますので、病院からの処方ではほとんど食前または食間と指示されると思います。
たとえ食後に服用しても問題ない漢方薬でも処方せんに「食後」の指示を記載するのは厳密にはルール違反になるのです。

3.保険で処方される漢方薬の種類

①エキス製剤

現在、主に保険適用で処方されているのは、医療用エキス製剤というものです。

これは、生薬から成分(エキス)を抽出して、顆粒や錠剤の形に製剤化したものです。
煎じ薬とは異なり、調剤するときも服用するときも手間がかからないというメリットがあります。また同じ製品であれば、全国どこの医療機関で処方されても、有効成分の含量、品質は安定しています。

ただしエキス製剤は、煎じ薬のように生薬の配合を微妙に調整することはできません。保険がきく漢方薬が150種類近くあるといっても、一人ひとりの様々な病状にきめ細かく対応するのには限界もあると思います。

②生薬

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