退院、病理結果と今後の治療

リンパ節を切除した乳がん手術の場合、退院する日の目安は、ドレーン(傷口周辺の皮下に溜まる血液やリンパ液を体外に排出する管)からの排液が少なくなることです。

排液が多い状態で、ドレーンを抜いて退院しても、行き場のなくなった浸出液が皮下に溜まってふくらんできてしまい、結局、液を抜くために病院に来なくてはいけなくなってしまうからとのことでした。
私の場合は、ドレーンを付けたままの状態で外泊届を出して、自宅に戻っていた期間も含め、トータル2週間ほどの入院期間になりました。

術後の病理検査結果

ちょうど退院する日に、手術によって切除した癌細胞の詳しい分析(病理)結果が出たということで、その説明を受けてから退院することになりました。

私の乳がんのタイプは、手術前に行われた、注射で癌細胞を取り出す検査(針生検)により、だいたいのことは判明していたのですが、術中にリンパ節に癌がみつかったこともあり、どんな結果を言い渡されるのか予測不能でした。

また、一番気がかりだったのは、抗がん剤治療を必要とするのかどうかということです。
最良の結果であることを祈りつつ、ドクターの言葉に耳を傾けました。

私の癌細胞の正体が明らかに!

私の乳がんのタイプは、手術前の針生検と同じ結果で、2種類の女性ホルモンを餌にして育つタイプでした。これは、今後、女性ホルモンを抑える薬を服用する『ホルモン療法』の対象になります。

“HER2”と呼ばれる体内物質を餌にしているかどうかの検査は陰性でした。これが陽性の場合は、“HER2”を狙い撃ちにする抗がん剤の投与がなされますが、私は適用外でした。
また、癌細胞の増殖スピードを示す、MIB-1(ki67と表記されることもあります)は5%でした。これは20%以上が高い数値とされ、抗がん剤治療の対象となる場合があります。

私の癌細胞は、女性ホルモンを餌にしてゆっくりと大きくなるタイプであることが確定しました。
ここまでは、手術前の検査で判明していたことと同じだったので、ある程度予測できていたことです。

予想外だったのが、腫瘍(しこり)の大きさです。手術前は1.7cmほどとされていたのが、術後、癌細胞の広がりも含め、1.7×1.5×2.5cmに。2cm以下がステージ1とされるので、術後にステージ2に。

そして、最も懸念していたリンパ節への転移の個数は、17個のリンパ節を採取し、癌細胞が付いていたのは、術中に見つかった1個のみ。これは願っていた最良の、一番ラッキーな結果です。
しかしながら、手術前はステージ1だったわたしの乳がんは、“2cm以上、リンパ節転移有り”のステージ2Bへと格上げされてしまったのでした。

乳がん先輩からのアドバイス

私の乳がんは、一番初めの診断は1.5cmの大きさだったのが、検査が詳細になるほど、どんどん大きくなっていきました。結果を聞くたびに悪くなっていく状況に、落胆しては気持ちを立て直し、また落胆するということを何度か繰り返しました。おかげでメンタルは鍛えられましたが!
癌細胞には散々振り回されましたが、手術が終われば、それももう終わりです。術後の病理結果がどうであれ、現時点では体の中の癌細胞はすべて切除され、なくなっているのですから。

病理結果の内容に一喜一憂する気持ちもありますが、それらは、自分の体から切り離された癌細胞の話にすぎません。
手術は、軒先の蜂の巣を駆除するようなものですね。まずは、手術に耐えた、自分の体をほめて、いたわってあげてくださいね。そして、キレイさっぱり、清々しく生まれ変わった気持ちで、次の治療の選択に備えましょう!

抗がん剤治療、するか、しないか。

抗がん剤治療とは?

手術により、私の体の中の癌細胞はすべてなくなり、“治っている”状態になりました。
ただ、リンパ節に癌細胞が付いてたということは、リンパ管に乗って、今はまだ画像には映らない、微細な癌細胞が全身に散らばっている可能性が否めません。

手術後の抗がん剤治療は、そういった、“あるかもしれないけど、ないかもしれない、微細な癌細胞”を、“念のために”叩いておくことを目的に行われます。
目に見えない癌細胞が相手なので、効いているのか効いていないのかも、治療中にはわかりません。予防的なものなのです。

問題なのは、予防接種のように簡単に済むものではないということ。抗がん剤は癌細胞だけではなく、全身の健康な細胞もろとも攻撃します。まさに、『肉を切らせて骨を断つ』治療。それによる最たる副作用が脱毛です。
女性として、胸に傷ができた上に、髪の毛もなくなるなんて!「自分の命のため。」、「治療が終われば髪の毛は生えてくる。」と、頭でわかってはいても、受け入れがたいものでした。

力強く背中を押してくれたドクターの言葉

私の病理検査の結果を説明してくれた、当時の主治医(若い女医さんでした)は、「この結果だと、抗がん剤やらなくてもいいっていう先生もいる。でも、私はやった方がいいと思う。私だったらやる。」と、断言。
乳がんのことを知り尽くしている専門家自身が、私と同じ病理結果だったなら、抗がん剤治療を行うというのだから、もはや断る理由はありませんでした。

実は入院中、別のドクターに、「リンパ節転移が術中にみつかった一個だけでも、抗がん剤治療は必要ですか?」と質問したところ、答えは、「要相談。」とのことでした。
もしかしたら、「リンパ節転移の個数が少なければ、抗がん剤治療をまぬがれるかも?」という期待もあったので、正直、「抗がん剤治療をするべき!」と、はっきり言われたことは、ショックでした。でも、逆に、はっきり言ってもらえて良かったとも思っています。

乳がん先輩からのアドバイス

私は、ドクターから、抗がん剤治療をするべきときっぱり言い渡されましたが、中には、治療の選択肢を数パターン提示されたり、「やりますか?やりませんか?」と患者さん自身に選択をゆだねられることもあるそうですね。
仮に、私が「どっちでもいいよ。」と言われていたとしたら。迷いながらも、抗がん剤治療を行うことを選択していたと思います。

その理由は、あまり想像したくもないことですが、万が一、再発や転移してしまった場合、「あのとき抗がん剤しておけばよかった!」と、思いたくなかったからです。
「やらなかった後悔」のダメージの大きさは、これまで生きてきて、大なり小なり、誰でも経験してきていると思います。

そして、そのダメージは自分だけではなく、きっと、家族も背負うことになるのです。「あのとき、無理やりでも抗がん剤治療を受けさせればよかった!そうすればもっと長く生きられたかもしれない!」と悔やむのではないでしょうか。家族が悔やんでいる姿をみて、私自身も二重に苦しむことになるでしょう。

また、抗がん剤治療を断ったことにより、「抗がん剤を受けなかったから、再発・転移するかも…」と、おびえて過ごすのも嫌でした。
やれるだけの予防治療をしっかりと最後までやり切って、「やれることは全部やったのだから大丈夫!これで再発・転移しても、それは運命だ!」と、強く前向きな気持ちで生きていけると思ったのです。『人事を尽くして天命を待つ』の心境です。

大切なのは、自分自身が、“何が起きても後悔しないと自信が持てる選択”をすること。
そして、進むべき道が決まったら、あとは前をみて、顔上げて、胸張って、口笛吹きながら、スキップで進んで行きましょう!
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