オノンとシングレアの有効成分

オノンとシングレアは商品名で、その有効成分は順に「プランルカスト」と「モンテルカスト」と言います。名前が似ていることからも想像できるように、どちらも同じ「ロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA)」と呼ばれるグループに属する薬です。

その働きは、名前の通り「ロイコトリエン (LTs)」という物質の働きを抑えることにあります (1)。では、このLTsとは、どのような機能を持っているのでしょうか。

一口に「LTs」と言っても、実は様々な種類があります。特にロイコトリエンC4、D4、E4 (順にLTC4、LTD4、LTE4) という物質は遅延反応物質 (SRS-A) と呼ばれ、気管支の筋肉を強力に収縮させる効果を持っています (2)。

以前の記事でも紹介しましたが、気管支喘息の患者さんは、空気の通り道である気道が狭くなっています。ここに、先ほどのSRS-Aが作用すると、さらに気道が狭くなり、症状が悪化します。したがって、SRS-Aの働きを抑えるLTRAは、気管支喘息の治療に有効です。

さらに、LTsは様々なアレルギーや炎症を起こす効果があることが知られています。特に重要なのが鼻の炎症、すなわち鼻炎です。LTsの働きを抑えれば、鼻炎を改善することができるため、LTRAはアレルギー性鼻炎に有効です。

つまり、LTRAであるオノンとシングレアは、気管支喘息とアレルギー性鼻炎に使用される薬ということになります (3, 4)。

服用する回数と薬の形の違い

オノンとシングレア、両者の大きな違いは、服用する回数とタイミングです。
オノンは1日2回朝夕食後に (3)、シングレアは1日1回寝る前に服用します (4)。

その他、販売されている剤形にも違いがあります。
大人に使用する剤形は、オノンはカプセル、シングレアは錠剤です。

子供に使用する剤形として、オノンにはドライシロップ (5)、シングレアには細粒という粉薬がそれぞれある他 (6)、シングレアには「チュアブル」というソフトキャンディのような薬もあります (7)。

実際の効果の違い

オノンとシングレアの効果については、ほとんど横並びで大きな違いはないと考えられています。例えば、アレルギー性鼻炎に対して両者を使用した場合の効果は、ほとんど変わらなかったという結果が得られています (8)。

シングレアは1日1回で済む分、服用の手間という面からは有利と言えるでしょうが、これ以外の点ではほとんど同じものと見なして問題ないでしょう。基本的には気に入った方を使っていればよいと思います。

気管支喘息治療における位置づけ

ここで、気管支喘息とアレルギー性鼻炎それぞれの治療における、これらの薬の位置づけについて述べておきます。

まず、気管支喘息についてですが、使うのは発作を起こさないようにする、予防目的です。しかし、この場合にもっとも重要な薬は、吸入ステロイドというグループで、オノンやシングレアはあくまでもこれの補助をする目的で使用するものです (9)。

まれに、オノンやシングレアの属するLTRAだけでコントロールできるケースもありますが、これはごく軽症例に限ると考えておく必要があります。

つまり、気管支喘息の治療における重要度は、吸入ステロイドの方がはるかに高いので、オノンやシングレアを飲んでいても、吸入の薬をしっかり継続する必要があるということです。

アレルギー性鼻炎治療における位置づけ

アレルギー性鼻炎で鼻の不調が生じることは、今更強調するまでもありませんが、その症状は大きく、鼻水と鼻づまりに分けられます。

LTRAと並んで、アレルギー性鼻炎の治療によく用いられる薬に、抗ヒスタミン剤というグループがあります。実は、LTRAと抗ヒスタミン剤は、それぞれ得意とする症状が異なります。具体的には、LTRAは鼻づまりに、抗ヒスタミン剤は鼻水に特に有効です (10)。

そのため、どちらの症状が強いかで使い分けられています。もちろん、状態によってはLTRAと抗ヒスタミン剤を併用することもあり、このことは薬学的に何ら問題ありません。

使用上の注意

オノン、シングレアともに、他の薬との特に注意すべき飲み合わせは知られていません。

同様に、副作用についても比較的目立たない薬と言えます。ただし、まれに血液中の白血球の数を減らすことがあると知られています (3, 4)。

白血球は、細菌やウイルスから体を守る免疫機能を担うものなので、この結果として感染症にかかりやすくなります。具体的な症状としては、発熱、のどの痛みなどが代表的です。

注意しておけば、早い段階で発見可能な副作用なので、もし服用中にこうしたことがあれば、薬剤師や医師に相談するようにして下さい。

まとめ

■オノンとシングレアは「ロイコトリエン受容体拮抗薬」というグループに属する薬である
■気管支喘息やアレルギー性鼻炎に使用する
■両者の効果はほとんど同じと考えられる
■気管支喘息治療では、吸入ステロイドの補助として使われることが多い
■アレルギー性鼻炎の症状のうち、特に鼻づまりに有効である
■副作用は少ない薬だが、発熱やのどの痛みに注意が必要である

参考文献

(1) 赤池昭紀 他 疾患別薬理学第4版 廣川書店
(2) 上代淑人 監訳 ハーパー・生化学原書25版 丸善株式会社
(3) オノンカプセル112.5mg 添付文書 小野薬品工業株式会社
(4) シングレア錠5mg/シングレア錠10mg/シングレアOD錠10mg 添付文書 MSD株式会社
(5) オノンドライシロップ10% 添付文書 小野薬品工業株式会社
(6) シングレア細粒4mg 添付文書 MSD株式会社
(7) シングレアチュアブル5mg 添付文書 MSD株式会社
(8) Okubo K, et al. A double-blind non-inferiority clinical study of montelukast, a cysteinyl leukotriene receptor 1 antagonist, compared with pranlukast in patients with seasonal allergic rhinitis. Allergol Int. 2008 Dec;57(4):383-90. PMID: 18946234
(9) National Heart, Lung, and Blood Institute Expert Panel Report 3: Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma
(10) 鼻アレルギー診療ガイドライン作成員会 鼻アレルギー診療ガイドライン‐通年性鼻炎と花粉症‐2013年版 ライフ・サイエンス