患者さん目線の院外処方メリット・デメリット

そして、次の問題点は、「医薬分業は患者さんにメリットがあるのか?」です。
メリットを考える前に、まずはデメリットから考えてみましょう。

・薬局へ行くのが面倒。
・余計にコストがかかっている。
・病院で話したことを再度話したことを話さなければいけないことがあり、二度手間感がある

などでしょうか。それぞれの項目についてお話していきましょう。

◆薬局へ行くのが面倒

これは、仕方がありません。法律上、同じ敷地に薬局を作ることができないためです。

しかし、それでは不便ということで、流れが変わってきています。病院の駐車場近くに薬局ができたり、院内に調剤薬局を入れるのもアリではないか?という議論もなされています。

これからより便利になっていく事が予想されます。しばし、お待ちを。

◆余計にコストがかかっている

たしかに、おっしゃる通りです。実際のところ、薬代自体は変わっていません。

では、何が余計にかかっているのかというと、主に「調剤料」です。「調剤料」とは簡単に言うと、手間賃です。薬局で薬剤師が調剤をするため、そのための人件費がかかります。そのためのコストです。

ここで誤解してほしくない事が、薬局では、ただ薬の数を数えて袋にいれているだけではない、という事です。薬を調剤するために、処方箋を見て、飲み方に間違いがないか確認したり、他の病院からでている薬をみて、飲みあわせが悪くないか確認したり、と患者さんが安全に安心して薬を飲めるよう大量の知識とケースを参照した上で作業をしています。

何気なく薬局でお金を支払っているかもしれませんが、医師が処方し、薬局で調剤をすることによって患者さんの安心・安全を守っているのです。

◆病院で話したことを再度話したことを話さなければいけないことがあり、二度手間感がある

これも、おっしゃる通りです。では、なぜ病院で話した事を再度聞かれるのでしょうか?

薬局は処方せんの情報しか持っていません。薬局で患者さんのカルテを見る事はできないため、病名もわからなければ、どんな治療方針なのか、はたまた、アレルギー歴や実は他の病院にかかっている事など、知ることができません。

患者さんからすれば、「話すのが2度手間で面倒。」と思われるかもしれませんが、情報は“直接“患者さん本人より得る必要があります。患者さんと対話することにより、情報を2重チェックし、処方間違えに気づいたり、うっかりアレルギーがでた薬の類薬をお渡ししてしまうようなことを防ぎます。薬剤師も同じ事を何度も聞いて申し訳ないと思っていますので、理解していただけるととても嬉しいです。

この問題を解消するには、高度な情報共有が必要になってきます。現在さまざまな方法で、患者情報を電子化して共有するシステムが進行中のようです。近い将来、情報共有を行う事で、よりスムーズに、より安全にお薬をもらえる時代が来るでしょう。
医薬分業でのデメリットと感じる部分もあるかと思いますが、様々な理由がありこのような形が現在とられています。今後もっと患者さんにとって便利なシステムになっていくと良いですね。