1.不足すると大変!亜鉛は重要な栄養素

 「亜鉛」は体の健康維持に欠かせない栄養素で、

16種類ある”必須ミネラル”のうちの1つ。

体内で合成することが出来ないため、食事から摂ることが必須なんです。

 

亜鉛は、生体内での200以上の酵素の構造や生成過程に関与することが分かっており、その働きは本当に多彩!!

 

亜鉛には新陳代謝やエネルギー代謝、免疫反応など、体内のさまざまな働きをサポートして正常に保つ役目を持っています。

 

でもひとつの根本的な働きは、細胞が出来上がるサイクル(細胞分裂)を早めること。

ターンオーバーを早めてあげることが出来るのです。

 

まず皮膚の細胞がそう。きれいなお肌を保つためにも必要不可欠ですね。

ターンオーバーを早めるということは、傷が早く治ることだって期待できます。

医薬品で「亜鉛華軟膏」という塗り薬があるのですが、亜鉛を皮膚に塗ることで、傷の治癒を早めるというもの。

亜鉛の働きをうまく利用してますね。

 

代表的な働きをまとめてみましょう。

 

  • 細胞分裂
  • 新陳代謝
  • 皮膚や髪の毛の健康を保つ
  • 味覚の維持
  • 性機能の維持
  • 免疫力を高める など

 

私たちの生命維持に欠かせない多くの働きを担っています。

体内に存在する亜鉛は、約60%は筋肉、約25%は骨に存在し、細胞分裂が盛んな生殖器や毛髪などにも多く存在しているのです。

 

 

2.亜鉛は摂れてる?どれぐらい必要?

 亜鉛は体内にたった2g程度しか存在していないのです。

微量で大事な働きをするので「必須微量元素」といも言われています。

必要度はとても高いのに、体内にとどめておくことが出来ないため、毎日食事から摂取しなければなりません。

しかしこれがなかなか難しいのです。

 

1日に必要な亜鉛の推奨量というものが決められていて、成人男性で10mg、成人女性では8mg が目標です。

(「日本人の食事摂取基準2015年版」より)

妊婦さんはこれに+2mg、授乳婦さんは+3mg となります。

 

しかし、現代の食生活では、加工食品の中に亜鉛の吸収を阻害するポリリン酸などの食品添加物も多く、不足している人が多くいるのが現状です。

 

ではどのような食品に、亜鉛が多く含まれているのか見てみましょう。

 

【亜鉛を多く含む食品】(可食部100g当たり)

牡蠣(魚介類)40.0mg

豚レバー   6.9mg

煮干     7.2mg

ゴマ     7.1mg

ココア    7.0mg

 

牡蠣が突出していますが、それ以外は肉類・種実系などがあげられます。

偏食気味の方も、そうでない方も摂りにくい栄養素でもあるのです。

 

 

3.女性注目!おすすめの亜鉛

①「肌」をキレイに

お肌のターンオーバーに亜鉛は必要不可欠です。

亜鉛が不足すると、タンパク質の一種であるコラーゲンも作れなくなってしまいます。

更におすすめは「ビタミンC」と一緒に摂ること。

ビタミンCはコラーゲンの生成を助ける働きをするだけでなく、亜鉛の吸収率もアップしてくれます。

亜鉛がお肌のターンオーバーに関わっているということは、紫外線によって生成されるメラニン色素の排出にも一役買っているということ。

シミやシワ対策にも亜鉛は欠かせないですね。

 

②「髪・爪」をキレイに!

髪も爪も、ケラチンというたんぱく質からできています。

タンパク質を合成するには亜鉛が必要なので、ここでも亜鉛は大活躍。亜鉛不足では、髪の毛や爪も弱ってしまいます。

髪の毛や爪も新陳代謝をするので、亜鉛を摂れば新しい細胞が次々に生み出されていきます。

ハリやツヤのある美しい髪やしっかりした爪を作りたいなら、意識して亜鉛をとりたいですね。

妊婦で髪の毛が弱ったり、薄毛になることを体験した方も多いはず。

これは亜鉛が不足するためとも言われているんですよ。

 

 

③増えている「味覚障害」

新聞・雑誌などにも「味覚障害」に「亜鉛」が良い。

というような記事が掲載されることがありますが、これも同じターンオーバーが関係しているのです。

ターンオーバーといっても皮膚のではありません。

 

味覚は、舌の上に白いつぶつぶがあるのですが、そこに存在する「味蕾(みらい)」という細胞で感知します。

亜鉛は、味蕾のターンオーバーを促し、味覚を正常に保つ作用をもつのです。

 

最近は高齢者だけでなく、20-30歳台の若年者にも、亜鉛不足による味覚障害が増えているようです。

 

 

④妊娠を望むカップルは男女ともおすすめ

亜鉛は精子を作るのにも必要ですし、精子の運動性も活発にします。

そして女性の卵子にとっても亜鉛は欠かせないものなのです。

受精した卵子はどんどん細胞分裂を繰り返していくのです。

亜鉛は細胞分裂に必要なミネラルですから、受精卵の成長に従い多量に消費されます。

妊娠すると味覚が変わる人がいますが、胎児の成長に使われるため、母体の亜鉛が不足するからとも言われています。

 

亜鉛の摂り過ぎには注意!

 

いくら良い働きがあるからと言っても、摂りすぎには注意が必要です。

「日本人の食事摂取基準2015年版」では、女性の上限量を1日35mgとしています。

海外製のものは含有量が多く、この上限量を超えている商品もあるため注意が必要です。

摂りすぎることで、吐き気や下痢などの消化器症状を起こすことがあります。

又、継続的に摂りすぎることで、他のミネラル(鉄や銅)が吸収されるのをブロックしてしまい、

鉄欠乏症・銅欠乏症などを起こす場合があります。

 

4.サプリメントを選ぶなら?

亜鉛のサプリメントは、比較的手頃な価格で購入できます。

必須ミネラルのひとつなので、定常状態を保つためにも、毎日摂取することで体内濃度をキープしたいですね。

亜鉛含有量がしっかりと明記されていて、安心できるメーカーのものを選ぶといいでしょう。

「日本人の食事摂取基準2015年版」では、女性の上限量を1日35mgとしていますので、摂取しすぎないようにしましょう。目安量の通りに摂っていれば大丈夫です。

また「吸収率が良い」と宣伝している商品は考え物。

亜鉛の吸収率は、人によってバラツキが大きいのです。

欠乏状態の人は吸収されやすく、体内で充足されている人は吸収率が悪くなるものです。

食べ物によっても影響を受けますし、吸収率にこだわりすぎる必要はないでしょう。

 

5.おわりに

今回は、亜鉛のはたらきについて解説するとともに、女性に亜鉛をおすすめする理由についてもお話しました。

男性のイメージが強い亜鉛ですが、女性にとっても様々なはたらきが期待できます。良いといっても、摂り過ぎには注意が必要です。サプリメントで補う場合でも目安量を必ず守るようにしましょう。

 

 

【参考資料】

◆「サプリメント事典」平凡社

◆「医療従事者のための機能性食品ガイド」講談社

◆「栄養の基本がわかる図解事典」成美堂出版

◆「「健康食品」の安全性・有効性情報」国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所