1.便秘とは?

便秘とは、排便の回数や量が減り、不快な症状を感じることです。一般的には、3日以上排便がない状態や毎日排便があったとしても残便感があるような状態をいいますが、排便の回数や量には、個人差があるため、明確な定義はありません。そのため、回数や量に関わらず、お腹が張るなどの不快な症状を感じている場合には、便秘と診断されることもあります。生活習慣の改善を行うことはもちろんですが、便秘症状がひどいときには、お薬を服用することも有効な手段です。

2.ビオフェルミンが便秘に効果がある理由

次にビオフェルミンが便秘に効果がある理由について解説していきます。

2-1.日頃からお腹の調子を整えるビオフェルミンの効果

医療用医薬品のビオフェルミン錠剤の成分は「ビフィズス菌」です。ビフィズス菌は「乳酸菌」と呼ばれるタイプの菌で、市販薬のビオフェルミンシリーズの成分も、乳酸菌が主です。

乳酸菌は、善玉菌の中でも代表的な菌です。ヨーグルトでもよく知られていますね。腸内で増殖し、乳酸と酢酸をつくることで、悪玉菌の侵入や増殖を防ぎ、お腹の不調を和らげることができます。また、乳酸や酢酸には、腸の運動を正常にし、下痢や便秘などを改善する整腸作用があります。

 

特に、腸内細菌のバランスが乱れている際に善玉菌である乳酸菌を補うことによって、腸内細菌の環境を整え、お腹の調子を整える効果を期待できます。

このように、ビオフェルミンは、整腸作用によって、便秘症状、特に日頃からお腹の調子を整えたいときに効果を期待することができます。

又、もともとヒトの腸内に住んでいる乳酸菌がお薬になっているので、安全性は高く、小さなお子さんからご高齢の方まで安心して服用することができます。

2-2. 整腸剤は、即効性がある便秘薬とは違う

整腸剤は、便秘症状に効果が期待できますが、下剤といわれるような便秘薬とは違います。

 

整腸剤は、説明のとおり、腸内細菌のバランスを整えることによって、便秘や下痢を改善させる効果が期待できます。効果は即効性があるというわけではなく、腸内環境を少しずつ改善させることによって効果を表します。そのため、効果は穏やかですが、体への負担はなく、副作用はありません。症状があるときだけではなく、日頃から腸内環境を整えるために飲んでいても問題ありません。

 

一方、便秘薬は、大腸の運動を活発にするタイプ(大腸刺激性下剤)や、便に含まれる水分の量を増やすタイプ(塩類下剤)など、直接的に作用を示すことで、排便作用を促します。基本的には、便秘症状が見られるときに服用します。高い効果や即効性を期待できますが、原因を根本から治すわけではなく一時的で、下痢や腹痛などの副作用症状がみられることもあります。最近では、定期的に服用し、自然排便を促すような新しい便秘薬も登場しています。整腸剤と比較すると、体への負担は大きくなります。

 

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整腸剤には沢山の種類がある

 

整腸剤に用いられる菌には、ビオフェルミン錠剤の成分であるビフィズス菌以外にも多数あり、整腸剤にも沢山の種類の菌の成分があります。

例えば、ラクトミン、フェカリス菌、ガセリ菌、アシドフェルス菌、糖化菌、酪酸菌、納豆菌など様々な菌があります。菌によって特徴があり、お薬によっては、菌の特徴を考慮して、複数の菌が組み合わされて含まれているものもあります。

また、医療用医薬品として用いられる整腸剤では、次のような成分となっています。

 ビオフェルミン錠剤・・・ビフィズス菌
 ビオフェルミン散・・・ラクトミン、糖化菌
 ビオスリー散・・・ラクトミン、酪酸菌、糖化菌
 ビオフェルミンR散・錠・・・フェカリス菌
 ミヤBM細粒・錠・・・酪酸菌   など

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3.市販薬ビオフェルミンシリーズ、症状タイプ別選び方

市販でも気軽に購入ができるビオフェルミンですが、ビオフェルミンシリーズでも何種類か販売されています。どれを買えば良いの?と疑問に思われている方のために、症状別におすすめの市販のビオフェルミンをご紹介します。

3-1. 日頃からお腹の調子を整えたいタイプ

新ビオフェルミンS錠・細粒【指定医薬部外品】

  • ポイント

便秘がちで日頃からお腹の調子を整えたい方や、食事などの生活習慣が乱れている方などにおすすめです。細粒は、生後三ヶ月のお子さんから服用でき(錠剤は5歳以上)、ご高齢の方まで安心して幅広く服用することができます。甘みがわずかにあり、飲みやすくつくられています。

 

  • 含まれている成分

3種類の乳酸菌が含まれています。
・コンク・ビフィズス菌末(乳酸菌)
・コンク・フェーカリス菌末(乳酸菌)
・コンク・アシドフィルス菌末(乳酸菌)

3種の菌がそれぞれの役割を発揮し、小腸から大腸まで腸全体に広く効きます。乳酸菌のみの成分で構成されています。


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3-2. 便秘症状で悩んでいるタイプ

ビオフェルミン便秘薬【第2類医薬品】

  • ポイント

現に便秘症状で悩んでいて、お薬を飲もうかどうか迷われている場合には、こちらのお薬がおすすめです。11歳以上のお子さんでも服用できるお薬で、整腸剤に加えて、医療用医薬品に含まれている便秘薬の成分も含んでいます。

 

  • 含まれている成分

・ビコスルファートナトリウム水和物

・ビフィズス菌(乳酸菌)

・ラクトミン(乳酸菌)

2種の菌を含んでいており整腸作用を期待できることに加え、医療用の便秘薬の成分にも含まれているビコスルファートナトリウム水和物(医療用:ラキソベロンなどの成分)は、大腸を刺激し、腸の運動を高めることで排便を促すことができます。


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3-3. 便秘気味で、特にお腹が張っているタイプ

ビオフェルミンVC【第3類医薬品】

  • ポイント

栄養が偏った食事によって、腸内環境が乱れガスが発生し、お腹が張っているような場合には、こちらのお薬がおすすめです。15歳以上の方で服用することができ、乳酸菌とビタミン成分を含んでいます。新ビオフェルミンS錠・細粒の「お腹の張り」に対しての効果を高めたお薬です。

 

  • 含まれている成分

・ビフィズス菌(乳酸菌)

・ラクトミン(乳酸菌)

・ビタミンC(アスコルビン酸)

・ビタミンB2(リボフラビン)

・ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)

 

2種の乳酸菌を含んでいて整腸作用を期待できることに加え、乳酸菌の生育に関与しているとされる3種の成分を含んでおり、腸内環境を整え、悪玉菌が産生する腸内ガスをおさえることにより、お腹が張るような便秘症状を和らげる作用があります。


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3-4. 下痢症状がみられ、お腹が痛いタイプ

ビオフェルミン下痢止め【第2類医薬品】

  • ポイント

整腸剤は腸内環境を整えるため、便秘だけでなく下痢症状にも用いられます。ビフィズス菌(乳酸菌)に加え、下痢症状を和らげる生薬の成分が複数配合しており、下痢症状でお腹が痛むような方におすすめです。11歳以上の方で服用できます。

 

  • 含まれている成分

・ビフィズス菌(乳酸菌)

・タンニン酸ベルベリン

・ゲンノショウコ乾燥エキス(生薬)

・ロートエキス(生薬)

・シャクヤクエキス(生薬)

腸内の異常発酵をおさえる作用があるタンニン酸ベルベリンを含んでいることや、シャクヤクとロートエキスによって、腹痛を和らげる効果も期待できます。乳酸菌により腸の調子を整えるだけでなく、複数の生薬の成分の効果により、腹痛を伴う下痢をはじめ、食あたりや軟便、お腹がくだっているときなど様々なタイプの下痢症状に効果が期待できます。

3-5. 食べ過ぎ・飲み過ぎで胃腸が弱っているタイプ

ビオフェルミン健胃消化薬錠【第3類医薬品】

  • ポイント

こちらは、乳酸菌を含んでいますが、整腸剤というよりも、主に食べ過ぎや飲み過ぎなどで胃腸が弱っている方におすすめの、消化を助ける健胃作用があるお薬です。15歳以上の方で服用できます。

 

  • 含まれている成分

・ラクトミン(乳酸菌)

・リパーゼAP6(消化酵素)

・ニュラーゼ(消化酵素)

・ビオヂアスターゼ2000(消化酵素)

・ガジュツエキス(生薬)

・ゲンチアナ乾燥エキス(生薬)

・ケイヒ末(生薬)

・ショウキョウ末(生薬)

・アカメガシワエキス(生薬)

 

乳酸菌に加え、唾液や胃液などの分泌を促し、胃のはたらきを高める作用がある生薬や消化酵素を複数含んでいます。これにより、胃腸が弱っている方の消化を手助けします。

4.お薬だけに頼らず、原因究明と生活習慣の改善が大切

便秘症状がある場合、原因としては次のようなことが考えられます。

 

・食生活が乱れている

・消化器官の運動が低下している

・精神的なストレスがある

・直腸に便が停滞し詰まっている

・お薬の副作用

・他の病気が原因となっている  など

 

様々な原因が考えられ、その症状や原因に合った対処が必要です。

便秘を改善するお薬も治療の上で大切ですが、原因を根本から治すものではありません。

便秘が続くために便秘薬に頼ってしまうと、本来体に備わっている排便の力が弱まってしまい、さらにお薬を必要としてしまうという悪循環になる可能性もあります。

そのため、お薬だけに頼るのではなく、毎日の食事や運動など生活習慣の改善を合わせて行っていくことが重要です。

 

こまめに水を摂る、食事の量をしっかり摂る、朝食を抜かない、食物繊維を多く含む食品を摂る、運動不足の改善など、まずは出来ることからはじめることが大切です。

また、お薬の副作用であったり、他の病気が原因となって便秘症状を起こしている可能性もあります。そのため、便秘症状が続いている場合には、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることや、お薬の再検討が必要です。又、市販薬を服用していても、症状が改善されない場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

5.おわりに

今回は、ビオフェルミン(整腸剤)が便秘に効果がある理由を解説するとともに、ビオフェルミンシリーズの中でも症状タイプ別で市販薬の選び方を解説しました。

 

整腸剤は、即効性は期待できませんが、腸内環境を整えますので、日頃からお腹の調子を整えたい方にとっては、副作用もなく、効果を期待することもできます。便秘症状がひどい、又は続いている場合には、適切な治療やより即効性が高い便秘薬が必要となることもありますので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。軽度な症状であれば、まずは生活習慣を見直してみましょう。