1.ホクナリンテープ(成分:ツロブテロール)とは?

ホクナリンテープは、持続性に優れた気管支拡張作用を示し、1日1回貼付して使用するお薬です。

1-1. ホクナリンテープの成分と作用

ホクナリンテープの成分は、「ツロブテロール」です。

こちらの成分は、せまくなっている気管支を拡げて空気の取りこみを良くすることで、息苦しさを改善する効果があります。「交感神経アドレナリンβ受容体刺激薬※」というタイプに分類され、気管支に選択的に作用するお薬です。

 

ちなみに、ホクナリンテープという名前は、北陸製薬(株)(現 マイランEPD合同会社)で開発され、アドレナリンβ受容体刺激薬に由来しているようです。

 

皮膚に貼るだけ、しかも1日1回貼るだけで本当に効果があるの?」と不思議に思われる方もいるかと思います。

ホクナリンテープは、皮膚に貼ると、皮膚からゆっくりとお薬の成分が吸収され、皮膚の下にある血管に入ります。血液の流れに乗って気管支に届くことで、選択的に効果を発揮します。

お薬に工夫が施してあり、「結晶レジボアシステム」とよばれるメカニズムによって、テープから少しずつお薬の成分が放出され、24時間ゆっくりと効果が持続するようになっています。

 

ジェネリック医薬品(後発医薬品)も様々なメーカーから販売されており、その場合の名称は、ツロブテロールテープ●●mg「▲▲」です。

●は規格、▲▲はメーカー名。

 (例:ツロブテロールテープ2mg「サワイ」 )

 

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※補足 交感神経アドレナリンβ受容体刺激薬とは

気管支には、空気のとおりをよくするために働いている自律神経である交感神経、β受容体があります。β受容体をお薬で選択的に刺激することにより、気管支を拡げて空気を通りやすくし、咳を抑える働きをします。

長時間作用が持続するタイプと、発作に用いるような短時間で素早く効果を表す2つのタイプのお薬に分かれます。

ホクナリンテープの他にも、内服薬、吸入薬、又、吸入ステロイド薬と合剤になっているものなどがあります。

1-2. ホクナリンテープはどんな方に使用される?

ホクナリンテープは、気道閉塞が原因となっている「気管支喘息」「急性気管支炎」「慢性気管支炎」「肺気腫」の治療に用いられます。

最近では、慢性気管支炎、肺気腫を総称して、「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼ばれます。

 

但し、喘息の急性発作が出ている時にホクナリンテープを貼っても、すぐに効果がでるというものではありません。おおむね貼ってから4〜6時間(個人差あり)で効果が出てくる、持続的に症状を和らげるタイプのお薬です。通常、急性発作に対しては別の適切なお薬を使用します。

また、気管支喘息治療においては、抗炎症作用をもつ吸入ステロイドが基本なので、それでも症状が改善されない場合や併用したほうが良い場合に医師の判断で合わせて用いられます。

 

また、皮膚に貼ることで効果が期待できますので、飲み薬がのめない方や、吸入が難しい方の場合も使用できることがメリットです。

 

生後6ヶ月の小さなお子さんから効果と安全性が確認されており、使用することができます。

1-3. ホクナリンテープの使い方

ホクナリンテープは、1日1回、胸部、背部又は上腕部のいずれか1カ所に貼って使用します。どの場所に貼っても、効果に大きな差はありません。テープを嫌がり剥がしてしまうようなお子さんの場合は、手の届かない背中などに貼ることをおすすめします。

また、皮膚に負担がかかるため、毎回同じ場所に貼るのではなく、少しずつ場所を変えるようにしましょう。湿疹や傷口のあるところは、症状が悪化する可能性があるため、避けるようにします。

 

貼るタイミングとしては、4〜6時間(個人差あり)で効果が出てくるため、発作が起きやすい夜間や明け方に備えて、夜に貼り変えることが多いです。

 

また、汗をかいている場合に貼ると、そのまま貼るとはがれやすくなったり、かぶれの原因になることもあります。貼る場所は、汗や水分などをよく拭いて清潔にしてから貼るようにしましょう。

 

1枚中に含まれる成分の量が、「0.5mg」、「1mg」、「2mg」の3種類があります。

・0.5歳-3歳:0.5mg   体重目安15㎏未満
・3歳-9歳未満:1mg   体重目安15〜30㎏未満
・9歳以上:2mg    体重目安30㎏以上

・成人:2mg

このように年齢や体重によって、使用する大きさが異なります。

用法・用量を超えて使用を続けた場合、不整脈や場合によっては心停止を起こすこともあります。必ず医師の指示に従って使用するようにしましょう。

 

 

2.ホクナリンテープでおこりうる副作用

比較的副作用の心配は少ないお薬ですが、稀に次のような副作用症状がでる可能性があります。詳しくは、添付文書を確認していただくか、医師や薬剤師に確認するようにしましょう。

 

主な副作用としては、「手のふるえ(振戦)」、「動悸(心悸亢進)」があります。これは、β受容体刺激薬、特有の症状です。

また、貼った部分の「かゆみや発赤・発疹など」が起きることもあります。

いつもと違うような気になる症状が出た場合は、医師や薬剤師に早めに相談するようにしましょう。


また、ごく稀に下記のような副作用症状がでることもあります。このような副作用症状が出た場合は、使用を止め、すぐに医療機関を受診しましょう。

 

・アナフィラキシー症状
お薬に対するアレルギー症状で、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹などの症状が起こる可能性があります。

・重篤な血清カリウム値の低下
β刺激薬で報告されている副作用です。手足のしびれ、筋力減退、手足の麻痺、呼吸困難などの症状が起こる可能性があります。

 

3.ホクナリンテープの効果・使い方に関する相談

続いて、ホクナリンテープについて、実際に受けたことがある使い方に関する相談にお答えする形で、説明していきます。

 

3-1. お風呂のときはどうすれば良い?

お風呂やプールなど水に浸かるときも基本的にはテープを剥がす必要はありません。どうしても剥がれてしまうような可能性がある場合は、刺激の少ない絆創膏等で固定するようにします。剥がすのを忘れないように、入浴前に剥がして、入浴後に貼り替えるのもひとつの工夫です。

 

3-2. 副作用を感じたら、半分に切って使用するのは良いですか?

たしかにテープ内にお薬の成分は均一に含まれているので、半分に切れば、半分のお薬が含まれているものと考えられます。しかし、副作用が出たからといって、自己判断で半分に切って使用することはおすすめできません。

理由としては、副作用を感じている場合には、自己判断で量を調節せずに医師に相談し、そもそも使用を続けて良いかの指示を仰ぐ必要があります。また、お薬が効果を発揮するには、患者さんにあった適切な規格(量)のお薬を使用しなければなりません。半分に切って使用しても、保証される効果が期待できない場合があります。

 

一方、効果がないので、1度に2枚を貼ることもしないようにしましょう。用法・用量を超えて使用を続けた場合、血中のお薬の濃度が高まり、不整脈等の重篤な副作用を起こすおそれがあります。必ず、指示された用法・用量を守りましょう。

 

3-3. 途中で剥がれてしまったらどうすれば良い?

テープを貼って12時間経っている場合には、基本的には再度貼り直す必要はないと考えます。貼った後12時間後では、お薬の成分の約74%が皮膚へ移行しており、有効性に大きな影響はないと考えられるためです。但し、症状によっては、主治医の判断で再貼付の指示が出ることもありますので、病院がやっている時間帯であれば相談するようにしましょう。

 

3-4. いつまで貼ってて効果あるの?

ホクナリンテープは、24時間貼ると、含まれている成分の90%近くが皮膚に移行します。そのため、それ以上時間をかけて貼っていてもお薬としては、効果は期待できず意味がないといえます。そのため、1日1回、貼り替えるようにしましょう。

 

3-5. 赤ちゃん、小さなお子さんに使用しても大丈夫?

生後6ヶ月の小さなお子さんから効果と安全性が確認されており、医師の指示のもと使用することができます。そのため赤ちゃんや小さなお子さんに使用することもありますのでご安心下さい。

但し、年齢や体重によって、ホクナリンテープの規格が違います。テープで気軽に貼れるからといって、同じ症状だとしても自己判断で、親や兄弟間で家に残っている薬を使用するなどはせずに必ず医師に相談するようにしましょう。

 

3-6. 使用期限はどれぐらい?

ホクナリンテープの袋に期限が印字されています。但し、高温や直射日光を避け、袋を開封しないでの期限となりますので、注意しましょう。

症状によって、それに合わせた治療を受ける必要があります。自己判断で残っているお薬を使用せずに、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

 

 

4.市販でホクナリンテープは購入できる?

残念ながら、現状、ドラッグストア等、市販ではホクナリンテープと同様のお薬は販売されていません。そのため、ホクナリンテープは、医療機関を受診し、医師の診察の上、必要と判断された場合に処方せんで指示があり使用するお薬です。

 

市販薬では限られたものしかありません。また、喘息治療においては、抗炎症作用をもつ吸入ステロイドによる治療が基本ですが、市販では吸入ステロイドは販売されていません。喘息発作は命に関わることもあるので、症状が続く場合や、お薬を服用しても発作が治まらない場合には早めに医療機関を受診し、診察してもらうことが大切です。

 

5.おわりに

今回は、喘息の治療に用いられる、ホクナリンテープの正しい効果・使い方を解説するとともに、実際に相談をうけたことがある使い方に関する内容にお答えするかたちで、説明しました。

ホクナリンテープは、貼るタイプのお薬で持続的に作用し、使いやすいことから幅広く使用されるお薬です。稀にβ受容体刺激薬、特有の症状である手のふるえ(振戦)や動悸(心悸亢進)等の副作用が起こることがあるため、気になる症状が出た場合には、早めに主治医に相談するようにしましょう。

 

 

参考)

ホクナリンテープ インタビューフォーム

ホクナリンテープ マイランEPD合同会社

http://hokunalin.jp/patient/