1.酸化マグネシウムが便秘に効く理由

1-1 酸化マグネシウムの作用

便秘に用いられるお薬には、主に、便自体に作用して排泄を促す「機械性下剤」と直接、腸を刺激することで排泄を促す「刺激性下剤」の2つのタイプがあります。

詳しい便秘薬の種類別の説明に関しては、こちらの記事をご参考下さい。
【薬剤師が解説】便秘に用いられるお薬の種類と市販で購入できる便秘薬【医師監修】

酸化マグネシウムは、その中で、前者の昔から広く使用されている「機械性下剤」のタイプで、「塩類下剤(えんるいげざい)」とよばれるお薬に分類されます。

続いて、塩類下剤の作用について説明します。

マグネシウムなどの塩類は、腸からほとんど吸収されません。そのため、塩類を摂取すると、腸内の浸透圧が高まり、腸内の水分量が増えます。そうすることで、便に含まれる水分の量が増え、便が柔らかくなり、排泄を促す作用をもたらします。

基本的には習慣性がなく、副作用の心配も少ないため、昔から広く使用されています。

※医療現場では、酸化マグネシウムを略して「サンカマ」「カマ」などと言うこともあります。

酸化マグネシウムは、便秘の症状の他にも、そのアルカリ性の性質を利用して制酸(胃酸をおさえる)作用として胃のお薬として用いられたり、尿路結石(シュウ酸カルシウム結石)の予防のお薬としても用いられるお薬です。

一般的な酸化マグネシウムの効能・効果

◆下記疾患における制酸作用と症状の改善
胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)
◆便秘症
◆尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防

※参考 添付文書

1-2 処方薬、酸化マグネシウムについて

化マグネシウムのお薬は、病院で医師の診察を受けて、処方せんを必要とする「処方薬(医療用医薬品)」と、市販で購入することができる「市販薬(一般医薬品)」があります。

医療用医薬品には次のような商品名があります。

・酸化マグネシウム錠●●g「▲▲」
※●●は規格(250mg、330mg、500mgなど)、▲▲はメーカー名(マグミット200/250/330/500mg)など

このように同じお薬でも、様々なメーカーから販売されています。また、「錠剤タイプ」だけではなく、量の微調整が可能な「粉タイプ」のものもあります。

1-3 市販でも酸化マグネシウムは買える?

市販でも、同様の酸化マグネシウムを成分とするお薬を買うことができます。商品例としては次のようなものがあります。

酸化マグネシウムE便秘薬【第3類医薬品】 / 健栄製薬

スラーリア便秘薬【第3類医薬品】 / ロート製薬 など

市販薬においては、年齢によって、服用する量の幅が決められています。小さいお子さん(5歳以上など)でも服用することができます。初回は少量からはじめ、便通の具合をみて、自身で量を調整していきます。


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2.酸化マグネシウムの安全性

2-1 小さなお子さんに使っても大丈夫?

指示どおりの用法・用量を守って通常の服用をする分には、ほとんど副作用症状はないお薬です。服用する量の調整が必要ですが、小さなお子さんからご高齢の方にも使用されたり、妊娠されている方にも使用されるお薬です。

小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインでも、小児への便秘症状に対して、酸化マグネシウムの使用が明記されています。

基本的には、安全性が高いお薬ですので、安心していただいて構いません。

ただ、お薬ですので作用が期待できる反面、注意しなければならないこともあります。量が多いと「下痢症状」を起こすことや、飲み合わせに注意すべきことがあること、後ほど詳しく説明しますが、「高マグネシウム血症」という症状を引き起こす可能性もあります。

2-2 酸化マグネシウムの副作用症状

主な副作用症状としては、「腹痛」、「下痢」、「血中のマグネシウム濃度の上昇」などがあります。

中でも、注意が必要なのは、起こることは稀ですが、血中のマグネシウム濃度の上昇によって起こる「高マグネシウム血症」です。特に腎障害をお持ちの方やご高齢の方、骨粗しょう症のお薬(活性型ビタミンD3製剤)を服用されている方は注意が必要です。

高マグネシウム血症の症状としては、吐き気や嘔吐、口が渇く、血圧が低下するなどの症状から、ひどくなると息苦しくなったり、意識障害を起こすこともあります。

いつもと違う、気になる症状がみられた場合には、放置せずにすぐに担当の医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

2-3 酸化マグネシウム服用の注意点

① 次に該当するような方は、必ず医師にご相談下さい

腎障害のある方

心機能障害のある方

下痢症状のある方

高マグネシウム血症の方

高齢者

酸化マグネシウム服用中、飲み合わせに注意が必要なものがあります

大量の牛乳、カルシウム製剤(サプリメントなど)
 →高カルシウム血症などを引き起こす可能性がある

活性型ビタミンD3製剤(骨粗しょう症のお薬)
 →高マグネシウム血症を引き起こす可能性がある

抗生物質の一部(テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗生物質、セフェム系抗生物質など)
 →これらのお薬の吸収を阻害し、作用を弱めてしまう

ジギタリス製剤(狭心症のお薬)
 →これらのお薬の吸収や排泄に影響を与える可能性がある

ポリカルボフィル(便通を整えるお薬:コロネル、ポリフルなど)
 
→これらのお薬の作用を弱める可能性がある

ミソプロストール(胃のお薬:サイトテックなど)
 
→下痢症状が起こりやすくなる

何か他に服用しているお薬や健康食品、サプリメント等がある場合には、薬局の薬剤師に相談してみるようにしましょう。

③ マグネシウムを含むサプリメントには注意しましょう

便秘症状を改善することを目的とした場合には、サプリメントではなく、効能効果に便秘症が記載されている処方薬(医療用医薬品)か、市販で購入することができる市販薬(一般医薬品)を利用するようにしましょう。

サプリメントは、便秘症を直接改善させるものとしては販売されていないものもあり(マグネシウムがメインとなっていないものがほとんど)、逆に安易にマグネシウムを大量に摂取してしまうと、先ほど説明した「高マグネシウム血症」を引き起こす可能性もあるので、注意が必要です。

3.お薬だけに頼らない便秘解消法

便秘症状が続くためにお薬だけに頼ってしまうと、根本の原因から解決できず、本来備わっている排便の力がさらに弱ってしまうという可能性もあります。そのため、お薬を服用しながらも、考えられる原因を究明し、毎日の食事や運動など生活習慣の見直しを行うことが大切です。

<便秘解消法>

こまめに水をとる

食事の量をしっかり摂る(過度なダイエット×)

朝食を抜かない

食物繊維を多く含む食品を摂る

運動を適度に行う など

とりわけ運動不足の方は、体を動かすことが効果的です。体を動かすことで腸の動きを活発にさせることにつながります。

4.こんなときはすぐに病院へ

便秘症状を定期的に繰り返す場合や、お薬を2-3日服用してみても、効果が見られず、便秘症状が改善しないような場合には、早めに医療機関を受診し、相談するようにしましょう。

便秘症状といっても、様々な原因が考えられ、その症状に合った適切な処置が必要です。何か他の病気が原因で症状を起こしていたり、別のお薬の副作用で症状が出ている可能性もあります。原因の特定には、しっかりとした検査を受け、専門家の判断が必要です。早めに検査を受けることで、思わぬ大きな病気(大腸ガンなど)を発見する可能性だってあるのです。

単なる便秘症状と割り切らず、続くような場合には、早めに相談するようにしましょう。

5.おわりに

今回は、酸化マグネシウムが便秘に効果がある理由・作用のしかたを解説するとともに、その安全性や注意点なども合わせて解説しました。

小さなお子さんからご高齢の方まで幅広く使用される便秘のお薬で、副作用の心配はほとんどありませんが、下痢症状を引き起こすこともあるため、量の調整が必要となることや、指示どおりの量・飲み方を守って服用することが大切です。高齢者や腎臓の機能の障害がある人では高マグネシウム血症を起こすことがあります。

また、お薬を服用しながらも、毎日の食事や運動など生活習慣の見直しを合わせて行うことも大切です。

何か他の病気が原因で便秘症状が出ている可能性もあるため、症状を繰り返す、ひどい場合には、早めに医療機関に相談するようにしましょう。

 


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