目次
花粉症新薬、ルパフィンとは?
ルパフィンの成分と作用
ルパフィンの成分は、「ルパタジン」です。
花粉症の従来の薬に特徴的な「抗ヒスタミン作用」に加えて、「抗PAF(血小板活性化因子)作用」を併せもつ、新しいタイプの薬です。
アレルギー症状を引き起こす原因となる体内物質、ヒスタミンの作用を抑えることによって、アレルギー症状を和らげる作用があります。具体的には、ヒスタミンによるH1受容体への結合を抑えることにより作用を示します(選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用)。
PAF(血小板活性化因子)とは、炎症や気管支収縮等に関与しているケミカルメディエーターであり、くしゃみや鼻水などアレルギー症状を引き起こすとされています。ルパフィンは、そのPAF(血小板活性化因子)の作用を抑えることによっても、アレルギー症状を和らげる作用を示します。
効能・効果は次のとおりです。
・アレルギー性鼻炎
・蕁麻疹
・皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
薬価は、1錠69.4円です。
ルパフィンの服用方法
通常は、12歳以上の小児・成人に対して、1回10mg(1錠)を1日1回服用します。症状に応じて、1回20mg(2錠)まで増量が可能です。
食事による影響を受けないという臨床データより、食事に関係なく1日1回服用することで効果を得ることができます。
新薬に該当するため、約1年間は安全性の視点から14日間の処方日数の制限があります。
ルパフィンとビラノア、デザレックスとの違い
どちらも1年を経過し、新薬の14日の処方日数制限が解禁されたことにより、少しずつ処方されるケースも増えてきました。ビラノア、デザレックス、それぞれの特徴を簡単に説明します。
ビラノアについて
【ビラノア錠20mg】
成分:ビラスチン
第2世代抗ヒスタミン薬
用法用量:成人には1回20mg(1錠)を1日1回空腹時に服用する
薬価:1錠79.7円
<主な特徴>
・投与後1時間で血中の成分の濃度がピークになるため、効果発現がはやい
・眠気を引き起こす頻度が少ない。国内臨床試験では、675例中4例(0.6%)
・食事の影響を受けるため、空腹時に服用する
・効果は、セチリジンやフェキソフェナジンとほぼ同等
デザレックスについて
【デザレックス錠5mg】
成分:デスロラタジン
第2世代抗ヒスタミン薬
用法用量:12歳以上の小児、成人には1回5mg(1錠)を1日1回服用する。(食事の影響はほとんど受けない)
薬価:1錠69.4円
<主な特徴>
・従来からあるクラリチン(成分:ロラタジン)の後継となる薬。ロラタジンは肝臓で代謝され、デスロラタジンとなって作用。そのデスロラタジンがデザレックスの有効成分。
・薬物代謝酵素の影響を受けず、クラリチンよりも早く効き高い効果を期待できる。
・眠気の副作用が少ない。国内臨床試験では、505例中5例(1.0%)で傾眠症状。
・薬の効果が長い(5mg半減期が19.5時間)
それぞれの違いについて
花粉症の治療に用いられる抗ヒスタミン薬の理想としては、
・速効性があり、効果が持続する。
・副作用(眠気、作業効率の低下など)が少ない。
・長期投与ができる(安全性)、投与回数が1日1~2回でアドヒアランスが良いこと。
が挙げられ、さらに有効性(効果)と安全性(副作用)のバランスに優れた薬が望まれます。
そういった意味で、新しく販売されたビラノア、デザレックス、そしてルパフィンは、その理想により近づくために開発された薬だと考えます。但し、まだ販売されてから日が経っていないため、今後、他の薬との比較など臨床的な効果の報告が蓄積されてくるでしょう。
実際の効果や副作用の頻度は個人差もみられるため、単純に効果の強さや副作用の頻度を比較することは難しいのですが、それぞれの薬に特徴があることをご理解いただければ幸いです。
ルパフィンで注意すべき副作用
詳しくは、公的な文書(添付文書等)を確認していただくか、医師や薬剤師に確認するようにしましょう。
主な副作用としては、眠気、喉の渇き、倦怠感などがあります。特に眠気を催すことがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意しましょう。
併用に注意が必要なものとしては、エリスロマイシン、ケトコナゾールなどのCYP3A4とよばれる代謝酵素を阻害する薬(効果が強くでる可能性)、グレープフルーツジュース(効果が強くでる可能性)、アルコール(中枢神経抑制作用が強まる可能性)があります。
服用を開始し、いつもと違う気になる症状が出た場合には、早めに主治医に相談するようにしましょう。
市販で花粉症薬は購入できる?
一方で現在、花粉症薬は市販でも購入可能で、もともと病院で処方される薬が市販化しているもの(スイッチOTC)があります。
市販で購入できる抗ヒスタミン薬に分類される花粉症に、効果が期待できる薬の代表的な成分としては、
・エピナスチン
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アレジオン20 24錠
最安値 1,628円
・エバスチン
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エバステルAL 6錠
最安値 1,068円
・セチリジン
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コンタック鼻炎Z 14錠
最安値 1,835円
・フェキソフェナジン
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アレグラFX 28錠
最安値 978円
・ロラタジン
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クラリチンEX 14錠
最安値 1,045円
があります。
症状が続く場合には自己判断で市販薬の使用を続けるのではなく、次のような場合を参考として早めに病院へ行くようにしましょう。
・1週間程度市販薬を飲んでみたが症状が変わっていない、悪化している。
・症状が治まらず、長期にわたって市販薬を服用している。
・アレルギー性の鼻炎なのか、風邪なのか、他の病気が原因なのかが判断つかない。
・発熱、倦怠感、吐き気など全身症状がみられる。
・副作用症状がみられる。
・妊婦又は妊娠している可能性がある。
おわりに
今回は、2017年に発売されたルパフィンの作用について解説するとともに、同じように2016年に発売されている新しい花粉症薬、ビラノア、デザレックスの特徴についてご紹介しました。
ルパフィンは、「抗ヒスタミン作用」と「抗PAF(血小板活性化因子)作用」の2つの作用によって、花粉症などのアレルギー性鼻炎や蕁麻疹などのアレルギー症状をより強力に和らげる作用が期待できる薬です
一方、副作用として眠気を催すことがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意が必要です。
近年、様々な薬が開発され、より有効性と安全性のバランスに優れた薬という理想に近づきつつあります。但し、新薬だからと一概に良いというわけではなく、主治医とよく相談し、ご自身に合う薬を選ぶことが大切です。
参考文献
・ルパフィン錠10mg|インタビューフォーム
・ビラノア錠20mg|インタビューフォーム
・デザレックス錠5mg|インタビューフォーム
※掲載内容は執筆時点での情報です。