1.風邪薬を飲んで眠気が出るメカニズム
市販の風邪薬を飲んで眠くなる原因の多くは、くしゃみや鼻水を抑える「抗ヒスタミン薬」が配合されていることです。
抗ヒスタミン薬は、くしゃみや鼻水を引き起こす原因となるヒスタミンと呼ばれる化学物質の働きを抑え、くしゃみや鼻水の症状を改善します。しかし、ヒスタミンには脳を覚醒させる働きもあるため、抗ヒスタミン薬が脳内へ移行すると、こちらの働きも抑えられて、眠気を起こしたり、集中力や判断力が低下したりします。
抗ヒスタミン薬には、古くから使用されている第一世代と比較的新しい第二世代とがあり、第一世代の抗ヒスタミン薬は、脳に移行しやすく、眠気の副作用を起こしやすいタイプです。一方、第二世代の抗ヒスタミン薬は、脳に移行しにくく、眠気の副作用が少なくなっています。
しかし、現在、市販されている風邪薬に配合されている抗ヒスタミン薬は、クロルフェニラミンマレイン酸塩やクレマスチンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩など第一世代の抗ヒスタミン薬がほとんどで、眠気の副作用を起こしやすいのです。
そのほか、咳を和らげる作用の成分でもジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩水和物など麻薬性の咳止め成分で眠気を起こす場合もあります。
2.眠くならないための対策
風邪薬を飲んで眠くなってしまった場合の眠気を覚ます方法をご紹介します。
但し、薬の作用による眠気であるため、眠気が強く出るタイプの人にとっては、どんな対策も効果がないかもしれません。
対処法を試して一時的に眠気が解消されたとしても、集中力や判断力が低下している可能性はありますので、自動車の運転や危険な機械の操作、高所での作業などを行う場合は、いずれにしても薬の服用は控えましょう。
<ガムをかむ>
ガムをかむことで、脳が刺激され、眠気を軽減する効果が期待できます。
ミント系の香りなど刺激の強いものは、より脳を刺激し活発にしますので効果的です。
<カフェインを摂取する>
コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインには、脳を興奮させる作用があるため、眠気を覚ます効果に期待できます。
ただし、カフェインは、胃酸の分泌を促すため、空腹時の摂取は胃を荒らすことがありますので注意しましょう。
また、風邪薬の中には、眠気に対して、カフェインを配合した製品も多くあるため、風邪薬の服用によってカフェインの摂取が過剰となり、頭痛の原因となる場合もあります。カフェイン含有の薬を服用した後の眠気の場合はこの対処は向いていません。
<仮眠をとる>
可能な状況であれば、15分ほど寝てしまうとよいです。逆に長時間眠ってしまうと体がだるくなってしまうことがあるため注意が必要です。
3.眠くならない飲み方
抗ヒスタミン薬を配合していない風邪薬を選んで飲むことが、眠気を回避するには一番ですが、鼻水を伴う風邪症状への効果が期待できない場合があります。
このような場合のひとつの方法として、鼻水、鼻づまりの症状のみであれば、点鼻薬を使用する方法があります。
製品としては、
新ルル点鼻薬(第一三共ヘルスケア)
などがあります。
点鼻薬も抗ヒスタミン薬を配合していますが、鼻粘膜局所での作用になりますので、全身の副作用は出にくく、眠気も個人差はありますがほとんどありません。
ただし、これらの点鼻薬には、鼻づまりの解消にナファゾリンという血管を収縮する作用のある成分が含まれています。点鼻薬を長期間頻回に使用していると効果が弱くなり、逆に鼻づまりがひどくなるということがありますので、用法・用量、注意事項をよく守って使用することが必要です。
発熱や頭痛、咳など風邪の他の症状がある場合は、抗ヒスタミン点鼻薬に解熱鎮痛薬や咳止め薬を併用する方法も考えられます。
4.眠気がでない風邪薬の選び方
4-1. 抗ヒスタミン薬を配合しない風邪薬を選ぶ
風邪薬を飲んで眠くなってしまう場合は、眠気の原因となる抗ヒスタミン薬を配合しない風邪薬を選ぶのがよいでしょう。
抗ヒスタミン薬を配合しない風邪薬には、ストナデイタイムやパブロン50、改源などがあります。
①ストナデイタイム(佐藤製薬)
抗ヒスタミン薬を含まず、くしゃみや水っぽい鼻水を伴う風邪の引き始めに効果的な漢方薬の「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」エキスを配合した製品です。
咳止め薬としてリン酸ジヒドロコデインが入っているので、この成分により眠気が起きる場合はあります。
ストナディタイムの取扱店舗を見る
②パブロン50(大正製薬)
抗ヒスタミン薬やジヒドロコデインリン酸塩を含まず、乾いた咳に効果的な「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」エキスが配合されています。咳の症状に向いています。
③改源(カイゲンファーマ)
抗ヒスタミン薬を配合していない、西洋薬+生薬配合の製品で、のどの痛みや咳、痰、発熱、頭痛、筋肉痛などに効果的です。くしゃみや鼻水の症状が強い場合には向いていません。
4-2. 漢方薬を選ぶ
眠くならない風邪薬として漢方薬も選択肢の一つです。
風邪の引き始めの、ゾクゾクとした寒気があり、汗をかいていない場合は、「葛根湯(かっこんとう)」、水のような鼻水が出る場合は、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」、乾いた咳が出る場合は、「麦門冬湯(ばくもんとうとう)」 などがあります。
この他にも風邪症状に使用される漢方薬は、症状や体質に合わせてさまざまな処方があります。漢方薬は、症状だけでなく、体質にあったものを選ぶことが大切です。
4-3. 第二世代の抗ヒスタミン薬配合のものを選ぶ
市販の風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬の多くは、眠気の副作用が出やすい第一世代の抗ヒスタミン薬が多いのですが、眠気の副作用が第一世代に比べて少ない第二世代の抗ヒスタミン薬であるメキタジンが配合された製品も、少ないながら存在します。
メキタジン配合の風邪薬には、
セピーIPかぜゴールド(ゼリア新薬)があります。
鼻風邪の症状のみであれば、
ロートアルガード鼻炎内服薬ZII(ロート製薬)があります。
ただし眠気の副作用が全く出ないわけではないので、自動車の運転等はしないようにしましょう。
4-4. カフェイン配合のものを選ぶ
市販の風邪薬には、コルゲンコーワIB錠TX(興和)などのように、眠気を抑えたり、頭痛を鎮めるために無水カフェインが配合されている製品もあります。
無水カフェインが配合されていても眠気が起こる場合はありますが、ある程度の効果は期待できます。
成分表示をチェックしてみましょう。
5.薬を使わずに風邪を乗り切る方法は?
風邪薬は、風邪そのものを治すものではなく、体に備わった免疫機能が風邪のウイルスを退治する間、風邪による嫌な症状を抑える役割をします。
そのため、薬を使わず風邪を乗り越えられたら、それに越したことはありません。
薬を使わずに風邪を乗り切るには、体を内側と外側から温めて、栄養をしっかりとり、自己の免疫機能を活発にし、十分な睡眠をとって、ゆっくり休むことが大切です。
体を内側から温めるには、葛湯(くずゆ)や生姜湯(しょうがゆ)を飲むのが効果的です。
葛湯は葛粉をお湯でといたものですが、葛粉は、漢方薬にも用いられる葛の根のデンプンを精製したものです。体を温める効果があります。
生姜湯もおろした生姜をお湯を加えたものでこちらも体を温めてくれます。
はちみつやレモン、りんごなどを加えるとより飲みやすくなります。
6.おわりに
風邪薬で眠気が起きるのは、風邪薬に含まれる「抗ヒスタミン薬」による作用です。
眠気を起こさずに風邪の症状を抑えるには、抗ヒスタミン薬を含まない風邪薬を選ぶとよいでしょう。漢方薬も眠気を起こさないのでおすすめです。
風邪薬は、風邪の原因であるウイルスをやっつけ根本的に風邪を治すわけではなく、あくまで、風邪の諸症状を抑え、自己免疫力が風邪を治すのをサポートするものです。
そのため、風邪を引いたら、自己免疫力が十分働くように、栄養をしっかりとり、十分な睡眠をとることが大切です。
