1.市販薬ガスター10はどんな薬?

1-1.  ガスター10の作用・効果

ガスター10は1錠中にファモチジンと呼ばれる有効成分を10mg含む胃薬で、H2ブロッカーと呼ばれる分類に属する薬です。

ガスターは元々、医療用医薬品として病院やクリニックなどの医療機関で用いられていましたが、1997年からスイッチOTCとしてドラッグストアなどの店頭でも購入できるようになりました。ガスター10は現在では第1類医薬品に指定されているため、薬剤師による対面販売が義務付けられています。ガスター10には強力な制酸作用があります。

 

胃粘膜からは、消化作用や殺菌作用を持つ胃酸が分泌されていますが、胃酸が過剰に分泌されると自らの身体を傷つけてしまいます。胃酸により胃粘膜が傷つくと、胃痛、胃もたれ、胸やけ、吐き気などの不快な症状が起こり、潰瘍ができることもあります。胃酸の分泌は、胃粘膜細胞のH2受容体にヒスタミンと呼ばれる生理活性物質が結合することで起こりますが、ガスター10の成分であるファモチジンはこのヒスタミン受容体に結合してその働きを妨げることで胃酸の分泌を強力に抑制します。

 

これによって、胃酸の過剰分泌を原因とする各種の不快な症状や、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを治療することが可能となります。ガスター10は即効性に優れており、胃痛などの症状を素早く緩和することができます。


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1-2. 胃薬の中での位置付け

ガスター10はその優れた制酸作用から、胃酸の分泌亢進による消化器症状に良く効く薬として知られています。胃痛、もたれ、胸やけ、むかつきなどを和らげる効果があり、特にストレスからくる胃の痛みには良く効きます。

 

胃酸の働きを和らげたり、胃粘膜を保護したりする成分には、炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム、スクラルファート、テプレノンなど様々なものがありますが、ガスター10の成分であるファモチジンは市販薬の中では最も強力な作用が期待できます。

 

ガスター10よりも強い制酸剤とは?

ガスター10はH2ブロッカーと呼ばれるタイプの制酸剤ですが、医療用医薬品にはこれよりもさらに強いタイプの制酸剤があります。これは、PPI(プロトンポンプインヒビター)と呼ばれる分類に属する薬で、タケプロン、パリエット、ネキシウム、タケキャブといった薬があります。

PPIはH2ブロッカーでは対処できない重症の消化性潰瘍などで処方されています。また、H2ブロッカーは次章で解説するように高齢の方の認知機能を悪化させる可能性がありますが、PPIではこうした副作用が無いため、高齢者にはH2ブロッカーではなくPPIを好んで処方される医師もいます。

 

2.ガスター10服用の注意点について

ここではガスター10を服用するにあたって気を付けておくべきポイントについて解説しています。これから服用する人はもちろんのこと、すでに服用中の方もぜひご覧ください。

2-1. ガスター10が服用できない人

以下に該当する人はガスター10を服用することができません。

・ファモチジンや他のH2ブロッカーの服用により発疹・発赤、かゆみ、口唇の腫れなどのアレルギー症状を起こしたことがある人
・血液の病気、腎臓・肝臓の病気、心臓の病気、胃・十二指腸の病気、ぜんそく・リウマチなどの免疫系の病気のある人
・ステロイド剤、抗生物質、抗がん剤、アゾール系抗真菌剤を服用中の人
・赤血球数、白血球数、血小板数が少ないなどの血液異常のある人
・小児(15歳未満)
・高齢者(80歳以上)
・妊婦又は妊娠していると思われる人

2-2.  ガスター10の服用に注意が必要な人

以下に該当する人はガスター10の服用に注意が必要になります。購入時に薬剤師と良く相談し、場合によっては医療機関を受診するようにしてください。

・医師の治療を受けている人
・他の医薬品を服用している人
・薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人
・高齢者(65歳以上)
・のどの痛み、咳、高熱、原因不明の体重減少、持続性の腹痛がある人
・授乳中の人

2-3. ガスター10の副作用

【一般的な副作用】

ガスター10の服用によって以下のような副作用が生じる可能性があります。これらの症状が現れた場合は念のため服用を中止して医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

・便秘、軟便、下痢
・口のかわき
・脈のみだれ
・皮膚の発疹、かゆみ、はれ

【重篤な副作用】

ガスター10はごく稀にですが、以下のような重篤な副作用が起こる可能性があります。服用後に以下のような症状が現れた場合は直ちに服用を中止して医療機関を受診してください。

・ショック(アナフィラキシー):服用後すぐ(30分以内)に、皮膚のかゆみ、じんましん、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸などが現れる。
・皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死融解症:高熱、唇のただれ、皮膚の広範囲の発疹・発赤などが続き、場合によっては急激に悪化する。
・横紋筋融解症:手足の筋肉の痛みやしびれ、赤褐色尿などが生じる。
・肝機能障害:発熱、黄疸、褐色尿、全身倦怠感、食欲不振などが生じる。
・腎障害:発熱、尿量減少、むくみ、全身のだるさなどが生じる。
・間質性肺炎:息切れや息苦しさ、空せき、発熱などが急に生じたり続いたりする。
・血液障害:のどの痛み、発熱、全身のだるさ、出血傾向、青あざなどが生じる。

 

2-4.  ガスター10の長期服用

ガスター10は副作用を起こすリスクが比較的低い薬ですが、2週間を超える服用は推奨されません。長引く胃痛は、胃がんや難治性胃潰瘍の初期症状の可能性もあります。こうした状態でガスター10の服用を続けていると、痛みだけが抑えられた状態で疾患が進行し、発見されたときには取り返しのつかない状態になっている恐れもあります。

また、高齢の方ではガスター10の長期服用による認知機能低下のリスクもあります。このため、長期に渡る服用は医師の監督下で行うことが原則となります。症状がなかなか良くならずに2週間を超える服用が必要な方は、医療機関の受診を検討しましょう。

2-5.  ガスター10と併用注意の薬

ガスター10は以下の薬とは一緒に服用できないため十分に注意してください。また、これらの薬に限らず、現在服用中の薬がある方は購入時に必ず薬剤師に伝えるようにしてください。

・ステロイド剤
・抗生物質
・抗がん剤
・アゾール系抗真菌剤
・他の胃腸薬

 

3.ガスター10の長期服用を止めるには生活習慣の改善も大切

ガスター10には強力な胃酸分泌抑制作用があるため、服用することで胃の不快な症状をスーッと鎮めることができますが、胃酸が過剰に分泌される根本的な原因を解決しないことにはいつまで経ってもガスター10を手放せなくなります。胃酸の過剰分泌には食生活やストレスなどが大きく関係してくるのでまずはこれらを見直すことも検討してみましょう。具体的には以下のような点に注意すると良いでしょう。

 

・脂肪分の多い食事を避ける
・アルコール、コーヒー、香辛料など胃に刺激を与えるものの摂取を控える
・睡眠をきちんととる
・喫煙をしない
・規則正しい時間に食事を取る
・長時間労働などを避けてストレスをためないようする

 

4.処方される薬との違い、こんなときは病院へ

ガスターは医療現場でも広く用いられている薬です。ただし、医療機関などで処方されるガスターは有効成分のファモチジンを20mg含むものが主流であり、ファモチジンを10mgしか含まないガスター10と比較してより強い効果が期待できます。

 

また、医療機関では上でご紹介したようにPPIと呼ばれる、ガスターよりもさらに強力な制酸剤が処方されることもあります。市販薬のガスター10では期待する効果が得られないという方は医療機関の受診も検討すると良いでしょう。また、ガスター10を服用中に以下のような症状が見られた方も、速やかに病院やクリニックなどの医療機関を受診されることをお勧めします。

 

・ガスター10を3日程度服用しても症状が良くならない場合。
・ガスター10を2週間を超えて服用する必要が生じる場合
・ガスター10の服用中に上記のような副作用が疑われる症状が現れた場合。

5.まとめ

ガスター10は強力な胃酸分泌抑制作用があるため、ストレス性の胃痛などに良く効く便利な薬として知られています。その一方で、今回ご紹介したような副作用が発生する可能性もゼロではありません。

 

特に、2週間を超えて服用する場合や、高齢の方が服用する場合にはこうしたリスクが高まるため、安易に自己判断で服用を続けずに医療機関を受診するなど慎重に対処しましょう。胃酸の攻撃から身を守るためには食生活の改善やメンタルヘルスの維持も大切ですので、こうした点にも合わせて気を配るようにしてください。