1. ベンザリンはどんな薬?

1-1.  ベンザリンの作用

ベンザリンはベンゾジアゼピン系と呼ばれる分類に属する睡眠薬(先発品)です。不眠症に用いる以外にも、麻酔前に投与したり、てんかん発作に対して投与することもあります。ベンザリンなどのベンゾジアゼピン系の薬は、中枢神経のGABA受容体に作用して、γ-アミノ酪酸(GABA)と呼ばれる神経伝達物質の働きを強め、催眠作用、抗不安作用、筋弛緩作用などをもたらします。ベンザリンはこれらの作用の中でも、催眠作用に優れるという特徴があるため、不眠症の治療薬として用いられています。

 

1-2. 睡眠薬の中でのベンザリンの位置付け

睡眠導入剤は作用時間の違いによって、超短時間型(作用時間:2~4時間)、短時間型(作用時間:6~10時間)、中時間型(作用時間:20~24時間)、長時間型(作用時間:24時間以上)の4つに分けられますが、ベンザリンはこのうちの中時間型に分類されます。ベンザリンは、作用時間が6~8時間と比較的長く、夜中に目を覚ましてしてしまう中途覚醒型の不眠に適しています。

 

2. ベンザリンの服用について

2-1. ベンザリンにはどんな副作用がある?

ベンザリンの主な副作用には、倦怠感、頭痛・頭重感、ふらふら感、眠気・残眠感、悪心・嘔吐、口渇などがあります。ただし、これらは一過性のものなので、症状現れてもしばらくすれば治まることがほとんどです。

 

また、稀に生じる重大な副作用として、呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシス、依存性、刺激興奮、錯乱、肝機能障害、黄疸、一過性前向性健忘、もうろう状態などが報告されています。

 

ベンザリンは作用時間が比較的長いため、服用した翌日に眠気やふらつきが起こることがあります。翌日に車の運転や機械の操作などに従事される場合は十分に注意するようにしましょう。また、これらの副作用は服用開始時に現れることが多いですが、通常は服用を続けていくうちに次第に治まっていきます。

 

2-2. ベンザリンの長期服用時の注意点とは?

ベンザリンを長期に渡って服用する場合は依存症に注意する必要があります。依存症には、薬が無くなると心が落ち着かなくなる精神依存と、身体的なバランスが崩れて体調不良に陥る身体依存の2つがありますが、ベンザリンではそのどちらも発症する可能性があります。

 

また、ベンザリンを飲み続けると身体がベンザリンの作用に慣れてしまい、今までと同じ量を服用しても効果が現れなくなるという耐性を形成する可能性もあります。ベンザリンを長期服用する場合はこうした依存症や耐性に注意を払う必要があります。

 

また、長期に渡ってベンザリンを服用していた人が急に服用を止めると、睡眠障害、不安、震え、頭痛などの症状が現れる可能性があります。これは退薬症候と呼ばれ、向精神薬の多くでみられます。このため、ベンザリンの服用を中止する場合は、自己判断で勝手に止めるのではなく、処方医と相談しながら、少しずつ減量していく必要があります。

 

2-3. ベンザリンを服用すると太る?

ベンザリンの添付文書(製薬会社が作成した薬の説明書)には、体重増加の副作用は記されておりません。このため、ベンザリンを服用することで直接体重が増える心配は無いと考えられます。

 

ただし、ベンザリンなどのベンゾジアゼピン系の薬には抗不安作用があり、精神の緊張を解きほぐしてリラックスさせる効果があります。このため、心のつかえが取れることによって、食欲が改善し、その結果として体重が増える可能性はあります。ベンザリンを服用される方はこの点に注意し、普段よりも過食気味になっていないかどうかに気を配るようにしてください。

 


体重増加の副作用がある向精神薬について
薬の中には副作用として体重増加が明記されているものもあります。抗精神病薬や抗うつ剤にこうした作用をもつものが多く、特にセロクエル(成分名:クエチアピンフマル酸塩)やジプレキサ(成分名:オランザピン)などの薬は服用後に高い確率で体重増加を来す可能性があるため、肥満や高血糖の患者さんは服用に際して十分な注意が必要となります。
また、以下の薬も同様に体重増加の副作用があるため服用中は注意が必要になります。


・リスパダール(成分名:リスペリドン)
・ルーラン(成分名:ペロスピロン)
・ロナセン(成分名:ブロナンセリン)
・セレネース(成分名:ハロペリドール)
・ドグマチール(成分名:スルピリド)
・トリプタノール(成分名:アミトリプチリン)
・トフラニール(成分名:イミプラミン)
・アナフラニール(成分名:クロミプラミン)
・炭酸リチウム錠(成分名:炭酸リチウム)

 

2-4. ベンザリンと併用注意の薬は?

ベンザリンは、向精神薬など中枢神経抑制作用のある薬と一緒に服用すると、両者の効果が強く現れる可能性があるので、注意が必要です。また、シメチジンと呼ばれる成分を含む胃薬(商品名:タガメットなど)と一緒に服用すると、ベンザリンの代謝酵素が阻害されることにより効果が強く現れる可能性があります。市販の風邪薬や鼻炎薬など抗ヒスタミン成分を含む薬もベンザリンと併用すると、眠気やふらつきなどが強く出ることがあるので、服用前には医師・薬剤師・登録販売者などの専門家に相談することをお勧めします。

 

2-5. ベンザリンはお酒と併用できる?

ベンザリンなどの睡眠薬をお酒と一緒に服用することは避けるべきしょう。ベンザリンをお酒と一緒に服用すると、眠気やふらつきなどが通常よりも強く現れ、転倒事故などを起こす危険性が高まります。

また、ベンザリンとお酒を併用すると依存性が生じやすくなるとも言われています。このようなリスクを避けるためにも、ベンザリンとお酒を一緒に服用することは止めましょう。

 

3.生活習慣の改善も大切

不眠症などの睡眠障害の治療には生活習慣の改善も大切になります。不眠症は、生活習慣の乱れを原因として発症することも多く、こうした原因を取り除くことで自然に眠ることができるようになる人もいます。具体的に以下に示すようなポイントを実践されることをお勧めします。

 

・朝起きたらすぐに太陽に光を浴びて体内時計の働きを正常化させる。
・寝る前はスマートフォンなどブルーライトを発する端末を使用しない。
・日中に適度な運動をして体を疲れさせる。
・夕方以降はコーヒーなどカフェインの摂取をしない。
・温かいお風呂にゆっくりとつかる。
・ストレッチをして体を良くほぐす。
・長時間の昼寝を避ける。

 

4.まとめ

ベンザリンは中時間作用型の睡眠薬であり、現在はその依存性の強さなどから慎重に処方される薬でもあります。巷で言われているように直接的に体重を増加させるような作用はありませんが、食欲バランスの乱れにより過食に陥るリスクも伴います。

ベンザリンを初めとするベンゾジアゼピン系睡眠薬の長期服用は漫然と続けることは好ましくないため、長期間に渡って服用されている方は一度、主治医の先生と相談することをお勧めします。