1.医薬品の仕入れにおける経営者の課題
ご存知のとおり、人口減少、少子高齢化に伴い、社会保障費は膨張していく一方なので、医療費をどうにか抑えていきたいと考えているのが行政の意向です。中でもメスを入れやすいのが薬の価格であり、改定の度に薬価の引き下げが進んでいます。
まず苦境に立たされているのが医薬品卸であり、配送頻度を減らしたり、小分け購入サービスの撤廃、電話窓口の時間の短縮など、今まで当然のように行っていたサービスが制限されてきました。与信管理も大変厳しくなっており、新しく薬局を開設したのに医薬品卸と取引できない、そんな状況も現に起きています。
そんな状況ですから、個人薬局が医薬品卸に対して強気に価格交渉できるような立場にはなく、掲示された額で取引せざるをえないような状況となっており、薬価差益はほぼ無いものとして事業計画を立てている方も多いのではないでしょうか。また、10数店舗を経営する中規模の薬局も、今までどおりの価格交渉が出来なくなってきて経営的に苦戦し、利幅がとれないからと大手に事業譲渡するケースもみられるようになりました。
ご存知のとおり、薬剤費は、薬局の売上に占める比率が高いので、たった数%の仕入れ値の変化が月で数十万〜数百万の利益の減少に繋がってきます。
2.共同購入はどんなサービス?
共同購入とは、薬局と医薬品卸の間に別の会社が入り、薬の価格交渉などの業務を請け負ってくれるサービスです。ボランタリーチェーンが運営していることも多く、加盟すると共同購入の他にも様々なサービスが付随してきます。
加盟したとしても、薬局と医薬品卸の一連のやりとりや関係性は変わらないことが一般的ですが、会社によっては、配送回数や支払いサイクルなどが変更になるケースもあります。また、大手医薬品卸は取引できますが、地域に根付く地場卸には対応していないために取引できなくなることもあります。
共同購入の一番のメリットは、大手チェーン薬局がスケールメリットにより医薬品卸と取り決めしているような薬の仕入れ価格を、小規模の薬局でも交渉の手間なくそれに近い価格で取り引きできることです。
多数の独立した小売事業者が連携・組織化し、商標使用・仕入れ・物流などを共同化し、これを行う形態のこと
3.本音で語る共同購入のメリット、デメリット
では、共同購入のメリット、デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?
3-1. メリット
大きなメリットは、医薬品卸との交渉の手間を無くすことができ、仕入れ価格の適正化を図る事が出来ることです。実際に価格交渉が無くなる事でのメリットや仕入れ価格の適正化を図る事でどれぐらいメリットがあるのかは薬局様によって異なります。サービス利用を検討する前に、自薬局の医薬品リストを共有することで、どれだけ薬の仕入れ金額が下がるのかシミュレーションしてもらうことができます。
その他にも、ボランタリーチェーンに加盟すると、共同購入以外にも得られるメリットがあります。経営ノウハウの共有、レセコン/薬歴/在庫管理システム/電子お薬手帳などの購入や導入補助、デッドストックの売買、保険の加入、教育/研修プログラムなど様々あります。
3-2. デメリット
デメリットは、ボランタリーチェーンなどへの加入にかかる加盟金や毎月の手数料です。各社それぞれ違うので一概には言えません。仮のイメージですが、例えば、加盟金として50万円、毎月の手数料が医薬品購入費の1%などです。店舗ごとに支払うこともあれば、法人全体としての支払いなどもあり、これも各社それぞれ特徴があります。
導入やランニングコスト以上に仕入れ値が下がり、利幅が出ることは大前提です。また、契約なので、契約期間中に途中解約などする場合には、解約金が発生します。
会社によっては、それ専用の発注システムを使用する必要があります。今まで慣れていた発注システムがある場合には変更しなければいけません。その他、地場卸との深い付き合いがあっても、会社によって対応していない場合があり、今までの取引を中断せざるをえない可能性もあります。
4.共同購入の業者を選ぶポイント
まずは、共同購入を行っている数社に自薬局の医薬品リストを共有し、各社どれほどの利幅が出るのかシミュレーションをしてもらうことをおすすめします。
今後の利幅金額が想定され比較できたところで、
◎加盟コストとランニングコストの比較
◎配送頻度の変更や支払いサイクルなどの変更がないか
◎価格決定の時期、一括値引きの回数やタイミング
◎共同購入以外のサービスの比較
◎地場卸との取引対応の有無
などをポイントに選定されると良いでしょう。
5.医薬品の流通、今後どうなる?
今後、薬価の引き下げはますます進んでいくことが想定され、医薬品卸の経営が厳しくなることは目に見えており、個人薬局が医薬品卸と強気で価格交渉をすることは非常に難しくなると考えられます。
薬価差益はほぼ出ず、逆ザヤの薬が増えることは当然として薬局の事業計画を立てていくしかありません。その中で、個人薬局が大手チェーン薬局と競いあっていくためには、グループとして結集しスケールメリットの恩恵を受けていくことも戦略のひとつです。
その代表格が共同購入サービスであり、第3者に薬局の内部事情を握られてしまうというリスクもありますが、今後の薬局経営を支えていくために少しでも利幅を上げていくためにも、リスク以上のメリットに目を向けても良いのではないのでしょうか。
6.まとめ
今回は、いち個人薬局の経営者の本音として、薬局の医薬品の共同購入が実際どうなのかについて解説させていただきました。私自身、年々と、仕入れによる利幅が減ってきていることを実感してきた中で、少しでも薬局の経営を支えたいと重い腰を起こし、数社を比較し、共同購入サービスを利用することにしました。導入後は、今まで散々頭を抱えおこなってきた価格交渉の手間もなく、ある程度の利幅を確保できることは大きなメリットだと感じています。
今後は、薬局、薬剤師の未来を見据えて、新たに確保できた利益で更なる投資にチャレンジしていきたいと考えています。

