1.薬価差益とは?
ご存知のとおり、保険薬局では、薬の販売価格である薬価は、国で定められています。一方で、薬の仕入れ価格は、医薬品卸と薬局など医療機関との交渉によって決まります。
一般的に、薬価差益とは、薬価と仕入れ価格の差によってうまれた益のことを言います。
薬価差益 = 薬価 ― 仕入れ価格(税抜)
実際には、消費税がかかってきますので、実際に手元に残る金額は、
手元に残る金額 = 薬価 ― (仕入れ価格(税抜) × 1.1)
例えば、1錠10万円の医薬品があり、仕入れ価格(税抜)が8万5千円(薬価差益率15%)だとしたら、
100,000円―(85,000円×1.1)= 6,500円
手元に残る金額は6500円となります。
1日処方箋枚数40枚程度の小規模の薬局だとしても、薬剤料は、400万-800万程度ありますので、薬価差益率が1%でも変わってくるだけで利益に響いてくることが分かるでしょう。大型店舗や複数薬局を経営している場合には、尚更、影響が大きくなります。
また、不動在庫のリスク(期限切れの薬)などもあるため、薬価差益によって手元に残る金額以上に、見えないコストが掛かっていることも大切な視点です。
2.薬価差益が減少し、厳しくなる時代の到来
かつては薬価差益が30%以上出てた時代があったと聞きますが、近年では、薬価は、見直しが行われるたびに引き下げられており、医薬品卸の経営が圧迫されることにより、薬価差益も減ってきているという動向があります。個人薬局が医薬品卸に対して強気に価格交渉を行うことも難しくなってきました。
逆ザヤといって、販売すればするほど損をしてしまう、仕入れ価格が薬価より高くなっている医薬品などもみられることがあります。
医薬品卸は、厳しい状況の中で売上を確保するために様々な施策をはじめており、電話などのサポート対応を縮小させたり、配送回数を減らしたり、今まで行っていた医薬品の小分け販売サービスから撤退するというような状況がみられています。小分け販売サービスがなくなることは、活用されていた小規模の薬局においては致命的なお知らせです。
このように、小規模の薬局個店においては、薬価差益が出づらくなってきたというのが昨今の現状です。
3.薬局個店が出来る対策
このような薬価差益が出づらい状況の中で、薬局個店が出来る対策として、どのようなことがあるのか紹介していきます。
3-1. 在庫管理の徹底/システム導入
多くの薬局で既にされていることですが、まずは在庫管理の徹底です。処方が出ない薬を極力置かないなど余分な在庫を抱えないことで、不動在庫を出さない工夫をしていきます。不動在庫を定期的に確認し、期限切れを起こさないことも大切です。
最近では、複数の企業から患者さんの処方傾向、来客頻度から自動で必要な医薬品の種類、数を割り出し、自動発注までしてくれるような発注システムサービスなども出てきました。このようなサービスを活用することは、医薬品の在庫の適正化によって、無駄なコストを出さないことに加え、発注業務を自動化することによって薬剤師業務の効率化にも繋がってきます。
3-2. 医薬品不動在庫(デッドストック)の売買
在庫管理の徹底を行ったとしても、どうしても不動在庫(デッドストック)が出てきてしまうのは致し方ないことです。大切なのは、高価格な医薬品であればあるほど、期限が切れる前に気づくことです。
複数店舗を運営されているのであれば、自社内で不動在庫のやりとりができるのが一番です。クラウド上で医薬品在庫を店舗間で見える化しておくと、非常にやりとりがスムーズです。
次に、知り合いの薬局や地域の薬局、また薬剤師会などを経由して、不動在庫のやりとりが出来ると、お互いの助け合いにもなります。
それでも、残ってしまう不動在庫については、薬局間の薬の売買をサポートするサービスがあるので、活用されることをおすすめします。
大きくは2つのタイプがあります。ひとつは、不動在庫を売りたい薬局と買いたい薬局をマッチングして、取引は各薬局に任せるサービス。メリットは、価格が自由に決められることが挙げられますが、デメリットは、各薬局と取引を行うため、都度手間がかかります。もうひとつは、一括で業者に買取をしてもらって、買いたい薬局は、一括で業者から購入するサービスです。メリットは、売りたい薬局においては一括で現金化できること。デメリットは、価格が安い傾向にあることです。
不動在庫の取り引きのひとつのツールとして、場面に応じて使い分けて活用すると、非常に便利です。
3-3. 共同購入/ボランタリーチェーンの検討
最近では、よく耳にするようになった共同購入です。共同購入とは、薬局と医薬品卸の間に別の会社が入り、薬の価格交渉などの業務を請け負ってくれるサービスです。ボランタリーチェーンといって、同じ法人ではないけれど、複数の薬局を運営する法人が集合体になることによって価格交渉のスケールメリットを全体として生かしていく、そのようなイメージです。
メリットとしては、大手チェーン薬局がスケールメリットにより医薬品卸と取り決めしているような薬の仕入れ価格を、小規模の薬局でも交渉の手間なくそれに近い価格で取り引きできることです。
先述のとおり、薬局個店では医薬品卸との価格交渉が難しくなってきている状況の中で、薬の仕入れ価格を1%でも下げることは利益にも直結するため、メリットは大きいと考えます。但し、デメリットとしては、加盟するためには、加盟料や月額の手数料等がかかってくることです。
4.おわりに
今回は、薬価差益について解説するとともに、薬局個店が出来る対策として、どのようなことができるかについて紹介しました。
薬価差益が出づらくなってきていることは薬局経営にも直結する大きな課題です。厳しい中でもうまくやりくりされている薬局個店もあるため、出来る改善策をひとつずつやっていくことが大切です。
コロナ禍において薬局経営に急激な変化が起こっていることを感じます。このような環境下で、経営者がどう舵を切っていくのか非常に大切な局面です。ぜひ、明るい未来にしていけるように皆さんで高め合っていきたいです。

