1.アルプラゾラムとは?

アルプラゾラムはベンゾジアゼピン系の薬剤です。


ベンゾジアゼピン系の薬剤には様々なものがあり、その作用時間や神経受容体へ働きかける部位の違い・効果の強さによって睡眠薬・抗不安薬・抗てんかん薬として使用されています。

1-1. アルプラゾラムの作用

アルプラゾラムの添付文書の「効能・効果」の欄には、「心身症における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害」とあります。
適度な作用を持ち、血中半減期も中間ぐらいの薬剤ですので、「速く効き、効き目も続いて後に残らない」という使用感から、この薬を希望する人は多いようです。軽い不安であれば、服用して30分もすればスーッと不安が消えるようで、頓服として使われることも多い薬です。


また、不安や緊張が大きいとなかなか寝付けないものですが、寝る前に服用してリラックスした状態にすることで入眠しやすくなることから、睡眠薬として使われることもあります。

 

1-2. 抗不安薬の中での位置付け

さて、不安を和らげる薬として代表的なアルプラゾラムですが、他の抗不安薬との違いはどうでしょうか?

 

抗不安薬には他にどんな薬がある?

厚生労働省が「抗不安薬」として使用を許可している薬物は、16種類あります。この中にはベンゾジアゼピン系以外の薬物も含まれます。
いくつかのよく使用されるものを、作用の強弱順に並べると以下のようになります。

 (強い)  クロキサゾラム・ブロマゼパム・ロラゼパム・エチゾラムなど
 (中等度) アルプラゾラム・ジアゼパム・ロフラゼプ酸エチルなど
 (弱い)  メダゼパム・クロチアゼパムなど

アルプラゾラムが中間ぐらいの位置にある薬であることが、おわかりになると思います。この特質から、使いやすい薬とされるのでしょう。

 

2.アルプラゾラム長期服用の注意点

さて、ここまでアルプラゾラムがどのような薬であるかをお伝えしてきました。
「よく効いた」感じがするから、お守り代わりに飲むという人も多いのですが、いつまでも続けることはお勧めしません。


先に「ベンゾジアゼピン系」という言葉が出ましたね。
アルプラゾラムを含むベンゾジアゼピン系薬は、かつて使用されていたバルビツール酸系の薬に比べると、呼吸抑制などの致死的な副作用が大幅に少ない、比較的安全な薬として広く普及してきました。


しかし日本では諸外国に比べると、ベンゾジアゼピン系の薬が漫然と長期間にわたって処方されるケースが多く、常用量でも依存形成を示すリスクが挙げられていました。


平成26年の診療報酬改正で、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬の多剤投与制限が決まり、昔のようにあれもこれもと合わせた薬の処方ができなくなりました。


これも厚生労働省が、依存から薬物の濫用への現状を問題視している証拠だといえるでしょう。
また平成29年3月の「PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)からの医薬品適正使用のお願い」には、「ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について」と表題にはっきりと記載されています。

2-1. 依存性や耐性はなぜ起こる?

ベンゾジアゼピン系薬に限らず、アルコールなどを含むすべての依存性物質は、神経に働きかけて最終的に「報酬系」と呼ばれる、ドパミン系神経回路でのドパミン放出が増加することがわかっています。


中脳の腹側被蓋野からの「報酬系」ドパミンは快感を伴うため、これが薬物やアルコールやギャンブルをやめられないといった、依存性に関係すると言われています。
さて、薬物依存には精神依存と身体依存があります。


精神依存は薬物に頼っている状態であり、薬物に対する強迫的な欲求を示します。身体依存は、体内に薬物が存在している状態が通常の状態(つまり当たり前な状態)となっているため、本人にとってはこれまでの用量では「効きが悪い」と感じられ(耐性)、使用回数や用量が増えていくことになります。また身体依存があると、薬物投与の中断によって、退薬症候(禁断症状)を示します。


それから、ベンゾジアゼピン系薬に特徴的なものとして「常用量依存」があります。


治療に用いられる量のベンゾジアゼピン薬を長期使用することにより、本来の不安や不眠といった症状は落ち着いた状態(「緩解」といいます)になっており、服薬を必要としない状態になっているのですが、退薬症候などのために薬をやめられず依存が形成されることをいいます。
この「長期」の使用というのはどれぐらいでしょうか?


国立精神神経センター国府台病院での調査によると、常用量依存は服薬開始後2~3ヶ月で形成されることが明らかになりました。この依存状態は精神依存が主であり、身体依存は生じているとしても弱いとされます。

 

2-2. 自己判断で減薬をしてはいけない理由

さて、2-1で述べた内容を読んで、アルプラゾラムやその他のベンゾジアゼピン系の薬を「怖い」「すぐに飲むのををやめよう」と思われる人が多いかもしれません。しかし急に服薬を中断してしまうと、「反跳現象」や「退薬症候」といったことが現れます。


反跳現象とは服薬を突然中断することにより、本来の症状が以前よりもさらに強く出現するものです。不安のために薬を飲み続けていた人なら、急にやめてしまうと経験した以上に強い不安症状が出現するということになります。


また、退薬症状は本来の症状に加えて、以前には見られなかった症状が出現するものです。
主な退薬症状として以下のようなものが見られます。

 

 ・不安の増大
 ・イライラ感や焦燥患
 ・筋肉のこわばり(緊張感)や頭痛の悪化
 ・異常な知覚や幻覚
 ・けいれん発作

反跳現象・退薬症状のいずれにしても苦痛であることは間違いありませんから、薬をやめる際には主治医の指示通りに行うようにしましょう。

 

3.アルプラゾラムのその他の副作用と服用の注意点

アルプラゾラムの添付文書を見ると、「副作用」の項目にいくつかの記載があります。代表的なものとして挙げられるのが、①眠気 ②ふらつきや倦怠感 ③依存性 などです。


抗不安薬の作用特性から考えると、筋弛緩作用を持つため、緊張やそれに伴う肩こりや頭痛に効果があるのですが、筋肉の緊張がゆるむことで力が入りにくい・だるい感じがする・ふらつくといった、副作用としてあらわれます。


緊張がほぐれた状態(リラックス状態)では、眠気を起こしやすいと言えるでしょう。ここへさらに、抗不安薬は催眠作用を持つためにそれが上乗せされ、眠気を訴える人も多いです。


このような状態で治療を続ける上で困るようであれば、主治医に相談して用量の変更や薬剤の変更を相談してみましょう。
また④の依存性については薬の中止が必要ですが、2-2で述べたように自己判断での減薬や中止はいけません。
減量方法には「漸減法」「隔日法」「置換法」がありますが、その他「認知行動療法」などもあります。どのようにしていくかは個々人によって異なりますので、主治医とよく相談してすすめていく必要があります。

 

4.悩みを抱えている方へのアドバイス

ここまで読んで、アルプラゾラム或いは他のベンゾジアゼピン系薬剤での治療について、今後はどうしようかと悩む人もいるかもしれません。
不安や緊張に使われる薬物に、SSRIという系統のものがあります。こちらはベンゾジアゼピンより安全で、それに劣らぬ有効性があるのですが、即効性がないため「効いた」感じが乏しいため、治療には時間がかかります。


しかし先を見据えてしっかりと取り組むことが一番ですので、治療については主治医とよく相談しましょう。
不安な状態が続くと、自分の心身がコントロールできない感覚が負のスパイラルに陥って、ますます不安が強まってしまいます。なるべく早い段階で、「今、自分は治療を受けているし、薬が合っているから大丈夫だ」という感覚を持ってもらうことが大切です。

5.おわりに

アルプラゾラムを受け取る時は、処方箋を薬局に渡して薬剤師から説明を受けると思います。
自分の飲んでいる薬について、疑問に思うことや心配なことなどがあれば、気軽に相談するようにすると安心して治療をつづけることができますね。