1. 糖質制限の危険性とデメリットとは?
糖質制限の危険性やデメリットを、栄養学や生理学、エネルギー代謝の観点から説明致します。
1-1. 糖質制限の危険性について
まず、結論として間違えた糖質制限を実施していると危険です。
また、正しく実施していても長期的な糖質制限によるデメリットはあります。
糖尿病の方であれば、長期的な糖質制限でもメリットの方が大きいです。
正しい糖質制限については、過去に投稿しましたコラム「【みんな間違えている糖質制限!?】糖質制限の効果と正しい糖質制限食を紹介」を参照して下さい。
まず、よく糖質制限で議論にされる以下の3つの危険性について説明します。
①脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖であり、糖質を制限するのは危険だ!
結論として、糖質制限時は代謝されきれない過剰のアセチルCoAから生成されるケトン体がブドウ糖の代わりとして脳のエネルギー源となります。
肝臓や脳の一部組織だけはブドウ糖が必要になりますが、糖質制限中でもそれらを補う分くらいの糖質は摂取しますし、不足する分は体内で生み出されます(タンパク質から糖質を生み出す糖新生によって)ので問題ありません。
②ケトアシドーシスによる死亡例があるから危険だ!
通常時はブドウ糖を代謝して身体活動をしています。
糖質制限中はケトン体を生成してそれが主なエネルギー源となり、その状態をケトーシスと呼びます。
普通食でケトーシスになってしまうのは問題ですが、糖質制限中は正常な状態と言えます(言い換えれば糖質制限が上手くいっている証拠でもあります)。
ケトン体の血中濃度が異常に高い状態をケトアシドーシスといい、死亡することもある大変危険な状態と言えます。
ケトアシドーシスはインスリン感受性などに問題のある(インスリンが正常に働かない状態)重度の糖尿病患者に起きる症状ですので、健康体であればケトアシドーシスになることはありません。
③糖新生によって筋肉量低下を招いてしまう!
糖新生とはタンパク質を糖質に変換する反応のことです。
一般的に何も食べない飢餓状態だと筋肉のタンパク質を分解して糖質を生成します。
正しい糖質制限時では、食事からタンパク質や脂質を不足なくしっかりと摂取すれば糖新生による筋肉量低下の心配はありません。
参考文献:
日本農芸化学会_ケトジェニックダイエットがヒトの健康に及ぼす影響について_山本祐司
1-2. 糖質制限のデメリットについて
正しく糖質制限を実施していても、長期間の実施で以下のデメリットが存在します。
筋肉量低下(インスリン分泌による筋合成が起きにくいため、少なからず低下する可能性がある)、代謝低下(甲状腺機能低下、FOXOの活性化など)、耐糖能低下(糖質への対応力)があり、体重/体脂肪の減少停滞や糖質摂取時のリバウンドのリスクが発生する可能性があります。
これらデメリットの回避方法として、糖質制限は2~3ヶ月と短期集中で実施して、その後は脂質制限や緩い糖質制限を実施すると良いでしょう。
2. 糖質制限ダイエット後の食事の戻し方について
糖質制限後は糖質摂取の仕方と、摂取カロリーに気をつけることが出来ればリバウンドリスクなく普通食に戻せます。
2-1. 糖質制限後に注意すべきこと
主食などから糖質摂取をすることになるので、まずはカロリーオーバーにならないように気を付けます。
正しい糖質制限では、おかずからタンパク質と脂質を多く摂取しますので、そのまま主食を足してしまうとカロリーオーバーになるためです。
次に、糖質制限後の耐糖能低下があるので、一食あたりの糖質摂取量やGI値(糖質吸収スピード)に気を付けていきます。
2-2. 低GI食+脂質制限食を挟むことでリバウンドリスクを低減させる
主食を食べる際におかずの脂質を控えることでカロリーオーバーを防げます。
脂身、揚げ物、バターやチーズ、生クリームなどの乳製品を避けて、肉は鶏胸肉やささみ、牛赤身肉を選び、大豆類もしくは魚介類をメインのおかずにすると理想的です。
摂取する主食の具体例は後記しますが、食物繊維の多い主食(玄米やオートミールなど)を摂取できるとベストです。
また、低GI食の代わりに野菜などの食物繊維を先に摂取した後に主食を摂取すると結果的に低GI食となります(=ベジタブルファースト)。
3. 実際の普通食に戻すまでの過程について
糖質制限から普通食に戻す際に脂質制限食を挟むことがオススメだと説明しました。
では、実際の食事例をステップ1〜4で紹介していきます。
糖質制限から糖質摂取を開始すると、体重が1~2kg程度増加する可能性はあります。
これは、筋肉と肝臓内に糖質(グリコーゲン)が蓄えられてそれと水分が結びつくため増加します。
初期の体重増加は体脂肪による増加ではないので安心して下さい。
+1~2kgの初期の体重増加からそれ以上に増量していく場合は注意が必要です。
■ステップ1 糖質制限終了直後〜2週間
糖質制限食をベースにして、トレーニング日のトレーニング前、トレーニング中、トレーニング後3時間以内のタイミングで摂取します。
トレーニングの実施内容によりますが、トレーニング前には体重×0.5g程度の糖質を、
トレーニング中に体重×0.5g程度の糖質を、
トレーニング後に体重×1.0g程度の糖質を摂取していきましょう。
糖質量の目安としては、バナナ1本=約20g、おにぎり1つ=約40g、白米茶碗1杯=約40~50g、食パン6枚切1枚=約25g、麺類1玉=50~60gになります。
女性ならトレーニング前にバナナ1本程度を、男性ならばおにぎり1つ程度の糖質を摂取していきましょう。
(この際にプロテインなどタンパク源を摂取できるとトレーニング効果を更に高めます)
トレーニング中はスポーツドリンクかマルトデキストリンを溶かしたワークアウトドリンクを飲みます。
トレーニング後はプロテインと一緒にマルトデキストリンを溶かして飲むか、和菓子など脂質が少ない糖質を摂取しましょう。
もしくは、食事から摂取しても構いませんが、この際の食事はカロリーオーバーを防ぎつつ糖質の吸収を妨げないようにおかずの脂質は控えめにします。
■ステップ2 2週間〜4週間
糖質制限食をベースに、ステップ1に追加して朝食or昼食に主食を追加します。
その食事の際は、低GI食脂質制限食を実施し、主食は低GI食※を摂取しておかずなどの脂質を抑えます。
※玄米、雑穀米、冷やし白米(常温以下)、オートミール、蕎麦(蕎麦粉7割以上)、サツマイモ、バナナなど。
また、低GI食の摂取が難しい場合は野菜やスープなどを先に召し上がってから主食を摂取すると、食物繊維が糖質の吸収を緩やかにして結果的に低GI食になります(=ベジタブルファースト)。
この際の糖質摂取量は、一食あたり体重×1g以内にしていけるとベストです。
要は、主食のおかわりや大盛りなどはせず、普通盛1人前にすると良いでしょう。
■ステップ3 4週間〜6週間
主食を朝と昼に摂取してその際の食事は低GI食脂質制限食とします。
ステップ1のトレーニング時の糖質摂取も実施します。
要は、夜だけ糖質制限食とします。
特にこの食事管理に関してのストレスが無い場合はこのまま実施を続けても構いません。
筆者も体型維持期間中はこの食事管理法を長く実施しています。
■ステップ4 6週間以降
3食共に低GI食脂質制限食を実施し、トレーニング時の糖質摂取も実施します。
この食事をベースにして、付き合いがあるときなどはこのルールを外れても良いでしょう。
ただし、糖質+脂質の組み合わせの食事(かつ丼、天丼、ラーメン、ケーキなど)は太りやすい食事になりますので、その組み合わせは普段から極力避けていきましょう。
また、焼肉など脂質の多い食事をする際は、白米や冷麺、デザートは避けて糖質制限食を実施すると、カロリーコントロールができて肥満のリスクを低減させることができます。
普段から糖質+脂質の組み合わせを避けることを意識して、綺麗でカッコイイ体型をキープしていきましょう!
4. 終わりに
正しい糖質制限を実施する限りでは危険性はなく、有用なダイエット方法になります。
ただし、長期間の糖質制限の実施は代謝低下を招く可能性があり、糖質制限は2〜3ヶ月間実施してその後は脂質制限も同様の期間挟んで交互に実施するダイエットが有効です。
また、糖質制限食から普通食に戻す際にも脂質制限食を挟むと、リバウンドリスクを極力抑えて食事を戻すことが可能になります。
ただし、普通食に戻した際も糖質+脂質の組み合わせは太りやすい食事になってしまいますので、付き合いなど以外は極力それらの食材は避けていきましょう。
是非、正しい糖質制限を取り入れて、危険性やデメリットを回避しながら賢くダイエット/ボディメイクを実施しましょう!
